保護猫の歯周病治療が進化！クラウドファンディングで実現した医療体制｜たんぽぽキャットクリニック院長椿

保護猫の中には、重度の歯周病でごはんを食べられず、命の危機にさらされている子もいます。たんぽぽの里・たんぽぽキャットクリニックでは、これまで多くの猫たちを受け入れてきましたが、その中でも「歯周病」に悩む子の数はとても多いです。

 

歯周病を放置すると、激しい痛みや食欲不振、体重減少を引き起こし、命にも関わります。健康を取り戻すためには、早期の歯科治療が不可欠です。

 

しかし以前は、歯科レントゲンやマイクロモーター、出血を抑えるレーザー、そして安全な麻酔機器などが不足しており、治療には多くの時間と労力を要していました。1日で対応できる猫の数も限られていました。

 

そんな現場を一変させたのが、前回のクラウドファンディングで導入できた医療機器です。

 

▶ 歯科レントゲン（歯根の状態を正確に確認）

▶ 半導体レーザー（出血を抑えて術後の回復も早く）

▶ マイクロモーター（歯根を安全に除去）

▶ 超音波スケーラー（歯石除去）

▶ 麻酔器・モニター（安全な全身麻酔）

 

これらの機器が揃ったことで、全臼歯の抜歯など大掛かりな処置でも、2時間ほどで完了するようになりました。猫の体への負担は大幅に軽減され、処置件数も格段に増加。より多くの猫に、適切な歯科治療を届けられるようになったのです。

 

最近では、口臭と出血があり、ごはんも満足に食べられない状態の猫さんが保護されました。診察の結果、重度の歯周病で、歯科レントゲンでは歯根がすでに溶けていることが確認されたため、全臼歯抜歯の処置を行いました。

 

【写真：歯周病の口の様子（緑矢印は歯が歯石で覆われている）】

 

【歯科レントゲン写真：歯根が溶けるほどの歯周病が判明】

 

【処置後の写真：臼歯抜歯後、縫合処置をしました】

 

 

ご支援で導入した設備を使って、安全かつ短時間で全臼歯の抜歯を実施。術後はやわらかいごはんをしっかり食べられるようになり、今では穏やかな表情で日向ぼっこを楽しんでいます。

 

この他にも歯周病の猫さんの一部には、尾側口内炎と呼ばれる難治性の口内炎を患ってしまうことがあります。この場合、全臼歯抜歯に加えてレーザーによる炎症のコントロールも必要になります。口の中で食べ物がぶつかって痛いという苦痛に加えて、のど（咽頭部）にも痛みが出るため、食べることを拒絶したり、その痛みのせいで性格がきつくなってしまう子もいます。

 

【重度尾側口内炎によりのどに強い炎症がある猫さん】

【レーザ処置と投薬で管理後】

 

このように、「痛みのない毎日」を取り戻す猫たちが、少しずつ増えています。

皆さまからのご支援が、確実に現場を変え、猫たちの命と生活を守っています。本当にありがとうございます。

 

たんぽぽキャットクリニックは、今後も保護猫医療の最前線で、1匹でも多くの猫たちを救うための治療を続けてまいります。

これからも、たんぽぽの里の猫たちへの温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。