裏磐梯・磐梯山の豊かな自然を外来種から守りたい!活動報告
【感謝の思い】
NPO法人裏磐梯エコツーリズム協会の外来種防除活動にご支援を下さいました皆様、本当にありがとうございました。初めてのクラウドファンディングが成立するのかどうかさえとても不安でしたが、皆様のおかげで無事2021年度のオオハンゴンソウ、ウチダザリガニ、コウリンタンポポ防除活動ができました。また、ネクストゴールにより活動のYouTubeアップと外来種啓発用DVDの製作もでき、北塩原村の二つの中学校に届けることができました。侵略的外来種を多くの皆様に知ってもらう機会が増えたと思います。皆様にはお礼の言葉も見つかりません。心より深く深く感謝申し上げます。
【結果報告】
Aウチダザリガニ防除作業
第1回
日時:6月3日13:30~16:00
作業参加者:7名 (うち1名専門家・指導者)
内容:特定外来生物ウチダザリガニが繁殖エリアに与える影響をより科学的に把握するため、専門家の助言のもと生態系の中でザリガニと競合している水辺の生き物の調査を行う
場所:裏磐梯a,b
方法:胴長を装着した3名が30分、調査ポイントの小川で捕獲作業を行った。「定量的」を常に意識する必要があるので、今回の3人×30分=90分を基本単位として次回の調査の際には同条件(トータル90分)で行うように(3人なら30分、2人なら45分、6人なら15分)という助言を指導者からいただいた。
調査結果
駆除数:16匹
<確認された水生生物> *種の同定は専門家が行った
スジエビ 1、ヌカエビ 6、ミヤマミズスマシ 1、ヤスマツアメンボ 5
ヤマサナエ 2、ミルンヤンマ 1、ナガレアブ科 2
<魚類・両生類>
ホトケドジョウ・ハヤ・ハゼ・カエル
<専門家の現地でのコメント>
この環境でこの結果は種類が少なく多様性には乏しくウチダザリガニが影響していると言えると思う。
写真
網で水生生物を捕獲する様子
捕獲した水生生物をバットに入れる様子
バットで観察している様子
網で駆除したザリガニの様子
第2回
籠掛日時:6月6日15:00~16:30
回収計測駆除日時:6月7日10:00~13:00
作業参加者:のべ4名
駆除数:60匹
写真
籠掛の様子
幼いウチダザリガニを抱えているメス
第3回
籠掛日時:7月1日16:00~17:30
回収計測駆除日時:7月2日9:00~13:00
作業参加者:のべ4名
駆除数:650匹
写真
籠掛の様子
籠回収の様子
第4回
籠掛日時:9月5日15:00~16:30
回収計測駆除日時:9月6日9:00~13:00
作業参加者:のべ4名
駆除数:382匹
写真
籠の中に餌のアラを入れた籠掛の様子
籠引き上げの様子
第5回
籠掛日時:10月28日15:00~16:30
籠回収・駆除・計測日時:10月29日9:30~13:00
作業参加者:のべ6名(うち猪苗代町役場2名)
駆除数:352匹
写真
籠をかけている様子
かかったウチダザリガニ
第6回
籠掛日時:11月27日15:00~16:00
籠回収・駆除・計測日時:11月28日13:00~14:00
作業参加者:のべ2名
駆除数:2匹
(積雪のため1か所で解凍した前回のウチダザリガニを餌とする防除実験のみ行った。)
Bオオハンゴンソウ防除作業
第1回
作業日時:7月15日9:30~12:30
作業参加者:10名 耕作地用除草剤の塗り付け
作業場所:北塩原村看板付近の道路端8名と曽原湖畔通りの民家前空き地2名
作業結果:耕作地用除草剤25倍希釈液によるオオハンゴンソウ駆除を実施した。
北塩原村看板周辺の国道459号線の両側の道路端で、途中適宜休憩をはさみつつ2時間塗布作業を行った。オオハンゴンソウの枯死状態は後日確認しそれも撮影した。
写真
黄色い花がオオハンゴンソウの花、左手前はオオハンゴンソウの葉と茎
作業メンバー
2週間後枯死の様子
第2回
作業日時:8月5日9:30~12:30
