支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 220人
- 募集終了日
- 2017年10月25日
株式会社資料保存器材見学報告
お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。
19日に発送したお礼の文庫本カバーがお手元に届いたという嬉しいお知らせを、早速、支援者の方から頂きました!まだお手元に届いていない方は、もう少々お待ちください。また、今週末までに届かないようでしたら、年内は12月25日~27日、年明けは1月11日以降にお電話で当館までご連絡下さい。
○松竹大谷図書館へのお電話はこちら
℡:03-5550-1694(平日:10時より17時)
さて、今週当館に納品されました【映画スクラップ】のアーカイバル容器ですが、実は去る12月4日、ご多忙中の株式会社資料保存器材さんにお邪魔して、アーカイバル容器の制作過程を見学させて頂いたのです!その折のご報告を致します。
資料保存器材の工房は文京区の六義園に程近い本駒込のビルの中にあります。最初に見学の流れを簡単に伺った後、いよいよ工房をご案内頂きました。
まず、目に入ったのが紙をカットするための2台の大きなカッティングプロッターです。
こちらのプロッターは縦置なので、省スペースでの作業が可能だそうです。
こちらが見学中、当館の「タトウ式保存箱」の内側のパーツのカット作業が進められていたプロッターです。今回は、この機械の作業をメインにご説明頂きました。下に見えるのがバキューム(吸引)パーツで、紙を下から吸引することでカッティングマットに吸い付けて固定し、カッティングや筋押し(筋を付ける作業)の最中に紙が動いたりしないようにするそうです。プロッターを囲うように吊られている薄緑色の間仕切りカーテンは、作業中プロッターから発生する大きな音が、なるべく外へ漏れないようにするためのものです。
プロッターの盤面には、空気を通しやすいよう穴が開いています(写真左)。また、プロッター真上の空調の吹き出し口には、空気が直接プロッター(作業中の紙)へ吹き付けないよう、風よけカバーが取り付けられていました(写真右)。
早速「タトウ式保存箱」のパーツの切り出し作業を見せて頂きます。
まず紙をセットします。この大きな紙から、パーツがいくつ切り出されるでしょうか?
最初に、番号やパーツ同士を貼り合わせる時の見当(目印)等が印刷されます。「タトウ式保存箱」はオーターメードで、スクラップ一冊につき保存箱を1箱制作して頂くので、1つ1つにIDとなる番号が振られています。
印刷が終ると、次に車輪のようなローラーが、紙の上を転がり、折筋などが筋押しされていきます。
最後に、ローラーの横にあるカッターが、切り目を入れていきます。
カッティングが終ると、奥の方に「タトウ式保存箱」の内側のパーツが7つ切り出されました。
これらの作業のコントロールは、ソフトウェアが行います。
こちらが、先日当館で採寸して頂いたスクラップブックのサイズからソフトウェアが起こした保存箱のカッティング設計図です。昔はもちろん手作業で設計図を作っていたそうですが、今はソフトに資料のサイズを入力するとそのデータをもとにソフトが設計図を起こしてくれるそうです。手作業時代に蓄積された箱作りのノウハウをソフトやハード部分に還元することで、現在では職人の技術が常に安定して再現できるようになっているそうです。
見学をさせていただいている間にも、素晴らしいスピードで保存箱のパーツが次々と切り出されていきます。「タトウ式保存箱」は233箱制作して頂きますが、それぞれのパーツに印字された番号から、だいぶ作業が進んでいる事がわかります。
次に「タトウ式保存箱」の外側の留め具を取り付ける部分に、タイベックテープを貼る作業を見せて頂きました。タイベックは建築資材や防護服などに使用される防水・耐久性に優れた不織布です。このテープを貼ることで、留め具部分が補強され、また優れた防水性により手がよく触れる部分でも汚れの付着が防げるそうです。テープに使用されている素材や接着剤は資料に悪影響を及ぼさないものを採用して特注しているそうです。
テープが貼られた留め具を付ける部分に木槌と型抜きで穴をあけます。
留め具を取り付けていきます。留め具はシンプルな構造にする事で、壊れにくくしているそうです。
次にスティック状の接着剤を熱で溶かすグルーガンで、外側のパーツと内側のパーツを十字に張り合わせます。接着剤はやはり資料に影響を及ぼさない成分のものを特注し、連続して長い部分に塗るため、接着剤が素早く溶けるよう温度が高いグルーガンを特注して使用しているそうです。
私たちもグルーガンを体験させてもらいました。引き金を引くようにして接着剤を溶かすのですが、一定量の接着剤を溶かすためにはかなり力が要ります。貼り合わせてから20秒で完全に付くそうで、接着された後はびくともしません。
以上が「タトウ式保存箱」の主な工程です。一つ一つスクラップのサイズに合わせて、保存箱の大きさも一つ一つ違います。紙製で保存箱を作る場合、型を作らなくてよいので、容易に違うサイズのものを作れる点が優れているそうです。組み立てを終えた箱は、納品後に番号順に資料を入れられるよう、順番に箱に詰められます。
次に「組み立て式棚はめ込み箱」の工程を見せて頂きました。両端に折り目を付け、カッターによって開けられた穴を抜いていき、留め具を取り付けていきます。
そして、フタの内側に汚染ガス吸着シート「GasQガスキュウ®」を入れるポケットを取り付けます。大きいパーツに途切れることなく接着剤が塗られ、素早くポケットパーツが取り付けられます。
実は素早く正確な位置にパーツを貼り付けるための見当が、プロッターによって印刷されています。右の写真は三角の頂点にわずかに線が印刷されているのですが、見えるでしょうか?
