地域文化再生を担う専門家を育成―アーカイブズ・カレッジ継続へ
2020年には、皆様から多大なご寄付をいただき、本当に感謝しております。
また、温かい励ましのメッセージもたくさんいただき、本当に心強く思いました。
その際にお約束しました通り、アーカイブズ・カレッジ短期コースの地方開催は、毎年順調に実施することができました。開催は毎年11月です。
2021年には島根県の松江市市民活動センターで行いました。受講者は43名でした。宍道湖が見える会場では、コロナ感染対策を取りながら実施しました。対面とリモートのハイブリッド開催でしたので、リモートの準備と運用に苦労しました。見学先は島根県公文書センターおよび松江市歴史館でした。講演会は延期とし、2022年10月に「松江に文書館ができたなら」というテーマで行いました。参加者は約20名。松江市は文書館設置を決定しており、開館に向けて機運を盛り上げようという意図もありました。
2022年には、福島県富岡町文化交流センター「学びの森」で行いました。受講者は32名でした。会場の部屋は、2011年東日本大震災・福島原発事故の際に、富岡町の災害対策本部が最初に1日だけ置かれた部屋でした。見学先は富岡アーカイブ・ミュージアムでした。講演会は「福島県富岡町の地域資料・災害資料・アーカイブズ」でした。
2023年は大分県豊の国情報ライブラリーで行いました。受講者は34名です。大分合同新聞が報道してくれました。見学先は大分県立先哲史料館・大分県公文書館・大分県立図書館。講演会は「地域の文化資源とアーカイブズ」。参加者は約50名。
2024年には、長野県立歴史館で行いました。受講者は51名でした。見学先は同館。同館開館30周年の記念の年の開催でした。シンポジウムは「地域資料の所在把握・救出・自治体史編纂・活用」をテーマとして行いました。参加者は対面46名、YouTubeの視聴は482名でした。
短期コースの受講者は、文書館・博物館・図書館などの資料保存機関と大学院生が中心です。けれども、近年は多様な分野で自らの過去の文書を保存しようとする動向が生まれてきており、例えば市民活動アーカイブズ、特撮アーカイブズなど、今までは接点のなかった分野の方々の受講も目立ってきています。そうした方々から私たちも大いに刺激を受けているところです。

2021年松江会場の様子。感染対策として、受講者がマイクに触れずに一人一人マイクスタンドに行って自己紹介した。
【収支報告】
皆さまからご支援頂いた資金は、主な用途としてアーカイブズ・カレッジ短期コース講師への旅費(4回の開催で2,663,446円)と謝金(4回の開催で292,500円)に使用させていただきました。その他運営に必要な会場等使用料、運営職員の旅費等に充てさせていただきました(2,112,110円)。なお、この短期コースは、総合研究大学院大学の授業でもあることから、同大学院からも補助を獲得できました。これは2023年度以降のことですが、毎年度申請と採択を繰り返しており、採択が保証されているわけではありません。ただ、この援助により残額が約210万円現時点で発生しています。引き続きアーカイブズ・カレッジ短期コースの費用の一部に使用させていただく予定です。この使用予定は、このクラウドファンディングの趣旨に合致していると判断しています。
【リターンについて】
寄付額1万円の方々には、国文学研究資料館のオリジナルグッズ(手拭いなど)を2020年のうちに発送しました。
それ以上の寄付額の方々は、国文学研究資料館に来ていただきました。館長との茶話会は2021年3月に行うことができました。しかし、それ以外は新型コロナ感染症流行のためなかなか実施できず、2023年1月から5月にかけて、書庫見学や史料整理体験、保存措置体験、講演会への講師派遣を合計6回行うことができました。ご参加下さった方々が古文書に強い関心をお持ちであることが特に印象に残りました。
ご参加できなかった方々には、当館の特別展示図録などを差し上げました。
【今後について】
アーカイブズ・カレッジ短期コースは、これからもずっと続けます。2025年は富山県高岡市で行う予定です。皆様からご寄付をいただかなくても持続できるように、さまざまな工夫を現在凝らしているところです。ご関心のある方に是非ご受講をお薦めいただけると幸いです。本サイトは引き続き使用が可能ということです。今後の活動についても報告したいと思います。引き続き、サポートをお願い申し上げます。


















