1/3からの続き

全体で471万円の予算が必要だとして、次にこれをどう賄うのかという問題に直面します。
 

1季節2会場で、合計12回の本番があり、1回あたりの定員が80名なので、最大960名のお客様がご来店することになります。もしこの予算をご来店されるお客様だけで賄おうとすると、1人あたりの参加費は、約4900円になります。
 

この4900円という金額が、高いのか安いのかいうと、劇場で一流作品のお芝居を観るとしたら、安すぎる値段です。ホールでクラシック音楽のコンサートを聴くとしたら、安すぎる値段です。自然派レストランでシェフこだわりのお食事を堪能するとしたら、安すぎる値段です。オブンガク堂caféでは、この3つを少しずつですが、一度に味わうことができます。とすれば、参加費4900円は、安すぎる値段とも言えます。
 

しかし、小さなお子さんや子育て中の親御さん、学生や薄給の若者や、年金暮らしのお年寄りたちにとってはどうでしょうか?親子で参加したら約1万円です。家族四人なら、約2万円です。
 

そこにお金を払うなら、別のことに使いたいと思う人が多いのではないでしょうか?子供のおもちゃ、ゲーム機、漫画、お父さんの晩酌、お母さんの美容院、おじいちゃんの薬、化粧品、洋服、家族旅行、携帯電話、塾、外食…、まことに残念ながら、それが現実ではないでしょうか?
 

お金がもう少しあったら観に行けるのにねぇ、という声を聞いたこともあります。私自身もその気持ちがわからないわけではありません。ですが、このような状況を見ると、文化芸術にお金を使うということの優先順位が低いことを認めざるを得ません。
 

趣味や娯楽、癒しや美容、便利さや手軽さを得るために使うお金は惜しまず、感性や知性を養う文化芸術に払うのは惜しい。これでは、この国の文化度が高いとは、社会成熟度が高いとは、民度が高いとは決して言えません。こんな社会状況下では、4900円の参加費を払ってでも芸術体験を最優先したいと思う人はかなり限られることでしょう。
 

ではせめて、参加費を大人2500円、子供1000円にしたらどうでしょうか?どのくらい参加しようとする人が増えるでしょうか?答えはわかりません。そもそも価値を感じないことには、誰も1円だって払いたくないのです。
 

でも、感性と知性を拡げるために、ソウゾウの翼を広げる時間と空間を体験することは、成長期の子供たちにとって、知的好奇心や探究心を満たし、向学心を芽生えさせる最良のきっかけにならないでしょうか?

また、その成長に直接・間接的に関わる大人たちにとっても、未来をイメージする力、新しいものを生み出す力、この二つのソウゾウの翼は、普段の生活にも大いに役立つ力ではないでしょうか?
 

人々の感性と知性がもっともっと拡がったら、相手の立場や痛みを理解できるようになったり、物事に潜む本質的なことを見抜けるようになったり、そしたら、どんな社会が実現するでしょう?
 

感じるココロと考えるアタマを取り戻すことは、長い目で見ても、短い目で見ても、子供にとっても、大人にとっても、お金には変えられない、金額以上の価値があると思うのです。
 

続きは、文化芸術体験に払うお金はいくら? 3/3 へ

福岡の中州にあるバーを貸し切って、福岡出身の作家、夢野久作の作品を。

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