お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。

プロジェクト開始より2週間が過ぎました。この3連休中も途絶えることなくご支援を頂きまして、スタッフ一同心より感謝申し上げます。

 

さて、今回はご支援いただきました方への成立後のお礼(リターン)について、一部ご紹介いたします。

 

まず、全ての支援者のお名前(※ご了承いただいた方のみ)を、当館のホームページに掲載させていただきます。ニックネーム、ご本名、ご家族やかわいいペットのお名前など、掲載するお名前のご希望も承っております。

 

そして、5千円以上のご支援を下さった方へのお礼として、当館の所蔵資料がいつも皆様と共にあるように、という気持ちを込め、成立後に当館所蔵の台本をデザインとして使用したオリジナルの文庫本カバーを作成します。2種類1セットとなっており、歌舞伎と映画、それぞれから1冊ずつ台本を選んでおります。

 


(本物の台本[大きい方]と文庫本カバー ※文庫本カバーは見本です)

 

歌舞伎は、平成29年3月歌舞伎座上演の『助六由縁江戸桜』の台本です。
『助六由縁江戸桜』は、七代目市川團十郎が1832(天保3)年3月市村座で「歌舞伎十八番」を制定したときに演じた演目です。舞台は江戸吉原仲之町三浦屋格子先の場の一幕のみですが、登場人物は100名近く、上演時間は2時間余りにもなる華やかな大舞台です。平成29年3月歌舞伎座の上演では、花川戸助六実は曽我五郎を当代の十一代目市川海老蔵丈が演じました。市川宗家が演じる『助六』ならではの口上では、演奏を受け持つ河東節の開曲三百年を記念する公演であることが述べられましたが、こちらの上演台本の表紙にも、「河東節十寸見会御連中(かとうぶしますみかいごれんじゅう)」と記されています。

 

映画は、1953年に公開された『東京物語』の台本です。台本表紙に細く濃い青の筆跡のタイトルは、作品のもつ優しさや寂しさをあらわしているようです。日本を代表する巨匠、小津安二郎監督によるこの不朽の名作は、21世紀になった現在も根強い人気があり、2012年には「英国"Sight & Sound"誌主催のオールタイム・ベスト2012」で、『東京物語』が1位に選ばれています。これは、世界の映画監督358人が、最も優れた映画を投票で決めるもので、10年に一度実施されています。また、小津安二郎監督の生誕110周年にあたる2013年には、ニューデジタルリマスター版のDVD及びBlu-rayが発売されており、「小津調」と呼ばれる独特のスタイルで丁寧に描かれた、『東京物語』の夫婦や家族の姿が、美しくよみがえっています。

 

歌舞伎と映画、どちらの台本も、請求記号のラベルや押されたハンコも、そのまま小さく文庫本サイズにしたデザインの文庫本カバーとなります。紙製ですが、長くお使い頂けるようにマットなコーティングがしてあります。文庫本にかけていただくと、お手元の本がまるで小さな台本のように見え、お楽しみいただけます。

 

ところで当館では、『東京物語』の台本だけでなく、スクラップも1冊所蔵していますので、この機会にご紹介します!

スクラップの左頁には、毎日新聞の英文の批評記事が貼り込まれており、「for foreign audiences, the various complicated customs of the Japanese daily life, will no doubt be of much interest.(外国人の観客は、日本人の日常生活の複雑で多様な習慣に間違いなく大いに関心を抱くだろう)」といった英文など、外国人が観ることを想定して書かれた批評が載っています。右頁には、「東京物語を語る」と題して座談会形式での批評記事が書かれており、記事の左側には笠智衆と東山千栄子に演技指導をする小津監督の写真があります。小津安二郎監督は、『東京物語』公開の年は50歳で、1年につき1作品を製作するスタイルをとっており、当時の映画界では寡作でしたが、完成度の高い作品を世に送り出していました。他の貼り込まれている記事にも、「完成期の"小津芸"」、「脂ののった集大成作品」などといった、充実した時期であることをうかがわせる見出しが見られます。

 

プロジェクトが成功したあかつきには、皆様からのご支援で制作した保存箱に、この『東京物語』のスクラップも入れて、より良い状態で保存したいと思います。

 

以上、今回の新着情報は5千円以上のご支援を頂いた方へのお礼の文庫本カバーのデザインに使用した台本の作品に関するお話でした。

 

今後の新着情報では、3万円以上ご支援くださった方へのお礼の、浄瑠璃正本「新うすゆき物語」と組上燈籠絵「め組のけんか」のオリジナル文庫本カバーや、1万円以上ご支援を頂いた方へのお礼として、台本カバーにお名前をお入れする作品を選んでいただくリストにある、映画作品、歌舞伎・新派作品の台本についても、写真などを交えご紹介したいと思います。これからもぜひこのプロジェクトの新着情報をご覧ください。

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