分析をスタートしました．

海鷹丸は3月1日に帰港し，その日のうちに観測機器やサンプルの荷下ろしを行いました．きょうはそのサンプルの一部について，DNAの抽出作業を行いました．DNA分析は，いうまでも無く，生物学の分野では近年強力な研究ツールとなっており，私たちの研究においても重要な位置づけとなっています．

私たちが行うDNA分析にはいくつかの目的がありますが，今日の作業は，魚類やイカの子どもの種同定（採れた子どもの魚やイカが何という種なのか調べる作業）を目的としたDNAの抽出です．種というのはふつう親が持っている形質によって定義されているので，親とは形態が大きく異なる子どもの同定は難しいことがよくあります．そこで，親から採取されたDNAと採れた子どものDNAを比較することによって子どもを同定します．DNAサンプルは，南極海で採集された直後に顕微鏡下で綿棒のような道具（スワブと言います．コロナの検査でも使うあれです）で採取します．スワブを魚やイカのやわらかい体表を数回やさしくなでることでDNAが採取されます．このDNA採取は簡単なのですが，揺れる船の寒いラボでの作業，しかも顕微鏡下で行うとなるとかなり消耗する作業です．

きょうは立花研究員が中心となって，DNA抽出を進めてもらいました．この後の作業は業者への委託になりますが，月末には結果DNAの配列が出てきて，どの子がどの種だったか判明することでしょう．