今回は、ライチョウ域外保全プロジェクトチームが動物園ではできない学術研究分野でお世話になっている岐阜大学の仲間たちを紹介します。

彼らの研究成果のおかげで、動物園の飼育繁殖技術が大きく前進しています。

 

    「チーム繁殖研」    動物繁殖学研究室の学生たち(一部)

                右側最後列が 楠田 哲士 准教授

 

岐阜大学・動物繁殖学研究室は,2011年から動物園のスバールバルライチョウ,2013年から野生のニホンライチョウ,そして2015年からは動物園のニホンライチョウの繁殖生理研究に取り組んできました。

 

ニホンライチョウについては,今,富山市ファミリーパーク,上野動物園,大町山岳博物館と一緒に,どうすれば野生状態に近くうまく飼育して繁殖させられるのかを,生理学的に研究しています。

 

鳥類は,光環境(動物園では照明環境)によって生理状態がすぐに変わってしまうとても繊細な生きものです。

動物園では,ライチョウの飼育において,「光」というものをとても慎重に扱っています。

ライチョウは極寒の地に生きていることから,「光」だけでなく「気温」も,その生理変化や繁殖に,かなり影響していることがわかってきました。

私たちはライチョウの飼育園と一緒に,そんな飼育環境条件が,どのように生理や繁殖に関わっているのかを明らかにしていくことで,動物園でのよりよい飼育と繁殖につながるよう研究を進めています。

 

            ライチョウの糞便を分析中 

 

実際は写真のように、ライチョウの糞便の中に含まれる性ホルモンを分析しています。数えてみると,これまでに飼育のライチョウ57羽,糞の数だと7700個も分析していました(スバールバルライチョウ含む)。

 

糞便を使うことで,ライチョウの体内の性ホルモンの分泌状況を,間接的に把握することができることが初めて分かりました。この方法なら,ライチョウに負担をかけることなく,いつでも継続的に調査することができます(本来は採血して血液中の性ホルモンを調べる方法になります)。

そして,糞便なので野外でも採取できます。自然状態での年間の生理状態を知ることもできています。

 

飼育と野生の生理データを比較しながら,どういう飼育条件がよいのかを動物園と一緒に考えています。

 

上の写真は、私が人生で初めて出会った乗鞍岳の野生のニホンライチョウです。この感動が今の研究につながっています。

 

このライチョウをみんなで守っていきましょう。私たち「チーム繁殖研」は,生理学の研究でライチョウの応援を続けていきます。

 

大学の研究は,今いろいろな意味で困難になってきています。皆様のご支援は,こういった研究にもつながり,そしてライチョウの適正飼育や保護増殖にもつながっていきます。

 

90%を超える皆様の支援の輪を本当に嬉しく思っています。

あともうちょっとです。応援をよろしくお願いいたします。

 

                        

                     岐阜大学応用生物科学部
                       准教授 楠田 哲士