「組み立て式棚はめ込み箱」も見る間に出来上がっていき、積まれていきました。
一通り保存箱制作工程を見せて頂いた後、特別に修理工房を見学させて頂きました。他の資料館さんの所蔵資料を取り扱っているため、写真でお伝えできないのが残念ですが、冊子から錆びたホチキスを取り除いて綴じなおす作業や、浮世絵の台紙の張替え作業、本と共に保存する外箱の 劣化部分の補修作業や、番付のシワ伸ばし作業など、それぞれ担当するスタッフの方々が丁寧にかつ素早く補修していく様子を見せて頂きました。「治す」と「防ぐ」を組み合わせて提供している資料保存器材さんの業務を見せて頂く事ができ、大変充実した見学でした。
最後に新商品の「無酸素パック Moldenybe®モルデナイベ」と、汚染ガス吸着シートの新商品として「新薄葉紙Qluminくるみん」をご紹介頂きました。
無酸素パックは巨大なジップロックのようなファスナー袋に、脱酸素剤とともに資料を封印し、防カビや殺虫をする無酸素状態を作って、簡単にどこでもだれでも防カビ・殺虫が出来る用具です。
また、「新薄葉紙Qluminくるみん」は図書館総合展の記事でもご紹介しましたが、素材が「GasQガスキュウ®」に比べ、より薄くしなやかなので、資料を包む際に、劣化して紙が剥離した箇所などにもシートが引っ掛かることがなく、資料に負担が掛からないといった効用があるそうです。
最先端の技術が安価で手軽な用具に開発され、図書館員自身により資料の保存を手掛けられるように工夫されているのが、資料保存器材さんの製品の特徴です。また修復セミナーの主催や、専門図書館協議会主催の修復セミナーに講師の方を派遣するなど、資料の補修技術の普及も手掛けておられます。これらは全て、現場で資料を扱っている図書館や資料館の声を絶えず拾って寄り添っている資料保存器材ならではの理念だと、今回工房を見学させて頂き改めて実感いたしました。
以上、アーカイバル容器制作過程の見学ご報告でした。
さて、今週12月19日に当館への納品が完了し、あとは書架に配架されるのを待っている「組み立て式棚はめ込み箱」と「タトウ式保存箱」ですが、作業が進みましたらまたご報告致します!!
リターン
3,000円
活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載
■サンクスメール
■4月末に報告メール
■HPに名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします
- 支援者
- 39人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
5,000円
松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
3,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
…蔵出し台本『助六由縁江戸桜』平成28年3月歌舞伎座公演&『東京物語』小津安二郎監督作品の表紙の特製デザイン!
- 支援者
- 65人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
10,000円
オリジナル文庫本カバー+台本カバーに名入れ
5,000円のリターンに加え、
■台本カバーに支援者のお名前をお入れします
※作品リストより、ご希望の作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントにお書き下さい
※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがあります)
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
- 支援者
- 89人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
30,000円
オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ
10,000円のリターンに加え、
■組上燈籠絵「め組のけんか」の文庫本カバー
■浄瑠璃正本「新うすゆき物語」の文庫本カバー
- 支援者
- 16人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
50,000円
図書館見学会+オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ
30,000円のリターンに加え、
■図書館見学会にご招待
【2017年11月30日(木)開催 午前(15人)/午後(15人)】
「午前」「午後」のご希望を応援コメントにお書き下さい
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
※11月30日に見学会に参加出来ない方には予約制で、松竹大谷図書館の書庫を1時間ご案内するガイドツアーへの招待券をお送りします。有効期限:平成29年12月~平成30年7月の平日(開館日及び整理休館中)
- 支援者
- 13人
- 在庫数
- 16
- 発送完了予定月
- 2018年4月