情報提供：僧帽弁逆流症 (CF22日目)

僧帽弁逆流症（MR）は、心臓の左心房と左心室の間に位置する僧帽弁が完全に閉じきらず、左心室から左心房に血液が逆流してしまう病気です。この逆流が続くことで左心房や左心室に負担がかかり、心臓の働きが低下する恐れがあります。

僧帽弁逆流症には、一次性（弁そのものの異常によるもの）と二次性（心筋の異常に伴うもの）があります。

・主な症状
僧帽弁逆流症は初期に症状が現れにくいですが、進行すると以下のような症状が見られることがあります。

息切れ：運動時や安静時に息苦しさを感じることが増えます。
疲れやすさ：日常の活動で疲れを感じやすくなることがあります。
心房細動：不整脈の一種である心房細動が生じ、脈が不規則になることがあります。

・診断方法
僧帽弁逆流症の診断には、心エコー検査が用いられます。心エコー検査により、逆流の程度や僧帽弁の構造を確認し、重症度を評価します。また、無症候性の患者さんでも、心エコー検査による定期的なフォローアップが推奨される場合があります。

・治療方法
治療法は、逆流の重症度や患者さんの状態に応じて異なります。

重度（症状あり）：重度のMRで症状がある場合、手術やカテーテル治療が推奨されます。

-僧帽弁形成術：弁の形を整える手術で、弁の修復が可能な場合に選択されます。

-僧帽弁置換術：弁の修復が難しい場合、人工弁に置き換える手術が行われます。

-カテーテル治療：外科手術が難しい場合や高齢患者さんなどでは、カテーテルを用いた僧帽弁クリップ（MitraClip®）

などが選択されることがあります。これらの治療は内科、外科、メディカルスタッフで構成されるハートチームによって議論され、最終的に患者さんの希望に合わせて決定されます。

・フォローアップの重要性
無症候性の患者さんでも、僧帽弁逆流症の進行を見逃さないために定期的なフォローアップが欠かせません。心エコー検査による定期的な確認で、重症度や心機能の変化を評価することが推奨されています​。

この情報が役に立った場合には、ぜひご支援をお願い致します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〇引用

日本循環器学会, 日本胸部外科学会, 日本血管外科学会, 日本心臓血管外科学会. 弁膜症治療のガイドライン（2020年改訂版）.2020年3月13日発行.

インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス