吉川家文書の修理が無事終了いたしました。
令和5年9月25日に開始し多くの方に支援していただきました「約840年の歴史を伝える吉川家文書を未来へ|文書修復にご支援を」は、この3月をもってすべての修理が完了いたしました。今回は、修理が完了した吉川家文書の巻子・掛軸と、同じく皆様のご寄附を使用して修理させていただきました吉川広家公の肖像画についてご報告いたします。
吉川家文書の巻子と元長公の「以徹」掛軸は、随所に折れや糊浮きが見られ、表装も劣化や破損が際立つような状況でした。今回修理は株式会社岡墨光堂様へ依頼し、どちらも本紙の折れや虫損などを修理いただき、表装も新調しました。また、巻子は文書間の幅がほぼ無く、横一列にした際文書の貼り付け位置もバラバラでしたが、文書間の幅をあけ、文書の下部を一列に揃えることで今後展示した際にご覧いただきやすくなりました。



また、このたび吉川家文書の修理費用を上回る多くのご寄附をいただいたことから、他の史料修理に費用を使うことが可能となりました。それが、既にご報告させていただいております吉川広家公の肖像画です。
今年、広家公は没後400年を迎えますが、広家公の嫡男広正公が江月宗玩に着賛を依頼していることから亡くなってほどなくして制作されているものと思われます。肖像画は吉川家文書と同じく折れや糊浮、絵の具の剥離などが見られたため修理を行い、表装は元の裂を修理して、当時を彷彿とさせるような大変きれいな状態にしていただきました。

撮影・作成:株式会社 岡墨光堂様
これらの史料は下記日程にて当館にて展示を行う予定です。修理したばかりのため、長い期間の展示は叶いませんが、ご支援いただいた皆様に少しでもご覧いただければ嬉しく存じます。
吉川家文書 巻子及び掛軸 令和7年11月13日(木)~18日(火)
吉川広家公肖像画 令和7年10月23日(木)~28日(火)
また、「吉川史料館修復史料特別説明会へご招待|ヒノキの香り満喫コース」にて寄付いただいた方には、返礼品として修理した史料について個別に解説をさせていただきます。追ってご案内を出しますので、お手元に届きましたらご確認の程よろしくお願いいたします。
この度いただきました寄付の使途につきましては下記の通りご報告いたします。
吉川家文書(巻子1巻、掛軸)修理費用総額 4,493,797円
上記より国庫補助、山口県補助、岩国市負担の総額3,595,000円の補助を引いた898,797円が当館の負担となります。こちらは皆様からのご寄附が規定より上回ったため、国庫補助を加算していただけることとなりました。重ねてご支援いただいた皆様に御礼申し上げます。
残った費用1,407,684円は「プロジェクト概要と集めた資金の使途」にてご説明しております通り、全て吉川広家公肖像画修理費用3,334,952円(内1,667,000円は岩国市補助)に充当させていただきました。
なお、皆様への返礼品として発生いたしました447,146円は当報效会が負担したため上記の支出の部には掲載しておりません。皆様から頂きましたご寄附は手数料を除いた全額を修理費用として使用させていただいたことをご理解いただければ幸いです。
このたびは皆様のご支援により当館の貴重な史料を修理することができましたこと、篤くお礼申し上げます。修理された史料は永く当館にて保管・展示し多くの方に吉川家の歴史を知っていただけるよう活用したいと存じます。今後とも当館の運営にご理解賜りますようお願い申し上げます。
令和7年4月7日
公益財団法人吉川報效会 吉川史料館



















