プロジェクト概要

ニホンライチョウは、本州中部の高山帯にのみ生息している鳥で、国の特別天然記念物になっています。しかし、現在、生息数は2,000羽を切ったといわれ、絶滅危惧種にも指定されています。トキは絶滅の危機に瀕してから羽数を増やし野生に放つ状況になるのに40年あまりの歳月が必要でした。ライチョウを絶滅から守るためには今すぐ、飼育・繁殖技術の蓄積と専門の人材育成を進めていくことが必要なのです。

 

 

 

古くから語り継がれた「神の鳥」を消さないために、飼育・繁殖技術の蓄積と専門の人材育成を進めたい

 

ページをご覧いただき、ありがとうございます。富山市ファミリーパーク園長の石原祐司と申します。富山市ファミリーパークは富山県富山市にある動物園で、自然豊かな丘陵地帯に位置し、開園当初から主として郷土や日本の動物を飼育展示してきました。動物園で働き始めてから35年、ヒトと動物、そして自然との橋渡しをしたいという想いでやってきました。

 

ところで、皆さまはニホンライチョウを見たことがありますでしょうか?トキと同じように国の特別天然記念物でありながらも絶滅危惧種に指定されている鳥で、ライチョウの生息数はいよいよ2,000羽を切ったといわれています。

 

そのため環境省が保護増殖事業に乗り出しています。実際の保護活動は(公社)日本動物園水族館協会が中心となってプロジェクトチームを作り、このチームに参加する動物園と各自治体の予算や愛鳥基金の助成金などをもらいながら進めています。しかし、その助成金も今年度で終了します。次年度以降の活動を各動物園の独自予算に頼るには限界があります。

 

特にライチョウは高山地域に生息し、特別天然記念物であるために種の保存のための飼育・繁殖技術が確立していません。当園を含む動物園のチームでも、飼育技術や繁殖技術の確立に取り組み、定期的に情報交換を行っていますが、まだわからないことが多数あります。

 

このような状況の中で、ライチョウを絶滅から救うには飼育・繁殖技術の蓄積を急ぐとともに専門の人材育成を進めるとともに、差し迫った現状を広く訴えていくことが必要です。

 

そこで広く皆さまに現状とその保全に対してのご理解を深めていただくと共に、ライチョウ保護増殖に関してご支援を得るべくクラウドファンディングを立ち上げて必要な活動資金を得ることに致しました。

 

どうかご支援をよろしくお願い致します。

 

ライチョウ(オス)と私

 

 

ライチョウとは

 

ライチョウといっても、地球上には16種類もいるといわれていて、北半球にだけ生息しているキジの仲間(キジ目 ライチョウ科)の鳥類です。日本には本州中部の山岳地帯にすむニホンライチョウと北海道の森林地帯にすむエゾライチョウの二種類がいます。

 

岩場にたたずむ二ホンライチョウ 夏毛(オス)

 

このうち、ニホンライチョウ(以下、 ライチョウ)については、日本列島が大陸と陸続きであった最終氷河期に大陸から移りすみ、その後温暖化とともに気温の低い高山帯に取り残されたと考えられていて、「氷河期の生き残り」とも言われています。

  

日本では古くから「らいの鳥」として知られていて、山岳信仰とも結びつき「神の鳥」として大切に守られてきていて、大正時代には特別天然記念物に指定されています。その生息数は1980年代には約3,000羽と推定されていましたが、その後の調査に基づき、現在では2,000羽以下と推定されています。現在は頚城山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスの分断された5カ所の標高2500m以上の高山帯で暮らしています。

 

雪原を歩く二ホンライチョウ 冬毛(オス)

 

そして、近年は ①登山者や観光客による生息環境の攪乱、②キツネ、カラス等の捕食者となり得る種の分布拡大、③山岳環境汚染等に起因する細菌・ウイルス等の感染のおそれ、④ニホンジカ等の本種の生息域に従来生息していなかった野生動物の分布拡大による生息環境の劣化、などからその生息が脅かされています。

 

このため、近い将来に絶滅するかもしれないという危険度が高まっており、環境省のレッドリストにおいて「絶滅危惧種」にも指定されている鳥です。

 

 

なぜ富山市ファミリーパークがライチョウ保護に乗り出していくのか

 

富山市ファミリーパーク(以下、パーク)は1984年に開園した動物園で、富山市郊外の自然豊かな丘陵に位置しています。

 

富山市ファミリーパーク ー上空よりー

 

開園当初より郷土(富山並びに日本)の自然や動物を展示、普及することを目的とし、主としてタヌキやキツネ、ムササビ、ノウサギ、シカ、クマなどの身近な郷土に暮らす動物たちのほか、富山県の県獣でもある、特別天然記念物のニホンカモシカなどの飼育展示と繁殖(種の保存)に取り組んできました。

 

ニホンカモシカ(左上) タヌキ(右上) サル(下)

 

近年は「人を元気に、森を元気に、いのちを元気に、地域を元気に」をコンセプトに、展示動物や園内の里山の自然を活用し、多様な生物の世界やいのちのつながりを伝えてきました。

 

 トンボの沢 ー富山市ファミリーパーク内ー

 

ライチョウは富山県に生息し、まさしく郷土を代表する県鳥でもあります。富山に暮らす人々にとっては知らない人がいないくらい関心が高く、ことさら思い入れの多い鳥です。パークがある富山市の薬師岳にも生息し、ライチョウが生息する地元の動物園としてはその飼育繁殖に取り組み、その情報や現状を伝え、その保全に貢献することは、パーク開園以来の念願でもありました。

