衛生・安全管理についてー医師の指導にもとづく感染症対策支援

「ARROWSは災害が専門じゃないの？ 感染症対策支援もやるの？」

そんな疑問をもたれた方もいるかもしれません。結論は「YES」であり、「NO」でもあります。ARROWSは、主に昨今頻発する大規模災害を想定して2019年12月に発足しました。他方、今回の世界的危機を受け、ARROWS医師の専門的知見と緊急災害時のロジスティクスの経験・ノウハウをつなぎ合わせて、私たちには微力でもできることがあると判断し、支援の開始を決定しました。背景には、これまで災害支援の現場で連携し、目下現場で支援活動にあたっている現地のパートナーなどからの要請に答えたいという思いがあり、また国際協力の舞台でも深刻な課題となりつつある感染症予防対策の知見をさらに深め、社会課題解決の可能性を広げたいという狙いもあります。現時点で世界的な感染症対策予防の現場すべてに出動する想定はしていませんが、随時、慎重に判断していきます。

１月末、上海の病院に医療用マスクなどを届けた際、受け取った輸送班メンバーからは「現在、医療品の支援は武漢市が優先されているため、上海の病院では在庫がなく、本当にありがたい」との言葉がありました。現地では、情報統制化にある中国の現実と、切迫した現場で孤軍奮闘する人々の姿がありました。

なお、中国での活動にあたっては、日本にいるARROWS医師2人が専門家として調査内容の策定や調査結果の分析を続けています。派遣スタッフの感染予防のため、派遣前には医師より新型コロナウイルスの特徴やその他のウイルスとの違い、今回の感染経路、死亡率などの基礎情報、万が一感染の疑いがみられる場合の対処方法などを指導しました。また帰国後には、厚生労働省の指導に沿って医師が判断した一定期間の待機処置など衛生管理を徹底して行っています。