子どもたちに4万9千5百食の給食を届けることができました!
皆様こんにちは。IVY事務局です。
昨年11月から開始しました「シリア紛争地域 学校にいけない子どもたちに読み書きを教え給食を出します」では、温かいご支援をいただきまして、本当にありがとうございました。
262人の皆様からのご寄付により、シリアの子どもたちに給食と学びの機会を届けることができました。心から御礼を申し上げます。
プロジェクトのおさらい
この度実施したプロジェクトについて、もう一度ご紹介させてください。
シリア紛争は、2011年3月に始まりました。
皆様からのご寄付により支援を行った地区は、今も戦闘状態が続いているシリア北部のA地区(仮名)にあります。
A地区は、紛争が始まった翌年からすべての学校が完全に休校し、子どもたちは7年もの間、学校へ行くことができませんでした。
2019年に学校は再開しましたが、校舎はボロボロ、机やイスがない、トイレが使えないなど、最悪の環境でした。

復学に必要な学力や勉強への意欲をなくしてしまったこと。
紛争という大きすぎる環境の変化。
身近な人の死。戦闘に巻き込まれて障害者になる等。
ショックな出来事から心身がまだ回復できていなかったこと。
加えて、経済危機で食料価格が高騰。A地区で食料不安を抱えた人の割合は7割以上に上り、新型コロナの蔓延で仕事が減り、子どもたちも家計を助けるために働かなければなりませんでした。
そのため、学校が再開しても、半数以上の子どもたちが学校へ通うことができませんでした。
この事業が始まる前、A地区の就学率は、シリア全体の週学区率に比べ、20%も低い事態となっていたのです。
子どもたちが学びの機会を得られるように、私たちはシリアで長年支援活動を行ってきたシリアの団体と一緒に教育支援を行うことにしました。
ボロボロだった校舎を補修し、安心して学べる環境に!!
A地区には、学校が元々102校舎ありましたが、紛争により、住民が立ち入りできる地域にある学校はたった4校舎でした。
そこで、壁のひびを直し、壊れかけの黒板をホワイトボードに変え、机と椅子を設置しました。
補修後の教室は雰囲気も明るくなり、安心安全な場所に生まれ変わりました。
<補修前>
<補修後>
また、A地区で学校に通えていなかった半数以上の子どもたちのうち、780人を対象に、補修した3校舎を使ってIVY補習校を開校しました。
給食を目玉に!補習校開校
補習校に通ってくる子どもたちは、A地区の中でも特に貧しい家庭の子どもで、中には家計を支えるために仕事をしている子もいました。家庭にとって稼ぎ手が減ってしまうのは正直痛手です。
子どもたちが学校に来られるようにするにはどうすればよいのか、そんな時ヒントとなったのは、”山形発祥”の学校給食でした。
補習校で給食を提供することで、子どもたちは1食分を食べることができ、家計の負担を減らすこともできます。
皆様からのご寄付とジャパン・プラットフォームの助成金により、予定を上回る780人の子どもたちに、4万9千5百食の給食を提供することができました。
ご支援をいただき、本当にありがとうございました。

補習校の1日
子どもたちは補習校でどんな1日を過ごしているのでしょうか?

当初補習校は、600人を対象に開校する予定でしたが、教室の広さや先生の人数などを考慮した結果、12月~4月を前期、5月~8月を後期の2期に分けることにしました。
前期、後期ともに300人、また、後期の途中から女の子180人を追加で受け入れ、計780人となりました。
補習校で使っていた校舎は、公立校に通う子どもたちも使っています。
そのため、前期は公立校の子どもたちが使っていない午後の時間に、
後期は公立校の子どもたちが夏休みで使わないこと、夏になると45度を超える酷暑となること等から、なるべく涼しい時間帯の午前中に開校していました。

子どもたちはそれぞれ学校に通えていなかった期間が違うため、学力に応じた学習を受けられるよう、入学時にテストを行い、1、2、3年生に分けました。
1年生はアラビア語と算数、2、3年生は2教科に加えて英語、理科を学びます。

1時間目が終わると、給食が配られ、15分間の軽食タイム。
シリアでは、朝ご飯を9時~10時頃、昼ご飯を15時~16時頃、晩御飯(軽く食べる)を20時以降に食べているため、軽食タイムは子どもたちにとっての朝ご飯もしくは昼ご飯になります。

続いて2時間目。

授業が終わると、45分間の給食タイム♪です。
冷蔵庫がなく、コロナの感染防止もあり、衛生面に配慮する必要があったため、当初計画していたサンドイッチの提供を取りやめ、個包装のものを準備し、毎日提供しました。
<給食メニュー>
ロールパン 1個、クロワッサン 1個、バナナ 1本、チーズ 2個、
ナツメヤシ 5個、クッキー 1袋、オレンジジュース 1本
給食でお腹が満たされた後は、心理社会的支援の時間。
心理社会的支援とは、紛争によって精神的なトラウマやストレスなどを抱えている子どもたちに対し、室内外での活動を通して、心から楽しむこと、感情を表に出すことなどを通して、心に抱いている不安やトラウマなどを緩和することが目的です。
授業では黒板から目を離すことなく、キリっと集中している子どもたちですが、
心理社会的支援の時間になると、すっかりリラックスモードなんです。





子どもたちが集中したり、気持ちを発散したりできるように、静と動の活動を組み合わせながら、日々活動が行われてきましました。
3時間目が終わると、子ども達は家に帰ります。

皆様からのご寄付により提供することができた給食のおかげで、前期、後期ともに途中で辞める子もおらず、出席率は90%を超え、ほぼ全員が休むことなく通い続けることができました。
また、補習校終了時にアラビア語、算数の学力テストを行った結果、入学時と比べて、全員の学力が向上していることが分かりました。心理社会的支援を通じて、子どもたちが前よりも元気になった、という保護者からの声も届いています。
<収支報告>
<リターンについて>
プロジェクト報告書は、9月30日に山形事務所より発送致しました。
10月に皆様のお手元に届きますので、今しばらくお待ちください。
紛争によって命が脅かされたり、別の町へ避難したり、学校に通えなかったり、働きに出たり。様々なことを体験し、子どもたちは時に子どもらしく振舞うことができなかった場面が幾度もあったのではないかと思います。
私たちは残念ながら、安全上の理由からシリアに入り直接支援を行うことはできません。
ですが写真を介して、補習校という場所が、子どもらしさを取り戻し、学習を通じてこれからを生き抜いていく力を彼らに与えてくれたのではないかと感じています。
シリアの学校は10月から新しい学年が始まります。
補習校に通った子どもたちが、公立校に復学できるように、今後も支援を続けてまいります。
これからもIVYへの応援、またご支援をよろしくお願いいたします。
