皆さまこんにちは。カイロの発掘現場にいる黒河内です。

先月から写真を使って皆さまをカイロの発掘現場にご招待しています。前回は皆さまを太陽の船が納められているピットのところまでお連れしました。今回はその続き、ピットの中でどのような作業が行われているかをご紹介します。

ピットの中に眠る部材

この写真はピットの一部分を上から撮影したものです。プラモデルの部品のように船の各部分のパーツが、所狭しと並んでいることがおわかりでしょうか。船は分解されて、ピットの中に納められています。

劣化して壊れてしまった部材

もし木が普通の状態であれば、ピットの中で出土記録をとったあと、「よいしょ」とそれらを取り上げれば発掘は終了です。しかしいかにせん、これらは法隆寺の三倍以上古い今から約4600年も前の木です。さらにかつてピットが浸水したことがあったためか、木が劣化して壊れたりとても弱くなっているのです。これらをどのようにピットから取り上げて、浸水などの危険から救うか、これが私たちの作業の第一関門です。

クレーンとエレベーター

私たちは部材を吊って少しずつ持ち上げるためのクレーンを作りました。またピットの中に人が降りて場所も高さも自在に変えながら作業をするためのエレベーターも作りました。

小さな部材の取り上げ風景

これらを用いてピットの中に降りて行った専門家は、壊れて散らばっている木片を集めながら、部材をクリーニングします。劣化して、弱くなっている箇所には薬品(アクリル樹脂)を塗って強化したり、和紙を貼りつけて補強します。そのようにして仮補強した部材をトレーの上にそっと乗せ、トレーごとクレーンで吊り上げてピットから取り上げるのです。このような作業を一点一点、合計1200点続けて行かなくてはなりません。

大きな部材の取り上げ風景

難しいのは5メートル、10メートルもあるような大きな部材です。厚くて重さもあります。これを取り上げるには、仮補強をしっかりするだけでなく、たくさんのベルトをかけてバランスをとってクレーンから吊り下げるようにしなくてはなりません。

取り上げ作業のスタッフ

私たちの部材は、古代エジプトの遺物の中でも最も劣化の激しい部材といわれています。高橋寿光隊員(写真の右から4人目)がエジプト人の作業員たちと共同で、この取り上げ作業を根気よく続けています。

 

太陽の船発掘現場主任・東日本国際大学客員教授 黒河内宏昌