終わり、はじまり

　こんばんは。メンバーの清水哲朗です。茂木さんがすでにコメントをあげていますが、クラウドファンディングプロジェクトも本日11月30日23時をもちまして60日間の募集期間が終了しました。無事、第二目標額も達成でき、最終的に227名から1,996,000円もの支援額が集まったことは、ひとえに皆様方から熱いご支援ご協力をいただいた賜物です。心より感謝申し上げます。

　北上町への思いや思い出などはこれまでここ新着情報で度々書いてきましたが、正直な思いをここで吐露させていただくと、このクラウドファンディングを始めるまでは「これほどの支援目標額を本当にご支援いただけるのだろうか」という不安でいっぱいでした。やはりプロの写真家が複数名関わって未来に残す写真集を作る以上は、成立するしないに関わらず、内容とクオリティを求めなければなりません。昨今ではオンデマンドで簡単に格安でフォトブックを制作できるので「もっと安く出来るんじゃないのか」というご意見も途中いただきましたが、デザインや印刷品質などいろいろな面において制約ができてしまい、希望の写真集ができるとは思えませんでした。

　そこでカメラ雑誌フォトコン」を出版している日本写真企画さんにまず出版の話を持ち込みました。「フォトコン」誌はこれまで多くの写真家の写真集を手がけていることと、震災前に太平洋写真学校きたかみ教室を何度も取材してくれたこともあり、お話をさせていただきました。最初にお話をした段階で「そういうプロジェクトならば、ぜひとも会社としての採算度外視で全面的に協力しましょう」という約束をしてくれました。本当にありがたいことです。

　今回のクラウドファンディングでは第一目標額を150万円に設定しましたが、集まった金額の17%（今回は秋のブックフェアのタイミングに合ったことで15%）はクラウドファンディング会社に手数料として引かれ、残った金額から写真集制作費と送料のほか、リターンにかかるオリジナルプリント制作費や追分温泉宿泊券、渋谷さんのCD制作費などを引くとまだまだ赤字というのはわかっていました。いいところまで来てご破算となってしまうぐらいならば、最後にメンバーで協力しあって赤字分を補おうということで、現実的に集まりそうな目標額を打ち立てたのです。でも、うれしいことに第一目標額達成後も皆様からの熱くあたたかいご支援をいただき、第二目標額を大きく越えたことで、写真集のページ数を増やすだけでなく、採算が取れそうな金額になったのです。

　ほかのクラウドファンディングプロジェクトを見ると、最低支援額はサンクスメールのみが多いのですが、我々はそれを望みませんでした。なぜならば一人でも多くの方にこの写真集をお渡しすることで石巻市北上町の魅力を知っていただきたいと思ったからです。結果的に200名を超える方々に写真集をお渡しできることになったことは何よりも嬉しいことでした。現時点では1,000冊を作る予定に変わりはありませんが、在庫は追分温泉で販売したり、出版社を通して全国の書店に流通していただく予定なので、そこで得られる印税は北上町へ支援に回せそうです。写真集制作だけでなく、二重に支援できることは皆様のおかげと感謝しています。

　本日をもちましてクラウドファンディングプロジェクトの募集期間が終わりましたが、すでに新たにスタートを切りました。これから、震災から丸５年となる来年3月までに、写真集構成やデザイン、印刷などの制作時間を経て、皆様のお手元に届けるべく、すでに動きだしております。

　思い起こせば、1997年の「にっこり写真セミナー（のちの太平洋写真学校きたかみ教室）」開催でのご縁のはじまり。それから13回の教室開催。2011年3月11日の震災後に今回のプロジェクト話が沸き起こり、今年の春頃から参加メンバーひとりひとりに声をかけ、クラウドファンディングの準備をしたはじまり。クラウドファンディング支援募集のはじまりと終わり。そして、これからの写真集制作のはじまりと終わり。完成した写真集をご支援いただいた皆様や地元の方々に見ていただいてからのはじまりなど、このプロジェクトのゴールは一体どこにあるのかわかりませんが、とにかく未来へ向かって突き進むだけです。

　写真集が完成するまでの間は飛び飛びの更新になると思いますが、ご支援をいただいていただいた方々への報告は続けるつもりです。まずは本日まで熱くあたたかいご支援ご協力をいただいたことと、 行動することの勇気と自信を与えてくれたことに感謝申し上げます。