ミャンマー緊急人道支援 「忘れられた世界」で涙を流す人々に　

本日10月6日は、「国際協力の日」です。

1954年のこの日、日本が初めて途上国支援として政府開発援助（ODA）を始めたことから制定されました。

日本もかつては「援助される側」だった戦後から、各国に助けられながら経済成長・発展を遂げ、技術提供などを通して開発援助をする側になりました。

困った時は持ちつ持たれつ、「国際協力」の大切さを考える今日この日に、ピースウィンズがこれまでミャンマーで行ってきた開発援助の一部をご紹介します。

ピースウィンズは、2013年よりミャンマー・カレン州において、給水施設の建設や修繕を通じて安全な飲料水を供給する事業を実施してきました。

ご紹介するのは、2019～2021年にかけて実施した給水プロジェクトです。

この事業はカレン州パアンとチャインセチの2つのタウンシップの計15村で水供給施設を建設し、各村で設立された維持管理委員会が中心となり施設の維持管理と村人の衛生知識の向上を目指し、当初、2019年10月から1年間で終了する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動や集会の制限などにより実施に時間を要したほか、2021年2月にはミャンマー国内において大規模な政変が起こったことから、期間を延長して2021年6月に終了しました。
 

高架水槽とポンプハウス（タイェッコン村）

1．ピースウィンズの持つ技術を活用して給水施設を建設
対象村を選定する際には、関係機関と連携・調整の上、飲料水ニーズの高い村を対象としてピースウィンズのエンジニアチームが地下水脈・水量・水質等の調査を行い、取水地点および給水施設建設場所を決定しました。地下水の水源が不確かな場合には、専門家と共に地盤の地質的な解釈を行う電気探査を行って、水源調査の精度を高めました。
 

電気探査による地盤の解析
 

エンジンコンプレッサーを用いた揚水テストの様子

 
管井戸掘削の場合には、エンジニアが地元建設業者に対して地質状況の判断、掘削方法や資機材の選定、機械設置などについて技術的アドバイスを行い、供給される水がミャンマー国内の水質基準を満たしているかどうか確かめるため水質検査を実施しました。
 

（写真4）掘削機械（パーカッション式ハンマー）を用いた井戸掘削の様子
 

（写真5）水質（ヒ素）検査

 
2．住民自身で給水施設の維持管理ができるように
本事業では、対象となる全15村において、給水施設の維持・管理に責任を持つ給水施設維持管理委員会が住民により設立されました。委員会メンバーは、代表者の他に会計や井戸のエンジンを操作するオペレーター担当者など、必ず女性を含む約10人で構成されます。また、過去に給水施設が整備された村の成功例を参考に、維持管理費の捻出方法、維持管理記録帳および管理費出納帳の記載方法などを身に付けるための資金管理講習と、給水施設の操作（安全、衛生への配慮等）や日常のメンテナンスなど、持続的に施設を維持・運営するための施設管理講習会を実施しました。
 

資金管理講習会に参加したメンバー
 

施設管理講習会の様子

 
3．衛生知識の向上講習の開催
給水施設を建設した15村で、小学校の児童や住民を対象に衛生知識向上講習を延べ75回実施しました。特に事業後半では、新型コロナウイルスの感染対策として、正しい手洗いの仕方、手洗いの慣行、衛生的な食品管理、口腔衛生などを重点的に行いました。日常生活においていつでも講習内容を想起できるよう実践的な方法で行い、ピースウィンズスタッフが講習のファシリテーションを行いました。
また、コミュニティ衛生活動ボランティアの参加を促し、住民による衛生知識向上講習への参加度合いの強化と衛生知識の普及をはかりました。
 

衛生知識向上講習会

 
ピースウィンズは安全な飲料水の確保が難しい状況にあるミャンマーの村に対して、これからも住民の方々に必要とされる給水・衛生支援を行っていく予定です。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。