【応援メッセージのご紹介】山崎文之先生より

山崎文之先生より、本クラウドファンディングへの応援メッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。

小児脳腫瘍は、発生数が少ない割に種類が多く、診断と治療が難しいため、小児の病気の死亡率では第一位です。脳腫瘍を含めた癌の治療は、手術・抗がん剤・放射線が中心でしたが、医学の進歩に伴い多くの癌における遺伝子異常が発見されました。その結果、遺伝子診断がとても重要になり、その結果によっては分子標的薬による治療や免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けることができます。

このような治療を精密医療（プレシジョン・メディシン）と呼び、開発中の新規薬剤の臨床試験に参加できる可能性もあります。私が医師になり30年以上が経過しましたが、多くの癌の治療が劇的に変化することを目の当たりにしてきました。小児脳腫瘍でも多くの進歩が成し遂げられましたが、成人の癌の治療の発展には大きく水を開けられた状態となっており、その原因の一つとして診断の難しさが挙げられています。

DNAメチル化とは、遺伝子の塩基配列の変化を伴わずに遺伝子の発現を調節する遺伝子修飾のことですが、これを調べないと診断できない小児脳腫瘍があり、また多くの小児脳腫瘍はDNAメチル化解析を行うことで分子分類が可能であることも報告されています。しかし、この最先端の検査方法は保険適用外であるため、高額な検査費用が必要になります。しかし、そこで諦めていては小児脳腫瘍の治療開発には繋がりません。

精確な診断を行うことで、初めて最適な治療を行うことができ、標準治療が存在しない珍しい種類の小児脳腫瘍においても正しい治療を模索することができるようになる糸口が掴むことができます。本プロジェクトにより、一人でも多くの子どもの脳腫瘍患者さんに、DNAメチル化解析の結果を届けられるよう、是非みなさんのご協力とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

広島大学病院　脳神経外科

山崎文之