池間島の美しい自然と暮らしを守るタマヌオイルを商品化しました
こんにちは、ヤラブの木の三輪智子です。
昨年は、池間島のタマヌオイル商品化に向けたクラウドファンディングへご支援をいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、池間島のタマヌオイルを無事、世に送り出すことができました。たくさんの方に応援していただいているということが、大変心強く、大きな励みとなりました。心より御礼申し上げます。
さて、プロジェクトの完了をご報告するにあたり、タマヌオイルが出来上がるまでを振り返ってみたいと思います。
●タマヌオイルが出来上がるまで
2018年4月~6月
ヤラブの木を創業し、原料調達の方法を試行錯誤しながら夫婦2人でヤラブの種集めをしていました。不作の年で種があまり集まらず、申請していた資金も獲得できずに暗中模索していました。
2018年7月~9月
7月に入ってからは、「ヤラブの森」造成のため毎日開墾・整地作業を行い、7/22に島のみんなでヤラブの苗木100本を植樹しました。
ヤラブの花が満開に。次期(秋)の種は豊作かもしれないという期待と、種の殻割りを島のおばあたちに手伝ってもらえるようになったことで心強くなり、少しずつ視界が明るくなっていきました。春の種の乾燥も順調に進みました。
2018年10月
クラウドファンディング開始。池間島のタマヌオイルを早く世に出したい、という想いで商品化の資金を募らせていただくことにしました。プロジェクト開始から2週間で、当初目標の60万円が集まりました。これほどたくさんの方に応援していただき、タマヌオイルに関心を寄せてくださっている方が多いことが分かり、何としてもこのタマヌオイルプロジェクトを成功させたい、という想いと責任感が一層強くなりました。また、秋の種が豊作で、ほとんど毎日種を集めてまわっていました。種集めに協力してくださる方も出てきました。
2018年11月
秋の種集めピーク。集めてきた種を洗浄し、しばらく広げて乾燥させてから殻を割りますが、干し場所がなくなるほど大量の種が集まってきました。また、化粧品製造の打ち合わせのため佐賀県唐津市に行きました。地域素材を活かした化粧品の開発についても勉強してきました。
2018年12月
集めてきた種の殻割りが始まります。おばあたちに相談したところ、「どんどんもってきなさい。家にこもっているよりも、みんなで集まってできる仕事があると楽しいさ」と言っていただき、殻割りを、賃金の発生する仕事としてお願いしていくことが決まりました。土のう袋1体分の種を配達すると、翌朝には「もう割り終わっているからまた種を持っておいで」と連絡が入ってくる、という毎日でした。隣同士で競い合うようにして種を割ってくださる方や、仲の良い数名で集まっておしゃべりしたり、歌を歌いながら種を割ってくださる方々など、それぞれのペースで(といってもかなり早い)、種割り作業をしていただきました。空いた時間に私たちの事務所に来て、種を割っていってくださる方もいました。
池間島のタマヌオイルブランド「naure(ナウレ)」誕生。商品化にあたり、ネーミングがひとつの大きな課題となりました。とても悩みましたが、島のことばで、このプロジェクトを言い表すブランドの名前をつけたいと考えました。
宮古・八重山の多くの古謡のお囃子として「ユーヤナウレ」というフレーズが唄われます。これは、「豊かに実れ」あるいは「世よ直れ」との意味で、島民の豊穣への願い、平和で豊かな世への願いを表しています。島の美しい自然と暮らしが豊かに実り、いつまでも続くように、という池間島の島民みんなの願いを込めて、地域ブランドの名前を「naure(ナウレ)」としました。
2019年1月
試作品とパッケージデザイン大詰め。昨年、乾燥させた春の種を新潟へ送り、福祉作業所のあおぞらソラシードさんで搾油をしていただいていました。今回製作分の搾油がなんとか終了し、ピュアオイル、ボディオイルの試作品が出来上がってきました。
同時に、ボトルに添付するラベルや、化粧箱のデザイン、リーフレットのデザインなど、印刷物の製作に取り組みました。化粧品として記載できる効果効能の表現方法など、専門家の方々に一つひとつ教えていただきながらの製作でした。全てを自分たちでやるというのはとても苦労しましたし課題も残りましたが、やってみないと分からないこともたくさんあり、とても勉強になりました。とにかくすべてがぎりぎりのスケジュールでしたが、なんとか入稿までこぎつけることができました。
ヤラブの森へ苗木の植樹も行いました。プロジェクトのリターンとして、「MYヤラブの木」の植樹を選択してくださった方がなんと45名。計71本のヤラブの苗木を新たに植樹させていただきました。
新潟の工場での製造・充填・ラベル貼り・箱詰めの作業が急ピッチで行われ、なんとか1月中に完成した商品が池間島に届きました。タイトなスケジュールで製造にご協力いただいた多くのみなさまには本当に感謝しております。そして、先日ようやく、完成したピュアオイルとボディオイルをご支援いただいた皆様のお手元にお届けすることができました。
このようにして、種集めから下処理、製造と多くの方が関わり、クラウドファンディングで応援してくださったたくさんの方々の想いが詰まった商品がようやく出来上がりました。naureのピュアオイル、ボディオイルをご使用になられた感想や、お気づきの点などがございましたら、忌憚のないご意見をいただけましたら幸いです。
●ご支援いただいた資金の使い道
皆さまからご支援いただいた資金は、総額1,281,000円。そのうち、Readyforの利用手数料をのぞいた1,045,809円をこのプロジェクトの資金として使わせて頂きました。新潟での搾油費用、ピュアオイル・ボディオイルの製作費用(検査費用、OEM費用)、容器・パッケージ(化粧箱・ラベルシール)印刷費用、パンフレット印刷費用、ヤラブの種を干す乾燥台の製作費用、種収穫用のコンテナやトレー、脚立、重量計などの備品購入費用として全額使用させていただきました。ご支援、心より感謝申し上げます。
●プロジェクトのこれから
私たちのタマヌオイルづくりは、今ある自然を壊すことなく、よそから資源を奪うこともありません。オイルを作れば作るだけ森が増え、豊かな海を守っていきます。そして自立した暮らしが難しくなっていく人々に仕事を提供できるならば、過疎高齢化が進行する小さな島の非常に大きな一歩となります。
みんなで造成した共同採取地のヤラブの森は、かつての里山のように、徐々に島の「コモンズ」へ成長していきます。私たちが目指すのは、よそから奪うことなく、大切なものを壊すことなく、ユー(富、豊穣を示す池間の言葉)を分かち合っていける未来です。
これからも、池間島の自然と暮らしを守ることに少しでも貢献できるよう、精一杯頑張っていきたいと思います。そして、オイルを使っていただいた方のお肌がキレイになるような、よい商品を作って発信してまいります。
今後とも、池間島の小さな挑戦を見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
ヤラブの木 三輪智子・三輪大介
活動の進捗状況はHPやFacebookで発信しています。ぜひご覧ください。
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