迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために

寄付総額

2,559,000

目標金額 2,000,000円

寄付者
176人
募集終了日
2019年9月26日

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2019年07月21日 16:00

多大な犠牲者を出した最悪の台風

 

 お世話になっております。減災連携研究センターの橋冨です。

 このたび、本プロジェクトを担当いたします。よろしくお願いします。

 当HPでは、伊勢湾台風関連のや話題や当センターの活動等の話題を不定期ですが更新しますので、よろしくお願いします。

 さて、今回は本プロジェクトが対象としている伊勢湾台風について紹介したいと思います。

 

 どのような台風かは知らずとも、その名は多くの人が一度は聞いたことがあると思います。伊勢湾台風は、昭和34年9月20日、マーシャル諸島で発生しました。同年9月24日15時ごろにはサイパン島北西550kmの海域において、895hPa※1の最低気圧にまで発達しています。

 上陸当日である同年9月26日9時ごろには室戸岬の南460kmの海上にあって、中心気圧が920hPaと強い勢力を保ったまま接近してきました。

図1:伊勢湾台風の経路

出典:気象庁提供データをもとに作成

 

 9月26日18時ごろ、紀伊半島に上陸後紀伊半島を縦断し、伊勢湾の西側(奈良県南部や滋賀県東部)を通過し富山県から日本海に抜けました。名古屋では、一時958.2hPaまで気圧が低下し、最大風速は37m/sを観測しました。この暴風による吹寄せ効果と気圧の低下による吸い上げ効果によって名古屋港では、高潮偏差3.45mの非常に大きな高潮が発生しました。天文潮位を踏まえた実際の潮位はT.P.+3.89m※2でした。この台風は、自動車並みの速度(約65km/h)で接近し、加速しながら通過していきました。この速い進行速度が高潮偏差をより大きなものにしました。

 

 この台風は、各地に暴風や大雨による被害をもたらしました。犠牲者は、北は北海道から西は広島県までの非常に広い範囲で発生しました。特筆されるのが高潮による災害です。特に高潮による被害が大きかったのが、伊勢湾の湾奥部です。愛知県全体では3,000人以上の犠牲者が発生しましたが、そのうち約1,900人が名古屋市内でした。

 

伊勢湾台風は発生後、阪神・淡路大震災が発生するまでの間、戦後最悪の自然災害として人々の記憶に残りました。また、明治35年以降に発生した水害現在でも、これを超える風水害は発生しておらず、戦後最悪の風水害となっています。また、複数の都道府県で死者が1,000人を超えた災害でもありました。このような広域性と巨大性を併せ持つ災害は、伊勢湾台風以降、平成23年に東日本大震災に遭遇するまで、我が国では発生していませんでした※3。

 表1は、戦後発生した風水害の中から死者・行方不明者が1,000人を超えたものをまとめたものです。

表1:1,000人以上の死者・行方不明者を出した戦後の風水害

出典:平成30年版防災白書,附-6をもとに作成※4

 

1,000人を超えたケースそのものが少ないのですが、その中でも特別大きな災害であったことが分かります。また、伊勢湾台風が最後に発生していることも見逃せません。枕崎台風は、終戦直後の被災であり、原爆や空襲の被害など第二次世界大戦の影響が著しかった広島県で大きな被害が発生しました。災害への抵抗力がそがれた状態での被災でした。伊勢湾台風の場合は、戦災から立ち直り、海岸堤防を含めたインフラ整備が進められつつある中での被災でした。このことからも、伊勢湾台風がほかの台風災害とは別格の災害であったことが分かります。水谷(2009)は、総被害額を約7,500億円とし、当時のGDPの6%に相当するとしています。ちなみに、阪神・淡路大震災はGDPの2%と推定されていますので、伊勢湾台風の被害規模が非常に大きかったことがわかります。

 また、台風が襲来した時間帯も犠牲者の増減に寄与したとされています。前出の水谷(2009)は、夜間に襲来した台風と昼間に襲来した台風の被害を比較分析し、1980年代以前では襲来した時間帯によって人的被害に差が生じていたことを明らかにしています。

 振り返って、伊勢湾台風災害の推移をみると、紀伊半島に上陸したのが18時ごろ、名古屋周辺に最も近づいたのが20時~22時の間でした。名古屋港における高潮最大偏差も、21時35分に観測されています。このような夜間の巨大台風襲来が多数の犠牲者を出した1つの原因と考えられています。

 伊勢湾台風は戦後最悪の風水害でした。この巨大災害の教訓を学ぶことが、将来来襲するかもしれないスーパー伊勢湾台風に備えるための一助になります。

 

※1 当時、気圧の単位は、mb(ミリバール)を使用していました。

※2 T.P. Tokyo Peil:東京湾中等潮位

※3 奥村(2011)は、複数の都道府県で死者が1000人を超える災害を、「複数都道府県型巨大災害」と定義しました。

※4 台風による海難事故の死者・行方不明者を含みます。

 

参考文献

・e-Stat,水害統計 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003161327

・名古屋地方気象台WEBサイト, 気象災害の記録 昭和34(1959)年9月26日伊勢湾台風(台風第15号)https://www.jma-net.go.jp/nagoya/hp/bousai/saigai/s3409.html.

・中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会(2008)1959伊勢湾台風報告書

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1959_isewan_typhoon/index.html.

・奥村与志弘(2011)スーパー広域災害における災害対応課題の特殊性に関する研究-1959年伊勢湾台風災害の災害対応分析-,減災 Vol.5 pp.53-64

・平成30年版防災白書

・水谷武司(2009)伊勢湾台風災害のインパクトと戦後台風災害の経年的変化 防災科学技術研究所研究報告 第75号(伊勢湾台風50年特別号)pp.11-32

 

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Aコース【5000円】

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・減災連携研究センターHP「減災館News&Topics」上の特別企画展のお知らせに、寄附者様の芳名録(PDF)を掲載します。

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