危口さんと最初に交わした会話はゴタンダソニックかvacantでの「搬入プロジェクト」終わりだったと思う。実に感銘を受けた僕は、

「コレ、自分が思い付きたかったっス~。」

「別に勝手にやってくれて良いんだよ笑」

というような会話だったと思う。次に「百人斬り」を観た後にも同じ会話をしてニヤッとされたと記憶している。

 

それから危口さんとは度々、お互いの作品について、または何かの作品について飲み会などで議論する事が多かった。いつも決まって序盤はいい感じに議論が進むが、そのうち楽しい飲み会の席で危口さんは何か煩わしい、答えの出なそうな議題をぶち上げてくる。

 

本当にめんどくさかった笑。

 

2016年、Chim↑Pomが歌舞伎町で展覧会を開催する事になり、同時にイベントも重要な要素にしようと目論んだ際、歌舞伎町ど真ん中の路上での「百人斬り」が目に浮かんだ。

すぐに危口さんに現地を見てもらいながら

「ここで百人斬りをやる情景が浮かびまして、、、。

危口さんがやってなかったらこのタイミングできっと僕が思い付いたかもしれないんすよねぇ、、へへッ、、!」

と低予算である事、屋外のため天候に左右される事、安全な私有地では無い繁華街の路上である事などなど、かなりの悪条件をまずは棚に上げてお願いした。

歌舞伎町という場所性、展覧会のコンセプトと「百人斬り」の親和性などについては話しながらお互い理解が深まり、更に危口さんの中では、会話で簡潔な言葉にはしないけど、確かな「やる動機」みたいなものもすぐに見つけていたと思う。なんで、「やると思うが、悪条件をどうクリアしていくか問題を整えて正式に出演の許諾を伝える」と言われその日は別れた。別れ際、「別に勝手にやってくれて良いんだよ笑」とニヤッとされながら。

そこから、危口さんの人徳からなのか悪魔のしるしチームが優秀だからか、すぐに体制を整えてくれ、本番まで頼りっぱなしの中、見事に伝説のパフォーマンスを成し遂げてくれた。

 

歌舞伎町百人斬り

 

「Chim↑Pomのこのプロジェクトは高円寺に場所を移して続くので、次は搬入でお願いするかもです。ひと段落したら打ち上げついでに会議しましょー!」とか言っているうちに危口さんはいなくなってしまったけど、

卓磨さんはじめ悪魔のしるしチームにお願いし、これまた悪条件ではあったと思うんだけど、無事に搬入プロジェクトもやってもらった。

どこかで「別に勝手にやってくれて良いんだよ笑」とニヤッとしていると思う。

 

あれから危口さんと話す議題も増えてるし、お礼も兼ねた打ち上げに行けなくなったのは心残りではあるんだけど、きっといつものように答えの出なそうな議題をぶち上げてきて、めんどくさくもなったと思う。

だから、危口さんの作品については危口さんと直接やり取りをするより、ドローイングや文章が本にまとめられているほうが僕は嬉しい。しかもクソぶ厚い一〇〇〇本文庫はちょうど良い。

そんなわけで、このプロジェクトに賛同します。

 

搬入プロジェクト#21 高円寺

 

林 靖高(Chim↑Pom)

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