 

   冬毛のライチョウのつがい(手前がオス)ーハイマツの茂みにてー

 

 

これまでのライチョウ飼育の取組み

 

パークにおける、ライチョウの保護増殖事業は2010年よりスタートしました。それまで、ライチョウの保護増殖に必要な飼育繁殖技術は確立しておらず、当時、恩賜上野動物園(以下、上野)が進めていた、近縁種のライチョウ(ノルウェー産「スバールバルライチョウ」)を使った飼育繁殖研究に連携するかたちで、その近縁種の飼育繁殖に取り組んできました。

 

2012年に国(環境省)がライチョウの保護増殖事業計画を策定し、それまでの近縁種での飼育繁殖実績から国内の動物園が加盟する(公社)日本動物園水族館協会(以下、JAZA)がライチョウの生息域外保全事業に連携協力することになりました。JAZAではこの事業についてプロジェクトチームを結成し、パークもそのメンバーの一員として、ライチョウの保護増殖事業に加わることになりました。

 

乗鞍岳での採卵の様子

 

2015年には乗鞍岳で採取されたライチョウの卵をパークと上野で各々5個ずつ受け入れ、人工的な孵化・育雛に取り組みました。この年はパークで孵化したヒナ3羽の成育に成功しています。

 

真剣な眼差しでライチョウの卵を観察する飼育員

 

2016年には新たに大町山岳博物館(以下、大町)が加わって、前年と同様に3園館で各々4個ずつのライチョウの卵を受け入れ、各園とも孵化・育雛に成功し、11羽が成育しています。このうち、パークではヒナ4羽の成育に成功しています

 

2017年はパーク、上野、大町の3園館で各々でこれまでに孵化育雛し飼育しているイチョウのオスとメスを番(つがい)として、新たに人工繁殖に取り組みました。その結果、12羽のヒナの孵化・育雛に成功し、現在順調に成育中です。パークでも3羽のヒナが誕生しており、過去2年間に成育した7羽と合わせて、現在、国内最多の10羽のライチョウを飼育しています。

 

同一個体のライチョウ(オス)成長具合

 

孵化15か月齢のライチョウ(オス)

 

 

今回の資金で実際に実施すること

 

ライチョウ基金はライチョウ保護増殖事業の目的を達成するために、以下の活動の推進に活用させていただきます。

 

①ライチョウの飼育管理・繁殖技術の確立

 

ライチョウの飼育繁殖のための専用飼育ケージや孵卵器などの備品や、飼育管理、繁殖管理、病理など調査研究用消耗品の購入などに活用します。

 

ライチョウ舎での飼育管理の風景

 

②ライチョウの保護増殖に関わる飼育者や研究者の育成

 

大学等の研究機関と連携した栄養分析や飼料開発、性ホルモンや腸内細菌の分析などの調査研究やそれらの研修会、研究会の開催や招集などに活用します。

 

 

③ライチョウの保全の取り組みの普及啓発

 

市民・県民・国民のライチョウへの保護意識を高めるための、展示やシンポジウム、報告会などの開催に活用します。

 

 

 

今後の展望

 

富山の人々にとって地元立山のライチョウは、いて当たり前のように思われていますが、実は有り難い存在であり、絶滅が危惧されているということを知ってもらいたいのです。

 

ライチョウは5月中頃~下旬によく観察される ー立山室堂にてー

 

実際に立山でライチョウに遭遇すると皆、その美しさ、可愛らしさに感動を覚えると思いますが、この感動を子や孫、そして次の世代にも伝え、残すためには我々は何ができるか、ということまで考えてほしい。

 

この光景をいつまでも残したい。皆に温かく見守られて登山道近くのハイマツ林を歩くライチョウ

 

動物園としてライチョウという、自然遺産の保護増殖に直接、関わることができることは大変光栄なことであり、責任の重さとともに少しでも保全に貢献したいと考えています。

 

私たちは日本のライチョウの生態や現状を伝え、地球温暖化に対する自然環境保全の重要性を市民に啓発していきます。特にパークがある富山市は「環境モデル都市」として身近な環境保全の意識を高め、温室効果ガスの削減など市民ひとりひとりのエコライフを推進しており、市の取り組みにも結びつけて行きたいと思います。

 

夏毛のライチョウのつがい(手前はメス)登山道近辺にて

 

パークはライチョウという郷土を代表する鳥を通して、個々の動物の保全の重要性と自然環境の多様性の大切さを郷土の自然の素晴らしさとともに伝えます。また、来園された方々が園内の里山の自然の中で、人と動物と自然の関係を見つめ直し、一人一人のいのちが元気になる施設を目指していきます。皆さまのご支援をよろしくおねがいします。

 

 

公益社団法人日本動物園水族館協会

生物多様性委員会・ライチョウ域外保全プロジェクトチーム:

富山市ファミリーパーク、東京都恩賜上野動物園、大町山岳博物館、那須どうぶつ王国、いしかわ動物園、東京都多摩動物公園、長野市茶臼山動物園、横浜市繁殖センター、飯田市動物園、横浜市金沢動物園

 

 

税制上の優遇措置について

 

富山市ファミリーパーク公社は、富山県知事より「公益財団法人」として認定を受けておりますので、寄附金には、特定公益増進法人としての税制上の優遇措置が適用され、所得税、住民税、法人税の控除が受けられます。

 

 


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