2023年プロジェクト完了報告と感謝のメッセージ
皆様
NPO法人Mother’s Tree Japan事務局です。
昨年みなさまからご支援いただきましたご寄付のおかげで、この1年間もたくさんの外国人ママと赤ちゃんをサポートすることができました。
メンバー一同、心よりお礼申し上げます
おかげさまで、私たちの取り組みが2023年度(一社)日本育児制度機構のベスト育児制度賞の最優秀賞に選ばれ本当に温かい授賞式と励ましのコメントをいただきました。
選定の決め手はとして「全国のどの自治体もすぐに取り組める形をとった先駆的な取り組み」というところがポイントだったと聞き、「NPO法人Mother’s Tree Japanを大きくする、広げる」のではなく「取り組みが広がる」ことを目指してきたことが評価されて、本当に嬉しく思いました。
授賞式の様子はこちらからご覧いただけます。お時間のある時にぜひご覧ください。
https://m.youtube.com/watch?v=fDWsPaHYbM8
また10月末には入管からのヒアリングがあり、日本における外国人妊産婦の状況や必要な支援、今後の展望などをお伝えする機会をいただきました。少しずつですが、活動の輪が広がっているのを実感しています。
そんな私たちの この1年間の活動をご報告いたします。
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【クラファンでお約束した事業内容】
(募集終了時2023/8/10 実績期間:2023/10~2024/10)
1.「指差しボードシリーズ」の全国周知と頒布
2.寄り添いサポートの充実とノウハウをシェア
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1.「指差しボードシリーズ」の全国周知と頒布
現在私たちの「指差しボード」シリーズは現在6シリーズあります。
①指差しお産ボード
②産後健診・訪問ボード(ママ用)
③産後健診・訪問ボード(医療者用)
④指差しNICUボード
⑤緊急時のヘルプ及び陣痛カード
⑥指差し妊婦健診ノート
その中でママが使う①②⑤⑥と、さらに他団体が作成して公開している妊娠にまつわる資料をご許可をいただいて同封し、『お産情報セット』として手元に届けるサービスを2021年から展開していますが、今回は皆様のご支援でその更なる周知と頒布を行いました。
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①広報活動→配布
②勉強会・シンポジウムなどの開催時に周知
③関係機関へのサンプルの送付
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①広報活動 →配布
としては主に多くの外国人ママが利用しているFBなどのSNSを活用した広報活動を行い、当事者からの直接のお申し込みでの郵送は214セット、214人の外国人ママたちの手元に必要な情報を届けることができました!
異国の地でお腹の大切な赤ちゃんを守れるか不安な中で、母国語の資料が時系列にまとまって手元に届くサービスは本当に好評で、たくさんのママたちから感謝のメッセージが来ます。
②勉強会・シンポジウムなどの開催時に周知
この1年間でシンポジウム(対面2回、オンライン2回)、勉強会4回を主催・または登壇して、指差しお産ボードについての周知を行いました。中でも立教大学150周年記念シンポジウム、京都でのシンポジウム、千葉県での自治体関係者向けの勉強会などでは多くの方が指差しボードシリーズに興味を持ってくださり「これはすぐ使える!」「広めます」の声をたくさんいただきました。
時々地域の小さなクリニックや病院からも「使っています」という声をいただくことが増えてきています。
11月1日現在、世田谷区(12月)・熊谷市(12月)・長崎(1月)・熊本(2月)秋田(3月)での勉強会に登壇予定なので、そちらでも積極的に周知していきたいと思っています。
③関係機関へのサンプルの送付
指差しシリーズを含むお産情報セット一式を、サンプルを全国の自治体、保健所、関係機関に125セットを配布しました。また、必要に応じて訪問説明(相模原市(7月)、つくば市(8月)、千葉県(8月))も行い、意見交換なども積極的に行いました。10月には京都の病院から呼んでいただき、その場で「これは使えるわ!!」と責任者の方がダウンロードして印刷をしてくださっていました(笑)。
昨年8月の報道で外国人家庭に必要な資料・情報の7割が手元に届いていない、という統計がありましたが、赤ちゃんと妊婦さんに本当に必要な情報がきちんと手元に届くように、これからも周知・配布活動を続けていきたいと思っております。

また、このところアフリカからの難民申請中の方が増えたりモンゴル・カンボジアからの実習生や労働人口が増えていることから、現在フランス語版・モンゴル語版・クメール語版の作成作業を進めています。完成を楽しみにしていてください。

