「制度の狭間」にいる難病者700万人。その実状を全自治体に届けたい

「制度の狭間」にいる難病者700万人。その実状を全自治体に届けたい

支援総額

2,300,000

目標金額 2,000,000円

支援者
280人
募集終了日
2021年9月5日

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2021年09月02日 21:34

白書のはじめに(暫定版)を公開しました。

はじめに

 

 難病と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか。

 「患者数の少ない病気」、「命に関わる病気」、「だんだん体が動かなくなっていく病気」などでしょうか。ドラマや映画などで観た一部の疾患のイメージを思い浮かべるかもしれません。

 

 「難病」とひと口に言っても、世界で数十人しか患者のいない疾患から、何十万人も患者のいる疾患まで、わかっているだけでも数千種の疾患があります。その中には、先天性や後天性の疾患、進行性や慢性化する疾患もあれば、寛解(一時的な症状の軽減や消滅)に至る疾患もあり、状況は様々です。

 

 

 そのような疾患のある「難病者*1」ですが、決して特別な存在ではありません。日本には、700万人以上*2難病者がいると推定されています。この人数は、障害者手帳保有者727万人*3とほぼ同数に相当します。

 病名や症状は違っても、難病者は皆、終わりの見えない治療と日常生活の両立、学校や職場での人間関係、生活費や医療費に充てる収入、恋愛や結婚などに困難や悩みを抱えています。

 

 また、難病があっても働けている人は大勢います。短時間労働や在宅など工夫をしながら働いている人、周囲に病気のことを伝えて症状と折り合いをつけながら働いている人、職場では病状を隠しながら仕事以外の時間はひたすら体調の回復に努めなんとか働いている人など様々です。多くの難病者に共通することは、周囲に病気のことをなかなか言い出せず、一人で悩んで孤立する傾向にあることです。このことは、社会の中で難病者の存在の認知が進みづらい現状と無関係ではありません。

 

 これは、国の定める障害や難病の定義に当てはまらず、実態の把握もされていないことが、医療制度や社会保障制度が不十分であることや社会の認知の遅れに繋がっていると、私たちは考えています。そしてこの困難や悩みは、疾患や症状のみならず、その人が置かれた状況や環境、有している社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)などの影響を大きく受けます。

 

 

 「難病者」の困難を解消するためには、彼らを包摂する制度や支援が必要です。難病法のような医学モデルや、障害者総合支援法*4のような社会モデルだけでは抜け漏れる人を生み出してしまうため、一人ひとりの「生きづらさ/暮らしにくさ」を尺度にした、「難病者」のニーズに応じた「支援」までを組み入れたモデルが必要です。

 

 また、就労については、「障害者雇用率に難病者が含まれていないこと」が課題です。障害者雇用促進法の条文では、「身体障害や知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける者、あるいは職業生活を営むのが著しく困難な者」と定めている一方で、障害者雇用率の対象は「障害者手帳の所持者」に限定されています。このため類似の状況で、症状に苦しんでいたとしても、手帳の有無で就労の選択肢が大きく変わってしまいます。

 

 

 障害福祉に関する公的調査は多数存在します。例えば、「障害者のために講じた施策の概況に関する報告書」である『障害者白書』は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第13条に基づき、内閣府から平成6年以降、毎年発表されています。難病の中でも障害者手帳の所持者は、この法律にもとづく制度の助成や調査に含まれます。

 

 一方で、難病を対象とした調査は限定的です。近年、『厚生労働白書』でも取り上げられてはいますが、その調査対象は指定難病に集中しています。医療費助成の対象となる指定難病は、2021年現在、333疾患ありますが、これは難病の一部に過ぎません。また、指定難病であっても、手続きが煩雑であったり、制度そのものを当事者はもとより支援者も知らないため、サービスを享受できない事例も見受けられます。残りの指定難病に分類されない「希少疾患*5」や、研究途上の「難治性慢性疾患*6」に関しては、法の整備も進んでおらず、患者数等の基礎的なデータを含め、全体像が正確に把握されないままです。

 

 また、持続可能な開発目標(SDGs)では、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを謳っていますが、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」はおろか、17のゴール・169のターゲットのなかに、「難病」の文字を見つけることができません。

 このようにあらゆる分野において、難病者は社会から見えにくい状況に置かれています。

 

 そこで私たちは、制度の狭間で社会から孤立している難病者たちの姿を明らかにすることを目的として、この白書を制作しました。

 とりわけ就労実態に着目したのは、働くことは身近な社会参加の手段として、多くの人がイメージしやすく、身近な手段と考えたからです。病気の治療や療養に専念する時間は、回復のために大切なことのように思われるかもしれません。しかし、闘病に終わりが見えないと、社会の中で孤立し、生きる意味を見失うこともあります。

 

 働くことはあくまでも手段の一つではありますが、そのような難病者が、もしも働く機会を得られたなら、他者との関わりが増え、異なる価値観と出会い、病気と向き合うだけの人生ではなくなるかもしれません。このことは、先に述べた困難や悩みの解消にも繋がります。

 

 

 本書では、難病当事者とその家族、企業と自治体へのアンケート調査をもとに、難病者の就労の実態を整理しました。アンケート調査から見えてきたのは、たとえば以下のような現状でした。

 

・難病のイメージを問う質問には、企業・自治体ともに、「働けない」、「治らない」、「命に関わる」の回答が多く、「障害者と難病者は同じ」、「難病には社会的支援がある」といった誤解がありました。

 

・当事者の回答からは、「企業を選ぶ上で大事にしたい条件」の項目で「未就業・就活中」の人は「疾患への配慮」を求める割合が、「就業中」の人よりも高く、実際に働いている人よりも就労への不安が大きいことが分かりました。

