食物アレルギーの子どもたちに、諦めていた旅行を届けたい！

　はじめまして、QOLトラベル栩野です。

本プロジェクトに興味をもって頂き、誠にありがとうございます。早くも8万円を超えるご支援を頂き、とても嬉しく思っております。

　こちらでは数回に分けて、募集のメインページに書ききれなかった関係者の思いなどを伝えていきたいと思います。よろしければお付き合い頂けると幸いです。

　今回は、食物アレルギー対応旅行誕生秘話をお届けいたします。

「食物アレルギー対応旅行」の誕生は、平成18年にさかのぼります。

■久米島『地域事業者連携の食物アレルギー対応』事業

　平成18年当時、沖縄県の久米島町では、「24時間救急対応の病院を持つ離島」としての独自性ある観光振興を検討していました。病院を活かした観光を議論しているなか、観光振興メンバーの一人でアレルギーっ子をもつ親（栩野）から「外食ですら大変な労力を要するのに、旅行なんて夢の話」という話が出て、島として、旅行における食物アレルギー対応に着眼したのです。

　食物アレルギーを持っていても、原因食材の誤食と混入を防げば外食や旅行を楽しむことができます。しかし、当時はまだ飲食店の対応や社会的理解が今ほど進んではおらず、外食や旅行に大変な苦労を伴っているのが実情でした。

　利用する前に、飲食店に料理の内容（使っている食材や調味料、そして料理環境など）を細かく確認する必要がありますが、時にはクレーマーと誤解をされ、利用自体を断られてしまうこともありました。そのため、確認に長い時間と、それ以上にエネルギーを使わないと外食も旅行もできませんでした。この自らの経験を踏まえ、親御さんが安心して、ストレスなく食事について情報収集ができる ” 食物アレルギーに配慮した旅行 ” で離島の豊かな自然を楽しんで頂こうと考えました。

　場合によっては命にかかわる危険がある為「リスクが高い」と不安視する声もありましたが、議論の末「旅行の楽しさを知らない子どもたちに、喜んでほしい！実現させよう！」という結論に達しました。そして、観光事業者のみならず、航空会社・フェリー会社・病院・NPO が協力し合い、日本初、おそらく世界初である食物アレルギー対応の離島観光の取り組みがスタートしました。

　翌年の平成19年、久米島にて食物アレルギー対応の観光を準備する事業者連携委員会を立ち上げました。委員会より食物アレルギー対応旅行事業を経済産業省事業に応募し、無事採択されました。この資金を活かし、アレルギー専門医や対応食メーカー、患者会代表の方など様々な皆さんの協力の下、対応体制の整備を開始しました。最も重要なポイントである料理についても、専門医・専門家からの指導と、シェフのクリエイティビティが合わさり、通常のメニューと全く遜色のない料理を作り出すことができました。

ホテル、飲食店関係者打合せの様子。

当時開発したメニューのひとつです。

　平成19年12月には、日本初のアレルギー対応旅行(モニターツアー)を実施。参加して頂いたお母様のお一人から「この子が生まれて初めて食事の心配をせずに楽しく過ごせた」と、涙ながらにお話し頂きまして、思わず関係者も目頭が熱くなったことを今でも鮮明に覚えています。この出来事で、私たち食物アレルギー対応旅行取り組みの意義を実感することができ、士気がより一層高まりました。

　アレルギー症状の発症なく無事モニターツアーを終えたことで自信を持ち、平成20年から久米島でのアレルギー対応旅行受入がスタートしました。今でも多くの方にご利用を頂いております。また、嬉しいことに感想やお礼のお手紙を頂くことも多いです。頂いたお言葉は、全て大切な宝物です。　
 

モニターツアーに参加して頂いたお客様からのアンケートです。