2.寄り添いサポートの充実とノウハウをシェア
私たちがとても大切にしていることの一つに、「援助者が伝えたい情報を伝える」「援助者が必要だと思った時に通訳を入れる」のでなはなく「当事者が本当に知りたい情報を伝える」「当事者が不安に思った時や伝えたい時に寄り添ってサポートを行う」というものがあります。
この1年はそこに力を入れて寄り添いサポートを充実し、そのノウハウを構築し、周知してきました。
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①ナレッジ・ノウハウ・情報のシェア
②現在の寄り添いサービスの更なる充実とデータ化
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①ナレッジ・ノウハウ・情報のシェア
まだまだ試行錯誤中ですが、この4年間でメンバーたちがその文化・宗教・風習の違いに寄り添いながらサポートをしてきた中で見えてきたことを、各関係機関に伝える活動にも力を入れました。
2024年2月 「官民学みんなで考える多文化共生シンポジウム」開催
豊島区包摂ネットワークセミナー 登壇
豊島区 NPO見本市出展
2024年3月 多文化共生子育てフェスティバル開催
オンラインシンポジウム「日本✖️フィンランドの現場から」
2024年6月 立教大学150年記念記念シンポジウム登壇
立教セカンドステージ大学「NPOの理論と実践」登壇
2024年7月 立教大学RSL科目「大学生の学び・社会で学ぶこと」登壇
2024年7月 (株)東京三菱UFJリサーチ&コンサルティングの社内勉強会
2024年8月(公社)東京青年会議所豊島区委員会主催
WE LOVE TOSHIMA地域貢献メッセ出展
2023年9月 立教大学法学部ゼミ「多文化共生と法」ゲスト登壇
2023年10月 認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ主催
「多文化ソーシャルワーク講座」に登壇
京都での援助者向けセミナー『外国人ママからのSOS』開催

また、各種メディアにも取り上げていただき、活動内容や外国人ママの現状、必要なサポートを伝えてもらいました。
毎日新聞(2024年1月18日)
読売新聞「外国人の出産・育児支える」(2023年10月16日)
J-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」(2023年5月17日)
3月に行った多文化共生子育てフェスティバルには、260名の来場者があり、多くの日本人親子や妊婦さんが外国の子育ての知恵に感動してくださり、こうした活動に興味を持ってくださいました。また自治体や他の市区町村の関係者も来場され、たくさんの関係者と繋がることができました。

②現在の寄り添いサービスの更なる充実とデータ化
この1年間に行ったLINE相談、オンライン個別相談、オンライン相談会、母親サロン、日本語教室は下記の通りです。
◆LINE相談:724案件
◆オンライン相談会:毎月6回開催 参加者延べ 452名
◆母親サロン:
東京 8回 参加者 128名
京都 6回 参加者 27名
福岡 3回 参加者 16名
佐賀 2回 参加者 12名
◆日本語教室教材完成 NINPU 4,KOSODATE 4 言語 8言語
◆日本語教室
対面東京 16回 参加者 288人
オンライン日本語教室(中国語、ベトナム語、ミャンマー語)
中国語 8回 54 名
ベトナム語 9回 48名
ミャンマー語 5回28名

延べ約2000人の外国人妊産婦・子育てママたちをサポートすることができ、メンバーの経験やケースも増えたことでナレッジも深まり、支援内容がさらに充実したものとなりました。
ここでナレッジやデータの全てを公開することは紙面の関係上できませんが、各種勉強会などで国ごとの大まかな傾向や相談内容、ケースごとの対応のコツ、つまづきの早期発見のヒントなどをお話しさえていただいていて、毎回熱い反応や感想をいただき嬉しく思っています。
【この1年間で感じたことベスト3】
①KAKEHASHI通訳・サポートの必要性
外国人妊婦・ママが本当に知りたいことと日本人援助者が伝えたいことにはギャップがあり、NPO法人Mother‘s Tree Japanの外国人メンバーが無意識にそれをやってくれているようなそこを埋める架け橋のような役割をする『KAKEHASHI通訳・サポート』がつまづきや齟齬、課題の早期解決につながることがわかってきました。
②援助者が疲弊しないシステム構築の急務
以前から外国人妊産婦の受診を断る病院やいい顔をしない援助者がいることはお伝えしてきましたが、地自体や病院関係者とのコミュニケーションが深まる中で言葉文化宗教の違いに戸惑っているのは外国人妊産婦だけではなく援助者も同じであること、1人の担当保健師や助産師の負担、多言語対応している病院の負担が大きいことに気づきました。
外国人妊婦が来た時に「ああ、外国人妊婦だな、負担が大きいな」と感じずに支援できるシステムの構築が急務であることを実感しています。
③当事者の力でも医療機関や援助者と繋がれるサポート
妊娠出産という女性の人生の一大事の時に、温かい血の通ったサポートは必須です。けれど、少子化による産婦人科医の不足・援助者のマンパワー不足・予算の不足など、すぐには変えることができない状況の中では、外国人妊産婦自身の力で援助者と繋がり、自分の心身の状態を伝えることができる力を蓄えることを後押しすることも急務です。
地域とつながることの大切さなどを学び、みんなで日本語も練習しました。
【収支報告】
2023年度の団体全体の支出の内訳は、以下の通りになります。
この活動費の一部に皆様からいただいたクラウドファンディングの寄付全額を活用させていただきました。本当にありがとうございました!

【今後の展望】
クラファンの成功の喜びの次の日から、ひた走りに走ってきた1年間でしたが、気づけばあっという間でした。皆様には改めて心よりお礼申し上げます。
今後は、この1年間で感じたことを踏まえて通常事業に加えて下記の展望を持って活動をしていきたいと思っています。
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①KAKEHASHI通訳・サポートのシステム化と普及
②外国人妊産婦支援に携わる援助者のネットワークづくり
③産前産後・子育てのための日本語のクラスの継続とテキストの普及
④企業との連携によって産後のスムーズな復職支援
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どうぞこれからも、NPO法人Mother‘s Tree Japanの活動の温かい見守りと応援をよろしくお願いいたします。

NPO法人Mother’s Tree Japan事務局一同

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