 

・難病の認知と制度に関する問いでは、「指定難病に該当しない難病」を認識していると答えた自治体は8割、「制度の狭間に置かれている難病者の存在」を認識していると答えた自治体は7割でした。難病者を雇用している自治体では、「難病者の雇用に対して抵抗感は低いが、優先雇用*7する理由がない」との回答もありました。

 

 これらのアンケート結果から、難病のある当事者と被雇用者の接点が増え、相互理解が進めば、難病者が就労する上で抱える課題のいくつかは、解消できる可能性があるということが分かりました。そこで、一人ひとりが置かれている状況をよりイメージできるよう、当事者のエピソードと支援者や研究者、民間企業の方々にコラムをご寄稿いただきました。

 

 

  コロナ禍で多様な働き方が生まれている中、難病者にも同じような機会が増えることを私たちは期待しています。何かしら制約のある難病者が働きやすい、生きやすい社会は、誰もが自分らしく幸せに働き、暮らせる社会でもあるからです。

 

 この白書をきっかけに、制度の狭間の難病などが可視化され、難病者の社会参加のための理解が深まることを心から願っています。

 

 

難病者の社会参加を考える研究会 発起人 重光喬之

 

*1 難病者:本白書では、難病のある人たちを難病者とし、国が定める指定難病の他に希少疾患や研究途上の難治性慢性疾患などを含めて難病者とする

*2 700万人以上:希少疾患及び難治性慢性疾患の患者数

*3 727万人:平成30年度福祉行政報告例及び衛生行政報告例より障害手帳所持者数を算出

*4 障害者総合支援法の対象は障害者手帳の所持者と361疾患であり後者は医学モデル

*5 希少疾患:患者数の少ない疾患の総称で日米欧でも定義が異なる

*6 研究途上の難治性慢性疾患:本白書では、線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)、化学物質過敏症など患者数が多いく、主たる症状が難治性の慢性症状で外見からは分かりにくく、比較的に研究間もない疾患をまとめて研究途上の難治性慢性疾患とする

*7 障害者手帳のない難病者は、採用に際して特別な配慮などはなく一般採用となる

*  上記の難病の概要は、後述の2章で詳しく述べます

リターン

1,000


WEBにお名前を掲載、オンライン報告会

WEBにお名前を掲載、オンライン報告会

●感謝の気持を込めてWEBページにてお名前を掲載します。
※注意事項:このリターンについては、こちら (https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「命名権、メッセージの掲載その他これに類するリターン」をご確認ください。
●10月頃予定のオンライン報告会へご招待します。
※開催ツールはzoomを予定し、参加者上限がある場合は先着とさせていただきます。後日Youtubeでも公開予定です。

支援者
52人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

3,000


全力応援プラン(ご支援のみ・リターンなし)

全力応援プラン(ご支援のみ・リターンなし)

私たちのクラウドファンディングへのご支援のみで、リターンはご不要の方向けのプランです。クラウドファンディング成立後、難病者の社会参加を考える研究会の発起人、重光よりお礼のメールをお送りします。

白書はこちらのページで無償公開します。
現在9割公開済みです。
https://ryoiku.org/report/thinkpossibility/

支援者
19人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

5,000


お名前の掲載と白書1冊、オンライン報告会

お名前の掲載と白書1冊、オンライン報告会

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●10月頃予定のオンライン報告会へご招待します。
※開催ツールはzoomを予定し、参加者上限がある場合は先着とさせていただきます。後日Youtubeでも公開予定です。
●難病者の社会参加白書1冊を送りします。
※コロナウイルスの影響により万が一遅延となった場合は、皆様にメールでのご連絡後リターンの発送予定日をお知らせいたします。

支援者
138人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

10,000


お名前の掲載と白書2冊まで、オンライン報告会

お名前の掲載と白書2冊まで、オンライン報告会

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※注意事項:このリターンについては、こちら (https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix)の「命名権、メッセージの掲載その他これに類するリターン」をご確認ください。
●10月頃予定のオンライン報告会へご招待します。
※開催ツールはzoomを予定し、参加者上限がある場合は先着とさせていただきます。後日Youtubeでも公開予定です。
●難病者の社会参加白書、ご希望の2冊まで送りします。
※コロナウイルスの影響により万が一遅延となった場合は、皆様にメールでのご連絡後リターンの発送予定日をお知らせいたします。

支援者
62人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

30,000


お名前の掲載と白書5冊まで、オンライン報告会

お名前の掲載と白書5冊まで、オンライン報告会

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※開催ツールはzoomを予定し、参加者上限がある場合は先着とさせていただきます。後日Youtubeでも公開予定です。
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支援者
6人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

100,000


お名前の掲載と白書5冊まで、オンライン報告会と講演

お名前の掲載と白書5冊まで、オンライン報告会と講演

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※コロナウイルスの影響により万が一遅延となった場合は、皆様にメールでのご連絡後リターンの発送予定日をお知らせいたします。
●研究会発起人の重光より、難病者の社会参加・就労機会の拡大に関するオンライン講演をご提供します。
※有効期間が1年内とさせていただきます。

支援者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

300,000


お名前の掲載と白書10冊まで、オンライン報告会と講演

お名前の掲載と白書10冊まで、オンライン報告会と講演

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●難病者の社会参加白書、ご希望の10冊まで送りします。
※コロナウイルスの影響により万が一遅延となった場合は、皆様にメールでのご連絡後リターンの発送予定日をお知らせいたします。
●研究会発起人の重光より、難病者の社会参加・就労機会の拡大に関するオンライン講演をご提供します。
※有効期間が1年内とさせていただきます。

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年10月

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