鈴木竜 作・演出・振付/『風の強い日に』 

 

あなたにとって「芸術」とはなんでしょうか?

 

「芸術」は、あなたの生活に必要ですか?

 

「芸術」は、社会にとって必要ですか?

 

例えば、この週末にあなたは何をしましたか? 「週末に家族で舞台を観に行った」、「恋人と美術館に行った」・・・・。そう答える人が、この日本にどのくらいいるでしょうか? おそらくほとんどの人が週末にすることといえば、買い物に行って、映画を見て、ご飯を食べて、家に帰ってテレビを見る・・・。そんなところでしょうか。もちろんそれが悪いことだは言いません。僕も洋服は好きですし、映画も観ますし、友達とのご飯やお酒も大好きですし、お笑いも大好きです。ただ、それは本当に「あなたの意思で選んだこと」でしょうか?

 

あなたが買った服、雑誌で流行だと書いてあったから買いませんでしたか?

あなたが見た映画、テレビでイケメン俳優が宣伝していたから見に行きませんでしたか? そのランチ、みんなが並んでいる人気のカフェだから食べに行きませんでしたか?

今ついているテレビ番組、つけたらやっていたからなんとなく見てしまっていませんか?

今週あなたかがしたことの中で、あなたがあなたの意思と考えで選んだものは幾つあるでしょうか?

 

現代の日本に住んでいると、自分の意思で本当に選び取った行動って本当に少ないと思うんです。考えなくても答えは準備されている。考えなくてもテレビや広告が「これが正しいんですよ!」と押し付けてくる。そしてその流行が目まぐるしく変化していく。先週みんなが好きだったものが、来週にはつまらないと言われている。あまりにもスピードの速い消費社会であるいまの日本には、個人の考えが入る隙間がないんです。その結果、自分の考えを持つ時間も自信もなくなり、気づかぬうちにあなたは社会に消費されていくのです。周りが良いと言っているものを自分も手に入れて、自分が周囲と同じことを確認し、安堵するのです。

 

僕は、日本人の生活に「芸術」があればみんなの人生はもっと面白くなると思います。僕にとっての「芸術」とは、「人そのもの」であり作り手の人生や考え方が具体化したもので、色々な作品に触れることで視野も広がり、人生を豊かに生きて行くことができる。そしてその作品との出会いを自分で好きか嫌いか考えて、それを家族や恋人、友人とシェアして意見交換をする。そういう体験をすることで自分で考えることができるようになるし、自分の意見を持つことができるようになると思うんです。そして自分の意見を持って初めて、誰かが自分のことを理解してくれるという共感を喜び合うことができるのではないでしょうか? 僕は、「自分が周囲の流行や世間体から外れていない」ということに対する安堵感は共感とは呼べないのではないかと思っています。それが僕にとって芸術が社会に必要であると考える理由であり、僕にとっての芸術=ダンスなのです。

 

平山素子さんとのリハーサル風景。ダンスを作る作業は、簡単ではありません。

 

僕はダンスがもっと芸術として世の中に認知されるべきだと思っています。フランス・ベルギー・ドイツなどヨーロッパの芸術先進国では舞台芸術が社会の一部になっていて、ダンサーや振付家という仕事が職業として成り立っています。例えば今僕が滞在しているフランスでは、1年間の公演回数など一定の要件を満たせば国籍にかかわらずダンサーを含むアーティストに失業保険が出ます。日本では全く考えられないことですし、「芸術」が生活・文化の一部になっているのをひしひしと感じます。

 

冒頭の質問に戻ると、僕の答えは“イエス”です。芸術は僕の人生に必要不可欠なものであり、芸術のない社会はとんでもなくつまらないものだと考えます。今回のこのクラウドファンディング活動は、僕が作品を作るためだけのものではなく「100万円集められるくらい芸術を必要としている人がこの世にいる」ことを確かめるためでもあり、僕のような若手作家が「鈴木竜にできるなら私もできるはず!」と思ってもらうためのクラウドファンディングです。このままでは日本の芸術は未来に進むことができません。我々若手作家を助けていただくことで、芸術を少しでも皆さんの身近に発信することができるようになるはずなのです。

 

そのためには皆さんの力が必要です。やっと目標の半分まで到達することができました。これまでにご支援いただいた方々の想いを無駄にしないために、芸術と社会のつながりが希薄な日本を変えるために、そして日本人が考える力を取り戻すために、どうぞご支援をお願いいたします!

 

https://readyfor.jp/projects/ryusuzuki-eltanin