(ひとまずの)終了報告、そして次回へ。
落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクトVOL.4《双生する音楽会》に
ご支援いただきました皆様
コロナ禍も第3派が押し寄せた東京。2020年を振り返ると、皆さまの心にも大きな重い記憶がよみがえるかもしれません。
先の見えない、分断された社会情勢の中、「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクト」の公演が実施されたこと、多くの皆様に公演をお楽しみいただきましたことは、今振り返っても奇跡のような気がいたします。
そして、「当日だけ」展開されたリアルとオンラインの双生する世界も、奇跡的に開いた一夜限りの大輪の花だったような思いがします。
公演を支えてくださったすべての皆様に、改めて心から御礼申し上げます。
■公演で実現できたこと
《双生する音楽会》では、コロナ渦におけるオーケストラのあり方を模索し、オンライン鑑賞のスタンダードを探りました。目指したポイントはいくつかあります。
【オンラインで公演を行う価値の創出】
・客席鑑賞とオンライン鑑賞を異なる演出で体験できる演奏会を開催したい
・8Kカメラ、高画質音質、ハイレゾ音源配信システム、AR演出(当日発表)などを駆使し、オンラインコンサートにより新たな価値を創出したい
・公演を「保存」し、再編集して新たな価値を形に残したい
【独自の表現の追求】
・オーケストラがテクノロジーによってどう新たな魅力や価値を付加できるのか、生のオーケストラの「響き」と「らしさ」をテクノロジーによってどう届けるのかに向き合いたい。
・コンサートホールでの鑑賞もソーシャルディスタンスを充分保てるよう配慮し、オンライン鑑賞と合わせコロナに対応しながらも二つ異なる体験を提供したい
【音楽会を通じてお伝えしたいこと】
・単なる会場鑑賞の代替としての単純なライブ配信ではなく、オンラインでの課金を前提にした演奏会プログラムならではの価値を探す
・コロナ禍でも、オーケストラの楽しみを多くの方にお伝えする
お陰さまでこのような目的を概ね果たすことができ、公演をご覧いただいた皆さまから大きな反響をいただきました。
AR演出を加えた配信動画の一部は、こちらからもご覧いただけます。
■収支について
これまでにない「チャレンジ」を加えた演出は、大掛かりな演出を含めた開催費用に充てさせていただきました。クラウドファンディングのご支援と、チケット販売収入のほか、文化庁「収益力強化事業」の助成もいただき、また、多くの関連事業者の皆様に採算度外視でご協力をいただきましたことも大きく、お陰様で日本フィルの演奏人件費を除く演奏経費を、ご支援などの収入でぎりぎり賄うことができました。
コロナ禍が舞台芸術団体に及ぼした影響は大きく、日本フィルも「存続の危機」と呼べる状態に陥りましたが、楽団運営にも多くの皆様からのご寄付などを賜り、2020年度を超すこともできました。
「ポストコロナのクラシック音楽」
落合陽一×平井俊邦(日本フィルハーモニー交響楽団理事長)対談
■まだ終わらないプロジェクト、そして2021年
今回、皆さまとのお約束でまだ果たしていないことがあります。それは
・公演を「保存」し、再編集して新たな価値を形に残したい
ということです。落合陽一とプロジェクトは、映像を編集し「解凍の儀」で皆様と再び公演を生み出したい、と考えていましたが、数百万を超える経費を要することが事後的に判明し、いったんこの企画は保留となっています。
アーカイブ媒体付のリターンメニューでご支援いただいた皆様には、定点カメラによる記録を、2か月程度でお届けいたします。
映像の編集をいったん保留とするもう一つの理由、「VOL.5」の音楽会に向けて踏み出したいからです。プロジェクトはこれで一区切りではなく、落合×日本フィルプロジェクトの活動は、この夏も新たな表現で皆様をコンサートホールにいざないたいと思います。
まもなく8月の演奏会のご案内をするため、こちらのプロジェクトをいったん休止とさせていただだきたいと思います。
皆様におかれましては、私たちの取り組みに引き続きご支援いただけますと幸いです。
最後にもう一度、2020もありがとうございました。