作業参加者:15名(うち環境省管理官2名、アクティブリゾーツ職員1名含む) 耕作地用除草剤の塗り付け
作業場所:➀グランデコへ行く村道→小野川周辺(8名)
②曽原山付近→北塩原村看板下→秋元バス停(4名)
➂曽原山付近→曽原村道→剣ヶ峯道沿い(3名)
作業結果:耕作地用除草剤25倍希釈液によるオオハンゴンソウ駆除を実施した。
活動成果としては2週間後と3週間後に現地撮影し、オオハンゴンソウの枯死状態の確認。作業当日お昼ごろにややまとまった降雨があり、一部薬剤が流れた模様。枯死した個体と生き残った個体が混在する状況がみられた。
写真
参加メンバー
オオハンゴンソウの繁茂状況と作業の様子
2週間後枯死した様子
3週間後枯死した様子
Cコウリンタンポポ防除作業
事前準備
環境省・林野庁・福島県の許可証を携帯した2名の作業者がお花畑前の登山道に許可看板を設置した。
作業日時:6月1日
作業参加者:2名
設置場所:磐梯山弘法清水小屋下お花畑(標高1580m付近)
写真
設置後の許可看板
第1回
作業日時:6月22日8:30~15:30
作業参加者:13名
作業場所:櫛が峰下の稜線(標高1457m付近)とお花畑(標高1580m付近)
駆除重量:25kg
写真
コウリンタンポポの様子、開花前のつぼみ
根から引き抜いた様子 株が根でつながっている
作業後の集合写真 袋は引き抜き駆除したコウリンタンポポ
第2回
作業日時:6月29日9:30~16:00
作業参加者:16名
作業場所:櫛が峰下の稜線(標高1457m付近)とお花畑(標高1580m付近)
駆除重量:44kg
写真
コウリンタンポポを根から引き抜いている作業の様子
参加メンバー
第3回
作業日時:7月10日8:30~14:30
作業参加者:7名(うち指導担当専門家1名)
作業場所:櫛が峰下の稜線(標高1457m付近、地図6)
駆除重量:10kg
写真
コドラート調査の様子(多くが開花、雨のためレンズに水滴がついている)
コウリンタンポポ開花の様子
参加メンバー
第4回
作業日時:7月14日8:30~15:30
作業参加者:12名
作業場所:櫛が峰下の稜線(標高1457m付近)渋谷登山道沼の平付近とびわ沢手前まで(標高1406m付近)
駆除重量:37kg
写真
駆除前繁茂の様子(多くが開花)
引き抜いた藪の中のコウリンタンポポ 茎が長い
作業後の集合写真
第5回
作業日時:9月7日8:30~15:30
作業参加者:21名
作業場所:櫛が峰下の稜線(標高1457m付近)磐梯山弘法清水小屋下お花畑(標高1580m付近)渋谷登山道沼の平付近(標高1406m付近)
駆除重量:16.5kg
写真
斜面でコウリンタンポポ引き抜き作業を行う様子
参加メンバー
後片付け
環境省・林野庁・福島県の許可証を携帯した2名の作業者がお花畑前の登山道の許可看板を撤去した。
作業日時:10月31日
作業参加者:2名
作業場所:磐梯山弘法清水小屋下お花畑(標高1580m付近)
D.ネクストゴールによる活動
1.YouTubeアップ
➀2021年6月22日コウリンタンポポ防除作業https://youtu.be/-Ss3nJsdh6I 120回視聴
②2021年7月16日コカナダモ防除作業https://youtu.be/MZgUtiH7pDA 96回視聴
➂2021年8月4日オオハンゴンソウ防除作業https://youtu.be/h1qUVa5VBoE 126回視聴
④2021年9月6日ウチダザリガニ防除作業https://youtu.be/-oYzc_Z3aSg 443回視聴
⑤2021年9月7日コウリンタンポポ防除作業https://youtu.be/15Ho609HMRc 85回視聴
*視聴回数は11月23日現在
2.裏磐梯の侵略的外来種防除啓発DVD製作
