6年前の312日は、福島第一原子力発電所の1号機が水素爆発、その後は悪夢の様に連鎖的に爆発などが起きました。廃炉に至までの道のりの長い、気の遠くなる膨大な時間と国民への負担としてのしかかってくることがが予想されています。

 

 

 映画「おだやかな革命」では、福島県内で立ち上がったご当地エネルギー会社、会津電力と飯館電力を取材してきました。飯館村では除染活動が続くなか、避難先での生活が長引く人々、福島の人々は前を、見つめながら動き出しています。本映画を撮ることを決心し、最初に取材をさせていただいたのが福島県喜多方市の老舗酒蔵・大和川酒造店会長の佐藤彌右衛門さんでした。喜多方といえばラーメンや蔵で有名な町ですが、芸術や文化に対する関心の高い町でもあります。そうした町の雰囲気を作ってきたのが、地域経済の要でもあった商家や酒蔵の旦那衆です。弥右衛門さんのお父様も、地域振興や文化事業に力を入れてきた方で、ご自身も「会津電力株式会社」代表取締役社長や、「ご当地エネルギー協会」会長を務めていらっしゃいます。

 

酒造りは、地域の資源(米・水)によって支えられています。そのことから、酒造りだけでなく大和川ファームという農業法人も立ち上げ、米作りにもこだわっています。次世代へ、よりよい地域を受け渡して行くためには何をすべきなのか?その問いに立ちながら、再生可能エネルギーの事業に取り組む彌右衛門さんの言葉には、いつも地域への愛が満ち溢れています

 

 

福島県では原発事故後、「県内のエネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで生み出すこと」を目標とする様々な取り組みが行われています。行政の取り組みと同時に、民間でも様々なエネルギー事業が動き出しています。

先にご紹介した佐藤彌右衛門さんは、「会津電力株式会社」の他にも、県内のエネルギー事業や原発事故からの復興支援などを行うことを目的とした「ふくしま自然エネルギー基金」の代表理事や、原発事故による全村避難を余儀なくされた飯舘村の電力会社「飯館電力株式会社」の設立にも関わっています。

 

飯館村は広範囲に渡り、放射能によって汚染の被害を受けた

原発事故後、ニュースなどで耳にすることも多かった飯舘村。現在は全村避難の対象となっていますが、今年の3月末には避難解除の予定となっています。しかし、農業と畜産が中心だった村で、帰還後の村での基幹産業はどうなるのかというのが大きな課題となっていました。そんな中で、いつか村に人々が村に戻るときの産業にできればということで「飯館電力株式会社」が立ち上がりました。この事業の特色は現在、それぞれの避難場所で暮らす飯舘村の人々が、出資している点にあると思います。大変厳しい状況にありながらも村の将来のために、今、できることをする。現実に対して、まっすぐ前向きに取り組む人々の姿勢に、取材をしている私自身も大きく勇気づけられました。この映画を通じて、福島の人々からもらった希望や勇気を、映画を見てくださるみなさんにもお届けしたいと思っています。

 

飯館村の農地を守るために、除染が済んだ農地にうっそうと生える雑草と日々戦う

 

避難先から足しげく通う、飯館電力(株)代表取締役社長・小林稔さん

 

飯館電力太陽光発電所第一号の記者会見にて

 

 

 

今も避難先で畜産農家としても活躍している

 

最後に、佐藤彌右衛門さんからメッセージを掲載いたします。

 

東京電力福島第一原子力発電所の事故は未曽有の悲劇を生み出しました。決して許されない決定的な事故でした。国も東電も全面的に事故の責任を取ることを国民の前に明らかにして謝罪をしなければなりません。その上で初めて私たちも原子力発電を容認してきた事を反省し責任を取り、地域社会の自主自立を行い、再生可能エネルギーへの切り替えを行わなければなりません。

渡辺監督の映画は二作とも監督が地域の文化豊かな人々と共に生きて、そして育てられたしなやかな感性と詩情に溢れています。

おだやかな革命は会津に生きる私たちの未来を見つめる生き様を取り上げて頂きました。心より応援申し上げます。

 

合資会社 大和川酒造店 佐藤彌右衛門

 

奥会津の只見にあるダムを前に、会津への愛と地域自立への道を語る佐藤彌右衛門さん

 

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