奨学金成果報告会　受給者発表 ⑤

新潟大学 法学部 2年

私は新潟大学法学部の2年生です。ありがたいことに昨年もここで話をする機会をいただき、その時は大学入学までをお話したので今回は私の夢と、母の話をします。
私の家庭は母子家庭で、幼い頃から裕福な方ではなく、友達が持っているゲームなどを羨ましいと思っても「今度買うからいつかね」と我慢させられてばかりでした。中学、高校の時は毎日のように母と喧嘩をし、一方的に「なんで私を生んだの、生まれなきゃよかった。お母さんなんて大嫌い」と結構な声量で言っていました。それに対し、母はいつも泣きながら「それは違うよ。あなたが生まれてきてくれたから私はすごく幸せなんだよ」といつも答えてくれていました。
そんなある日、放課後に暮らしている市営アパートに戻ると知らない人が立っていました。そして声をかけられました。「養護施設のものです。お母さんが緊急搬送されたので、保護しにきました」と。

それは、誰にも頼れず一人で家庭を支えていた母が、統合失調症とパニック障害を患っており、とっくの昔にもう働ける状態ではなかったことが判明した日でした。それから私は数日間養護施設で過ごしました。

そしてまたある日、突然家に帰ることになりました。冬の雪が降っていた朝です。家に帰ると、母がいて、苦手なはずの料理をしていました。そして病院着のままおかえり、と言ってくれました。
その時私は人生で初めて、震えながらありがとうって言えたんです。

今、私は奨学金を受けているおかげで不安なく学校に通っています。免許も取って、先日は母をのせて母が行きたがっていたところに連れていくことができました。私は先日誕生日で、生まれて初めて母に電話をして、毎日その日暮らしで大変で11歳で死ぬと思っていたけど、なんだかんだで20歳まで生きたよ。産んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。と伝えることができました。

今、私には夢があります。それは母にとって自慢の娘になることです。支えてくださる皆さん、奨学生たちが自慢の子どもになる機会を与えてくださり誠にありがとうございます。胸を張ってありがとうと言える機会を与えてくださり、ありがとうございます。そして助けてくれる大人がいることを教えてくださりありがとうございます。

私も今、親も子供も追い込まれることがないよう支援できる仕組みを多角的視点から模索しています。ここで絶対に終わりにしたくないと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。