支援総額
目標金額 1,550,000円
- 支援者
- 191人
- 募集終了日
- 2023年10月19日
「エリートの物語を批判する」(ナオミ・オレスケスさんの日本版特別インタビュー から)
▼ ふたたび、訳者早川さんのオレスケスさんへの「日本版特別インタビュー」からご紹介いたします。内容は「エリートの物語」を批判する!です。
ーーー 以下本文より抜粋
早川 この問題をもう少し掘り下げたいと思います。フィリップ・ミロウスキの主張では、新自由主義の社会秩序においては知識が二分化され、一言で表すならば「エリートには現実を、大衆には物語を」となります。つまり、エリートには混濁した現実と向き合って高度な議論をする力があるとされ、その他大勢は消費者として扱い、世界の実態にそぐわない単純化された物語を与えておけばよいとされています。他方で、ジョナサン・ローズは19世紀から20世紀にかけてのイギリス労働者階級の知的生活を描いたすばらしい歴史書を出していますが、そこでは労働者階級の文化の活力や、それがその後オックスフォード大学などの高等機関によってのっとられてしまうまでの経緯が示されています。以上からわかるように、市場イデオロギーを含むエリート文化一般が、現場の労働者階級文化とどう関わり合ってきたか、その歴史に対しては様々な潮流や見解が存在します。科学を専門家の共通了解だとするあなたの考察を、知識と文化の民主主義(とでも呼べるもの)をめぐる広い議論に位置づけることは可能でしょうか。
オレスケス 良い質問です。射程の広い、複雑な問いでもありますね。フィリップ・ミロウスキと彼の功績に対して、私は深い敬意を抱いています。それは今度の新刊にとっても必須の材料であり、私たちはしばしばミロウスキを参照してもいます。他方で、今あなたが要約したような意味での彼の見解に、私は反対です。というのも、今回の新刊では「エリートのための物語」を扱い、エリートたちが自分たちの利益になるような物語を信じるまでの経緯を描きました。それはエリートに満足感を与える物語でもありました。「すべて市場に任せておけばよい。政府は不要だ。労働者を守る必要もない。労働組合も不要だ。自然環境の保護も不要だ。労働衛生規制も不要だ。すべて市場がなんとかしてくれるはずだ」。これはエリートのための物語であり、権力者たちが紡ぎ、推し進め、広め、ついには信じるにいたったものです。それは単に大嘘であるだけでなく、巨大な神話でもあるということ、そして人々はこの神話に傾倒し、これを信じるようになるということを、新刊では主張しました。
新刊を書く動機にもなったことですが、実業家や経済学者など、頭の良い人たちと会う機会があるたびに、この人たちは「市場の魔法」をとうとうと語りました。そのとき、私はこう思いました。「この人たちは本気か? 魔法? 魔法に基づく考え方ということ?」
ーーー以上
いかがですか?
本の完成をお楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。
リターン
5,000円+システム利用料
純粋応援コース
◇ 出版記念イベントへご招待
・オンライン講演会形式
・2024年1月に開催予定
- 支援者
- 53人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2024年1月
10,000円+システム利用料
書籍先取りコース
◇ 完成書籍を発売前にゲット
・2023年12月に発送予定
◇ 出版記念イベントへご招待
・オンライン講演会形式
・2024年1月に開催予定
- 支援者
- 124人
- 在庫数
- 75
- 発送完了予定月
- 2023年12月
30,000円+システム利用料
科学への情熱コース
◇ 書籍へお名前記載(ペンネームまたは匿名も可)
◇ 完成書籍を発売前にゲット
・2023年12月に発送予定
◇ 出版記念イベントへご招待
・オンライン講演会形式
・2024年1月に開催予定
- 支援者
- 14人
- 在庫数
- 86
- 発送完了予定月
- 2023年12月
100,000円+システム利用料
会心の一押しコース
◇ 訳者・出版社との編集会議へご招待
・ビデオ通話形式(音声のみも可)
・2023年11月以降に開催予定
◇ 書籍へお名前記載(ペンネームまたは匿名も可)
◇ 完成書籍を発売前にゲット
・2023年12月に発送予定
◇ 出版記念イベントへご招待
・オンライン講演会形式
・2024年1月に開催予定
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 19
- 発送完了予定月
- 2023年12月