私の名前はタグリード　羊を守り、ガザの女性の暮らしを守りたい

こんにちは。タグリードです。これまで、羊を育てる女性たちの様子についてお伝えしてきました。では、男性たちは何をしているのでしょうか。

 

パレスチナの家庭では、子ども・高齢者の世話、病気の人の看病など、「世話をする」のは女性の仕事です。加えて、家事も女性の仕事です。性別によって、家庭内の役割が決まっているのです。

 

 

パレスチナ統計局のデータによると、ガザ地区で女性が1日に家事に割く時間は3時間36分、男性は1時間13分です。子どもや高齢者の世話に関しては、女性の2時間20分に対し男性はたったの57分です。このように、家庭内での仕事の分担は、男女で不平等です。

 

女性には、人を引っ張るリーダーシップもあるし、技術もあるし、能力もあります。しかし、昔ながらの社会の規範により、多くの場面において、女性は意思決定の場には参加できません。

 

家庭での夫の様子について、4人の女性たちのインタビューをご紹介します。

 

【ナァマ・アルラス、41歳、子ども12人、ハンユニス県在住】

 

夫は家のことは何もしてくれません。羊の飼育に関してだけは時々アドバイスをくれますが。夫が家で出来ることと言えば、時々お茶を淹れるだけなのです！子どもたちの方がよっぽど手伝ってくれます。夫は小さい頃から母親や姉妹の家事を手伝うようには育てられてこなかったので、私を手伝うことも無いのです。結婚した当初は、家事を手伝ってくれるよう頼んだこともありましたが、「家事の方法を知らない」「自分の父親も母親を手伝っていなかった」と言うので、それ以来は諦めています。

 

私の母親は、兄弟をそのようには育てませんでした。今、兄弟たちは、彼らの妻の家事を手伝っています。家庭内でどのくらい家事を手伝ってくれるかは、どのように育てられたかが大きく影響すると思います。私は、子どもたちには、家事の方法を教え、夫が妻を手伝うことは恥ずかしいことではなく重要なことなのだと、できる限り教えています。このあたりの地域では、家事は、子育てに加えて女性がやるものだと思われていますが、それは全く平等ではありません！女性を手伝うのは男らしくないと男性は考えているのです！

 

 

【アマル・アブ・ネイマ、32歳、子ども4人、ラファ県在住】

 

夫はいつも私を支えてくれています。保守的な地域と保守的な親族たちの中で、夫の支えと励まし無しには、私は自動車免許を取得できなかったでしょう。私がパルシックのプロジェクトに参加して、夫の考え方は変わり、女性が外で働くということに関してより理解するようになりました。

 

私が羊小屋に行き羊の世話をしている間、彼は子どもたちの世話をし、勉強を教え、宿題を見てやり、子どもたちのために朝食を作り、帰宅した私がパンを焼くのを手伝ってくれます。彼は家のことをとても手伝ってくれるのです！

 

 

 

【ヤスミーン・アブ・サイード、34歳、子ども6人、ラファ県在住】

 

羊小屋や水耕栽培ユニットでの作業を夫が手伝ってくれてとても助かっています。夫は羊への注射もしてくれますし、家事も手伝ってくれます。私がチーズ作り研修から帰宅したとき、夫は皿を洗って食事を用意してくれていました。オーブンでパンを焼こうとしていた時には、薪をくべてくれて、焼きあがった大きなパンの塊をトレイに入れて運んでくれました。とても感謝しています！

 

羊小屋は私の土地に建てたので、特に金曜日（モスクに礼拝に行く日であり、パレスチナでは休日）は、他のメンバーが作業できないため、一日中羊の世話をしなければなりません。ある日、私が羊小屋から帰ると、夫が昼食を準備していて、鶏の内臓と羽を取り除いて洗っているところでした。鶏肉をきれいにすることのほとんどを夫がやってくれていたので、その後の料理がとても楽でした！

 

【ネハド・アブ・アンザ、43歳、子ども5人、ハンユニス県在住】

 

夫は家では何も手伝ってくれません。手伝ってくれることと言えば、羊の注射と羊の出産だけです。彼は何もかも私に頼り切っています。私が生活用品や食材を市場に買いに行き、重たいガスや小麦粉を運び、料理をし、皿を洗い・・・文字通り家のことをすべてしています。

 

確かに、生物学的な違いで女性が異なる役割を持つことはあるでしょうが、男性も家で妻を手伝うことは出来るはずです。しかしほとんどの男性は手伝いません。

 

 

このように、男性が協力的かどうかは、地域や家庭によって異なります。ただ、男性が家庭で女性を手伝わない最大の理由は、社会の性質にあると思います。ガザ地区は男性優位の社会であり、男性の仕事は女性が家で行う仕事よりも大事であるとみなされます。子どもと家の世話をすることが女性の使命であるという昔からの信念が受け継がれているため、家事・育児・介護は仕事であると見なされないのです。

 

女性が家で家事と子育てをし、男性はそれを手伝わないという社会の仕組みを変えるメカニズムが必要です。家事を夫婦で分担することが社会の規範になるためには、学校のカリキュラムを通して子どもたちに伝えたり、啓発活動を行ったり、行政や地域の団体等、様々な団体の努力が必要でしょう。

 

女性たちが生計を立てられるよう支援することで、私たちは、ガザ地区の保守的な農村地帯でのジェンダー平等を促進し、コミュニティでの女性の活躍を促進したいと思っています。皆さまからの寄付は、確実に女性たちの生活を変えています。一緒に彼女たちの生活を変えていきましょう！