小樽の駅前から札幌方面に少しだけ戻るような形で、アーケードのあるふたつの商店街を抜けると、みっつ目が花園銀座商店街です。その山側に小樽で一番大きな酒場街である花園エリアがあります。カスバのような飲み屋の迷宮で、商店街と垂直に交わるいくつもの小路にはそれぞれ名前が付いていて呑んべいを手招きしています。

小樽駅から歩いて約十分。花園銀座商店街がJRの高架と斜めに交わるところを右に入ると突然時代がかったゲートが現れます。その奥が嵐山新地。

真っ直ぐ進むとすぐ突き当たるので、そこは袋小路と思っている人も多いようです。いえいえとんでもない。

実はその先がL字のクランクのようになっていて、それまでと同様に両側に飲み屋が現れます。そのまま抜けると、小路は今度はだいぶ大きな逆のLの字になって嵐山通りという小路にぶつかり、嵐山新地はあっけなく終わってしまいます。

(残念ながら、嵐山通り側のゲートは今年の初夏だったか撤去されてしまいました。私には痛恨です/右下)

 

 

__新地とは?

① 新たに開いた土地。新しく居住地となって、人家の出来はじめた地。新開地。

② 新たに得た領地。新たに受けた知行。

③ 新開地に出来た遊里。大阪の曽根崎新地、江戸深川の新地。転じ遊里、遊郭。
 

※ 新地通い/遊里に通うこと。
※ 新地狂い/遊女に溺れて遊蕩すること   (以上、広辞苑より)

辞書で新地を引くとなかなかオトナな興味深い言葉が並びます。
私にはどちらかというと関西の響きに感じられます。
北海道では珍しいのではないかな。

 

忘れかけていたオトナの時空。
嵐山新地にはそんな風情の名残りがあります。
『新地通い』『新地狂い』
そうした言葉に眉をひそめないでください。

実際には安心安全健全な一角であっても、
地元の人間すら袋小路と思い込んでいる向こうに、
表通りにはない、裏通り独特の哀感が存在し、
そんな日常と非日常の狭間にこそ、大人が好奇心惹かれ、
後ろ髪引かれる盛り場のときめきがあるはずです。

 

  星の庵 風の色は嵐山新地の中ほどにあります。
  袋小路と思われているその先にあるので、なかなかふらり

  と偶然に立ち寄ってもらえません。

  店主はそこで毎晩お客さんを待っています。
  
 

 

 

 

 

 

 

路地裏の復権。

かつてのにぎわいをよそに、残念ながら現在の嵐山新地は、全体としてはひっそりと静まり返っています。経済も観光も低迷している、こんなやるせない時代だからこそ、盛り場の、路地裏の復興が期待されます。

今回のプロジェクトはそんな嵐山新地を舞台に展開します(続く)。



 

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