福島大学黒沢高秀教授に監修いただき、裏磐梯のキショウブ、ウチダザリガニ、コカナダモ、コウリンタン ポポ、オオハンゴンソウの駆除の様子や防除方法などを収録した。収録時には事前に裏磐梯中学校と第一中 学校の先生、生徒にも見ていただいた感想を製作に反映した。完成した動画は各中学校に届けた。
【考察】
Aウチダザリガニ防除作業
調査を含め合計6回行い、 1460匹を駆除することができた。しかし、秋になり水温が下がるにつれ捕獲数が減少した。専門家の指導により水生生物を調査したが、周りの環境に比べ種類や個体数が少ない印象とのコメントをいただいた。駆除により在来種がどのよう変化したかを調査するのが課題である。また、撲滅には程遠いので今後も駆除は必要である。
Bオオハンゴンソウ防除作業
裏磐梯地域では、夏になると至る所でオオハンゴンソウの繁茂をみかける。当協会で毎年行っている場所においては、減少を実感できるが、他の場所では増加している印象がある。繁茂スピードについていけていない状況である。今後は、作業人数を増やすとともに、作業場所・面積も増やさなければならない。また、在来種の変化も注意深く観察する必要がある。
Cコウリンタンポポ防除作業
コウリンタンポポが防除活動を始めて一番日が浅く、磐梯山での繁茂の状況は深刻である。同様な土地を好む、磐梯山の希少種バンダイクワガタが競争に負ける勢いである。今年は5回の活動で総重量132.5kgを引き抜き駆除した。昨年より、専門家のアドバイスをいただき、方形区による調査を開始した。2年間のデータからはコウリンタンポポは1度の駆除で被度を大きく減少させる。別の視点で見ると1度駆除しただけでは根絶できず場所によっては被度15%まで回復するという結果であった。今後も駆除により在来種がどのような動きをするか長期にわたり調査する予定である。防除しなければならない面積も広く、引き抜き駆除のためには登山も必要であるが、粘り強く継続しなければならない。
Dネクストゴールの活動
ネクストゴールにより我々の課題である侵略的外来種の啓発活動が著しく進展した。今後はYouTubeやDVDを教育の現場や当協会出前講座などで活用してより広く知ってもらえる機会を作りたい。
【収支報告】
皆様からご支援いただいた資金は、全額裏磐梯・磐梯山の豊かな自然を外来種から守るために使用させていただきました。
防除活動事業費として参加者謝礼493,850円(活動参加者115名、講師1名、講師交通費)、運搬費70,000円(車両借り上げ35台)、消耗品費64,919円(除草剤、根ほり、ウチダザリガニエサ代、新型コロナウイルス感染症対策費、熱中症対策費など)、ネクストゴールによる啓発活動費122,850円(YouTubeアップ費、DVD製作費、監修アドバイザー謝礼、アドバイザー交通費)、READDYFORへの手数料129,624円、支援者へのリターン費100,757円(守り狐35個、チケット・報告書印刷代、送付代、運営人件費)を使用させていただきました。
【リターンの発送状況】
お約束しているリターンは今準備中です。期限の4月末日までには必ずお送りいたします。感謝のメールと活動報告書はメールにて送付いたします。協会サポート会員会員証、裏磐梯の守り狐、ジュンサイ摘み体験ペアチケット、ヘルスツーリズムご招待券は郵便にて送付いたします。
【今後についての情報】
当協会では各外来種の根絶を目指して防除活動を今後も続けていきます。そのためには皆様のご支援が必要です。募金や寄付を随時受け付けておりますのでいつでもお問合せ下さい。また、人手不足にあえいでおります。各活動へのご参加もお待ちしております。当協会ホームページやFacebookなどで告知いたします。今回ネクストゴールで製作した裏磐梯の侵略的外来種防除啓発動画は無料にてご使用いただけます。ご希望の方は当協会へお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。