支援総額
目標金額 100,000,000円
- 支援者
- 56,584人
- 募集終了日
- 2023年11月5日
かはくの偏愛研究室|file.09 吉川夏彦先生が語る、ハコネサンショウウオへの愛
毎週木曜19:00〜19:30に放送中の、クラウドファンディング特別企画「かはくの偏愛研究室」。
かはくに所属するさまざまな分野の研究者が登場し、かはくに収容されている約500万点のコレクションの中から、自身の「推しコレクション」をご紹介。資料への愛を語るYouTube番組です。
本記事では、配信の内容を一部抜粋してご紹介します。
※配信内容は、YouTubeからアーカイブ視聴も可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=sqELUKpCyRs&list=PL38SvBUmO1PemC1tsNtni7pCywLwAMoyl
編集:READYFOR かはく担当キュレーターチーム
\毎週木曜19:00〜19:30 生放送! /

第9回目のゲスト研究員は、動物研究部 脊椎動物研究グループ研究員の吉川夏彦(よしかわなつひこ)先生です。
かはくの偏愛研究室|file.09:ハコネサンショウウオが好きすぎる先生
ゲスト研究員:吉川夏彦(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究員)
MC:齋藤朋紀(上野地区財務企画担当)
profile
吉川夏彦(よしかわなつひこ)
専門は爬虫両生類学・系統分類学・生物地理学。主にハコネサンショウウオ属を中心とした小型サンショウウオ類を対象に研究に取り組んでいる。
わりとよくいる、「ハコネサンショウウオ」
ーー今回先生がピックアップしたコレクションは何ですか?
吉川:私が選んだのは、「ハコネサンショウウオ」です。これからご紹介する標本は、そのグループのなかの「ホムラハコネサンショウウオ」で、液浸標本(えきしんひょうほん)といってアルコール液などに浸けて保存しているものです。ハコネサンショウウオは、世界で11種類、そのうち7種類は日本にいますが、一番最近(2022年)私が新種として発表したのが、ホムラハコネサンショウウオです。
標本だと色は白っぽいですが、液浸標本ではアルコールに浸けたりするので、哺乳類の剥製などとは違って、生きてる時とは色が違うんです。ですから生きている時に写真を撮って記録しているのですが、7種類のハコネサンショウウオの写真を見てみると、背中に黄色や茶色っぽい線が入っていたり、模様が無い種類もいるなかで、ホムラハコネサンショウウオは鮮やかな赤い線が入っているのが特徴です。

ーーハコネサンショウウオの魅力的なポイントを教えてください。
吉川:まず、分布が広いことです。どこにでもいるわけではないですが、山に行ったら結構います。私は栃木県出身なんですが、日光とか行ったらいっぱいいますし、青森県から山口までの本州全域と四国にいて...割と簡単に会えるのが魅力の一つですね。
あとは体形です(笑)。スリムな形が好きなので、ハコネサンショウウオは日本のサンショウウオのなかでも特に細長くて、いいですね。黒い爪も生えているんですよ。渓流で流されないように滑り止めとして爪が生えていると言われていまして、繁殖期の親と幼生(ようせい)という子どもの時は、指先に黒い爪があるんです。英語でも「Clawed Salamander=かぎ爪のあるサンショウウオ」という名前がついていて、カッコいいですよね。
DNA分析で研究が進む
ーーハコネサンショウウオは、どんな場所に生息しているんですか?
吉川:多いのは山岳地帯です。場所によっては標高の低いところにもいますが、やはり山があって渓流、沢があってという環境は必須ですね。基本的には寒いところが好きな生き物なので、山を登って上の方に行かないとみつからないです。
ホムラハコネサンショウウオを新種として発表をする時に、タイプ産地(※)を悩んだのですが、山を登って2時間半ほどの場所にしました。というのも、開発などでタイプ産地がなくなってしまったら困るので、山奥なら大丈夫だろうと(笑)。帰りのバスが1本しかなかったので、一生懸命探して2匹だけ採れて「やばい、バス間に合わない。あ、来た...」と。なんとか間に合って帰れたんですけどね(笑)。
※タイプ産地:種の基準となるタイプ標本の産地。

