シニア猫のゴンちゃんのお話

皆さまこんにちは。ご無沙汰しております。

おかげさまで施設も維持することができ、猫たち犬たちも穏やかに過ごせています。

 

ねこひげハウスでは、独居高齢者からの保護は昨年だけでも3件3頭ありました。そのうち2件は市内からで、飼い主の入院や死去により、室内に飼われていた猫が取り残されてしまいました。

この数年、同じケースが相次いで起きています。

 

事態が明るみになれば保護できますが、残された動物が誰にも知られることなく餓死したり、外に追い出されてしまったり、また、保健所で殺処分となってしまうこともあります。

 

今回は、高齢者の飼い主さんから保護をした「シニア猫のゴンちゃん」のケースをご紹介したいと思います。

ゴンちゃんのケースは稀なことで、ゴンちゃんと飼い主さん（お父さん）のお話が、この問題について考えていただくきっかけになれば幸いです。

 

 

 

去年の夏ねこひげハウスにやってきたゴンちゃん（♂15歳）

八潮市内で一人暮らしの高齢になるお父さんと一緒に暮らしていた猫ちゃんです。

お父さんは健康面の不安もあり、「自分に万が一のことがあったら、ゴンちゃんを不幸にしてしまうかも・・・」 そんな想いから引き取り先を探し始め、最終的にねこひげハウスで引き取ることになりました。

 

ゴンちゃんを手放したその夜は、毎日ゴンちゃんと一緒に寝ていたお父さんにとっては、とても寂しくてまったく眠れなかったそうです。

あまりにも寂しくて、ゴンちゃんに会いたくて、翌朝、暑い中、お父さんはねこひげハウスまでやってきました。

 

（ぬいぐるみのゴンちゃんも仲良し！）

 

そんなお父さんの気持ちを慰められるならと、ゴンちゃんにそっくりなぬいぐるみをプレゼントしました。

今では、ぬいぐるみのゴンちゃんがお父さんのそばに寄り添っています。

 

お父さんには持病もあり入院することもありましたが、定期的にゴンちゃんに会いに来てくれています。
お父さんが来ると、ゴンちゃんもたくさん甘えて、歓迎しています。

 

（大好きなお父さんに会えて・・・）

 

 

ゴンちゃんのお父さんのように、事前に手放すケースは滅多にありません。
お父さんもつらかったろうに、ゴンちゃんを想うお父さんの冷静な決断を尊敬するとともに、ゴンちゃんの命を守ってくれたことに感謝します。

昨今、室内に取り残されてしまう 高齢者のペット問題が多発しています。
ねこひげハウスでも、大事に家族のように可愛がっていたのにもかかわらず、残念ながら無人のお家に取り残されてしまった猫たちも複数頭保護されています。

 

行政などに問い合わせをしても、個人情報の保護の理由から飼い主さんの連絡先は教えてもらえず、「高齢者飼い主による残されたペット問題」は行政の介入が希薄で大きな問題となっています。
また、所有権の問題や個人宅への立ち入りの問題もあり勝手に連れ出すことができせん。

 

手も出せずにもどかしい現状を眺めることしかできず、その間に取り残されたペットが衰弱して瀕死でのレスキューも多々あります。

目の前の小さな命が蔑ろ(ないがしろ)にされてしまう現実に、いつも非力さや悲しみが込み上げてきます。

 

ハウスにもなじんできたゴンちゃん。みんなでお父さんを歓迎しています。

（元飼い主様より掲載許可をいただいております）

 

私たち動物愛護団体が保護ができるのは一部の子たちです。

もし、身近に高齢者の方でペットを飼っている人がいたなら・・・
　・万が一のときに備え、ペットを託せる人や場所を探しておく
　・高齢者の飼い主様がご自身の健康等を理由にペットをお世話できなくなる前に、小さな命を託す、手放す勇気を持つ

ペットも一緒に歳をとります。

飼い主様が倒れた時には、飼われていた動物もシニアで持病も抱えていることがほとんどです。保護団体や周りは引き取りを拒否することが多いのが現状です

 

どうか一人ひとりが小さな命を守る意識を持っていただき、説得とサポートをお願いします。