『あめんぼ海賊』

　先日の愛媛新聞の見開き全段に、でっかく上島町（弓削島を含む離島だけで出来た、わが町）の記事が出ていた。
　シーカヤックを中心に、島の自然を活かすエコツアーの取組の紹介だ。
　数年前に弓削島に移住した石田さんが主導する。

　僕も石田さんに誘われ、シーカヤックのサブガイド（アシスタント的なガイド）の研修を受けている。

　まだまだ素人の域を出ない僕は、潮の流れや船の接近にあたふたしながら余裕のパドリングとは到底言えないが、それでもほぼ海面にある目線で、普段暮らす島の家並を海から眺めるのは楽しい。

　海により近いことは、波や潮流の影響を受けやすいことでもあり、危険を察知する注意力が必要なのであるが、自然と相対峙しようとするのではなく、自然と友達にるか、もしくは自然に身を任せるような気持ちで、自然の声に耳を傾けるようにすると、風や潮の動きにも対処できてくる（ような気がする）。

　力を抜き、漕ぐというより体を浮かべて水をかいて進むような感覚になれる時は、本当にリラックスできる。余計な音は何も聞こえず、あたかも自分が海に溶け込んでしまっているような心持になる。

　逆に体調が悪いと、全てがチグハグで手先で道具を操るような感覚で、結局余計に疲れてしまう。

　突き抜ける青空の海の上も気持ちいが、雨の滴が水面につくる波紋を眺めるのもなかなかどうして癒される。

　「あめんぼ」のようにスイスイと、島と島の間を行きかう日を夢見て只今絶賛特訓中である。