ーー山奥で種類を集めるというのは、なかなか大変なことなんですね。
吉川:実は10年ちょっと前まで、日本のハコネサンショウウオは1種類しかいないと言われていたのですが、採集するにも分布は広いし山も登らないといけないということで、研究が進まなかったのかもしれないですね。
最近はDNA分析が身近になってきて、研究の世界でも広く使われるようになったので、ずっと同じ種類だと思われてたものが実は地域ごとにかなり違っていることが分かってきました。新しい手法を取り入れてどんどんアップデートしていくというのも、研究の上ではすごく大事なことですね。

ーーまさに今、研究が急速に進んでいる分野の一つなんですね。
吉川:ほかにもDNA分析で面白いことが分かってきています。一見すると違いが不明瞭な普通のハコネサンショウウオとホムラハコネサンショウウオが、DNA分析でその違いがはっきり分かるようになりました。その結果、近縁種でありながら同じ場所で生息、共存していることが分かったんです。これはすごい珍しいことでして、同じ場所にいて交雑もなくて、雑種がいないんです。けれど、どうやって交雑を避けているのか、その仕組みはまだ分かっていないので、今後の研究の課題になりますね。
コレクションとは……、
ーー最後に、先生にとって「コレクションとは何か」、教えていただけますか。
吉川:「コレクションとは、歴史である」です。今までの話の流れとちょっと違うんですけど(笑)。例えば、(今回紹介しきれなかった)箱根で採れたハコネサンショウウオの標本。1890年のものですが、かはくに残っていたんですね。私がまだ学生だった頃に、科博に来て計測などをさせてもらってそのデータも論文に使いました。
この箱根のハコネサンショウウオですが、実は今すごく減っているんです。江戸時代とか昔はたくさんいて、箱根名物として燻製にして売っていたほどだそうですが、今はなかなか捕まえられない。ですからこうやってコレクションが残っていると、研究の上でもとても助かりますし、そんな歴史あるコレクションを集めた人たちの想いというものが伝わってくるんです。

先ほどタイプ産地を選ぶときに悩むという話をしましたが、実際に開発で整備されたりすることで生息地が消えてしまって、標本でしかその個体群が残っていない、ということが結構あります。つまり、個体群(※)の歴史がもう現場には残っていないということなんですね。ですが、きちんと標本が残っていることによって、我々はその場所に確かに彼らが生息していたということを認識できますし、(コレクションを集めたり研究してきたからこそ)彼らの歴史の一端を知ることができます。またその歴史に思いを馳せて、彼らのためにもコレクションをしっかり残して伝えていかなければと考えています。
※個体群:一定の範囲に生息する同種の個体の集まり。
= = = = =
本記事でご紹介したのは、配信のごく一部。
全貌はぜひアーカイブ動画で。
▼file.09:ハコネサンショウウオが好きすぎる先生【吉川夏彦先生(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究員)】
引き続き活動報告では「かはくの偏愛研究室」シリーズのレポートをはじめ、リターン情報や本プロジェクトの進捗状況などをご報告してまいります。今後とも応援のほど、よろしくお願い申し上げます。
リターン
15,000円+システム利用料

【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●かはくオリジナル図鑑
当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
●寄付金領収証
--------
※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 39,306
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
5,000円+システム利用料

【オリジナルグッズ】【寄付控除あり】 トートバッグ
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●トートバッグ
研究者が日々の研究で使用した「研究ノート」の一部をデザインとした、本クラウドファンディングのオリジナル「トートバック(全5種類)」。
●寄付金領収証
--------
<デザイン>
以下の5種から1つ【ランダムで】お届けいたします。
■モグラの歯の変異原図
■貝のスケッチ
■微細藻スケッチ
■ボーリングコアのスケッチ
■太陽黒点スケッチ
※画像は、5種のうち3種のイメージです。デザインや形状などは変更となる可能性もあります。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 15,665
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
15,000円+システム利用料

【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●かはくオリジナル図鑑
当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
●寄付金領収証
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※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 39,306
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月
5,000円+システム利用料

【オリジナルグッズ】【寄付控除あり】 トートバッグ
※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)
●御礼メール
●トートバッグ
研究者が日々の研究で使用した「研究ノート」の一部をデザインとした、本クラウドファンディングのオリジナル「トートバック(全5種類)」。
●寄付金領収証
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<デザイン>
以下の5種から1つ【ランダムで】お届けいたします。
■モグラの歯の変異原図
■貝のスケッチ
■微細藻スケッチ
■ボーリングコアのスケッチ
■太陽黒点スケッチ
※画像は、5種のうち3種のイメージです。デザインや形状などは変更となる可能性もあります。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。
>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。
- 申込数
- 15,665
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年3月

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