すべての大人に「子どもとともに生きること」を考えるきっかけを

 

NPO STARSの春田です。

いつも私たちNPO STARSの取組を温かく見守り、応援して下さり本当にありがとうございます。

今日現在、30名の方々からご支援を頂き、28％達成という状況です。

少しずつ私たちの想いが届き始めているのかな？という手ごたえと、刻々と迫る終了日へのカウントダウンの狭間で、毎日気が抜けない状況です。

ですが、これからも私たちは自らの取組を、自らの想いを、そして社会的養護の下で暮らさざるを得ない子ども達の実情を様々な場面で発信し続け、皆さんと共に考え続けられることを願っています。

 

 

さて

先日、私が勤める児童養護施設に、卒園生が遊びに来ました。

生活の様子や仕事の様子など、近況についていろんな話をしていたのですが

ふと会話が途切れた時、「私が初めてこの施設に来た時、みんな私の名前を呼んでくれたやん。でも私、全員知らん人やで。めっちゃ気まずかったわ～」と入所初日のことを唐突に話し始めました。

 

 

彼女曰く、ある日突然児童相談所の職員が家を訪れ、なんだかよく事情が呑み込めないまま一時保護が始まり、気づけば児童養護施設が新たな生活場所になっていたとのこと。

初めて出会った大人達や子ども達が自分の名前を知っていたことにとても驚いたこと、みんな気を遣ってくれて話しかけてくれたけど、自分は何もその気持ちに応えられるような態度が取れなかったこと、そして、彼女が唯一の心残りとして今でも鮮明に心に焼き付いているのが、家で遊んでいたゲームを施設に持って来られなくて残念な思いであったということ。

 

 

施設を巣立ち社会で新しい生活が始まり、私としては不安を抱えながらもまあまあそれなりに暮らしているのだろうと思っていたため

彼女が語った言葉に、少なからず衝撃を受けました。

 

 

「なんで今、そのことを語ろうと思ったの？」

 

 

彼女に尋ねてみたところ、「ん？何となく思い出してん」と首をかしげながら答えてくれました。

その様子を見たとき、私はふと、昔とある場で聞いた言葉を思い出しました。

 

 

『人は、うれしい気持ちや楽しい気持ちを誰かと共有すると、その思いは強化され、忘れられない強固な思い出として心に残る』

『人は、悲しみや怒りというマイナスの気持ちを誰かと共有すると、その気持ちはスッと軽くなる』

 

 

結局、彼女がなぜ今このタイミングで語ったのかということについて、私はこれ以上深く彼女に尋ねることはしませんでしたが、何となく自分の人生の節目として一区切りつけたのかな？と考えていました。

私たちは普段の暮らしの中で、子ども達が抱えている様々な想い（その子が歩んできた歴史と言い換えてもよいかもしれません）に出会います。

そんな時、その状況に応じて的確に対応するということはまずあり得ません。

おおよそほとんどの場合、「あの時、もっと違う言葉をかけてあげたらよかったかな？」「他の方法があったかもしれないな」と反省モードに突入します。

 

 

目の前の事象について常にベストの解答を導き出すことが私たちの仕事である！・・・そんなことはあり得ません。

常に悩み、行きつ戻りつを繰り返し、でも、目の前の子ども達にとって今何が必要なのだろうか？と考え続けること。

チームメンバーと語り合うこと。

同じ志を持った全国の仲間たちと研鑽し続けること。

 

 

毎日が気づきの連続です。

その気づきが、いつかどこかで目の前の子ども達と繋がれる素敵な仕掛けに変われば良いなと思っています。