シリアでがんと闘う2人の少年への支援終了報告
シリアのアレッポで小児がんと闘う2名の少年のためにご支援してくださった皆様、先日すべてのお金の送金が完了しました。前回の支援から数えると2年間に及ぶ支援になりました。本当にありがとうございます。
シリアは、現在欧米の経済制裁によりシリア国内の復興は進まず、現地通貨のシリアポンドが暴落し、物価が高騰しています。輪をかけてロシアのウクライナ侵攻により、国連やNGOの人道支援の金額も減り、貧しい人たちの生活は特に苦しくなっています。このような状況下で患者の家族からたびたび感謝の気持ちが伝えられました。
2人の男の子
このプロジェクトが立ち上がったのは、当時大学生だった馬場さんがアレッポのシリア人の青年、アハマドさんと出会い何かシリアのためにできることはないかということで話し合ったところ、赤新月社で働くアハマドさんのところには、毎日のように支援を求めて訪ねてくる患者がおり、さっそく2人の男の子を紹介してもらいました。
【イブラーヒーム君】
白血病と闘う10歳の少年は、アレッポ北部の村で暮らしています。政府支配地域と反体制派支配地域の境界にあり、クルド人も多く住む地域です。トルコ軍のクルド勢力を狙った攻撃もたまにあり、昨年から緊張が高まっています。そんな状況の中、残念ながら、イブラーヒーム君は、今年の初めに体調を壊し亡くなりました。
新着情報 でお知らせしたように送金したお金の一部でお墓を作ることにしました。また4月に4歳の妹の扁桃腺及び急性副鼻腔炎の手術が必要とのことでしたので、こちらもイブラーヒーム君の医療費の予算の中から支援させていただきました。
【サラーハ君】
サラーハ君は、一年間で29回もアレッポ―ダマスカス間を往復した甲斐もあり腫瘍は亡くなったとの報告を受けています。
しかし、シリアは、復興が進まず住民たちは劣悪な水を飲んでいたために、コレラが蔓延しました。サラーハ君も含め、家族もコレラに感染してしまいました。サラーハ君は免疫力が弱っているために回復に時間を要しましたが現在は元気になり、再び経過観察のための検査を続けています。
【収支報告】
以下に収支を報告させていただきます。
収入 | 支出 | |
募金総額 | ¥953,500 | |
Readyfor手数料 | ¥125,862 | |
リターン送付等経費 | ¥33,577 | |
イブラヒム君への送金 | ¥206,142 | |
サラーハ君への送金 | ¥587,660 | |
合計 | ¥953,500 | ¥953,241 |
繰り越し | ¥259 |
【今後について】
READYFORでのプロジェクトはこれで一区切りがつきます。今回最も困難だったのが、欧米の課す経済制裁です。シリアというだけで、政府=人権を侵害している。反体制派=テロリストのイメージで一般のシリア人への送金もかなり難しい状況です。しばし、送金に時間がかかってしまい、支援している患者の家族は周りに借金するか、タクシードライバーには支払いを待ってもらわなければなりませんでした。
サラーハのお母さんから以下のようなメッセージを貰ったこともあります。
「どうもいつもありがとうございます。忙しいところすみません。ご迷惑をおかけして申し訳ないのですが、 実は病院に行く車の運転手にお金を払えないです。うちの家族は女の子の子と16歳の長男だけ働いています。その長男はプラスチックホースを製造する工場で働いて、週に55,000のシリアポンドをもらっている。だからパンを買って食べるくらいのお金しかありません。それが私たちの生きるすべです。この間アサド大統領は恩赦を与える大統領令を出したが、その中に行方不明の夫を見つけることができませんでした。とても惨めです。心配かけて申し訳ございません。サラーハの病気の治療を手伝ってくれる人は他に誰もいませんのでお願いしたいです」
みじめな思いをさせることになり申し訳ない限りです。
さて、今後ですが、サラーハ君のお母さんは、寡婦状態で収入もなく、シリア政府の福祉政策も当てにならないことから今後も支援が必要です。
Team Bekoを立ち上げたころの学生たちも卒業してしまい、なかなかシリア関連のボランティアを手伝ってくれる人材もいない中で、今後どうするかを検討しています。取り急ぎ
2021年から始めたチャリティ年賀状の販売を今年も行うことにし、わずかでも現地に届けたいと思います。
今回は、サラーハ君がうさぎと亀の絵を描いてくれました。こちらもご協力お願いします。