こんにちは!


8月を予定していた絵はがきの発送、かなり遅れてしまって申し訳ありません。
全て発送いたしましたのでもう少しで皆様のお手元に届くと思います!

 

オルカラボでは猛烈な忙しさに見舞われています。
餌となる鮭の減少により近年は海峡を訪れる群れの数が減少していて、特にここ2〜3年はかなりのスローペースで調査をしていたのですが、今年はまるで数年前に戻ったかのような忙しさで嬉しい悲鳴をあげています。


 


特に8月後半がピークで、8月18日〜19日にはなんと80頭ものシャチが私たちのエリアを訪れました!
数年間聞けていなかった群れの鳴き声も久しぶりに聴く事ができ、オルカライブでその鳴き声を中継する事ができました。

 

オルカライブは無料です。
「この美しい光景を世界中の人と共有できれば世界も平和になるに違いない」と博士は30年も前から信じており、インターネットの普及により実現させたプロジェクトです。
ラボの水中マイクの音声を24時間中継しています。
水上カメラでの中継時はツイッターアカウント@Orcalab_JPNで告知しています。
告知興味がある方はどうぞサイトを覗いてみてください。
オルカライブ→ http://www.orca-live.net/jp

 

 

ところで先日、とても興味深いシャチたちの動きがみられたので書いていこうと思います。


「シャチってどんな動物?」に書いた通り、ジョンストン海峡では「レジデント」タイプのシャチと「トランジェント」タイプのシャチが観察できます。

 

 

レジデントは魚を食べ、あまり広い海域を動き回りません。
例えば私たちの海域で最も有名な群れ「A30s」は、8月18日にジョンストン海峡に帰って来てからはほとんどハンソン島周辺に滞在しています。
レジデントはとてもおしゃべりです!
鳴き声を使い分けて他のレジデント仲間と交流をしています。

 


一方トランジェントは獲物がほ乳類なのであんまり鳴きません。
そしてレジデントに比べ、とても広い海域を旅します。
広い海域を旅するということは知識のある人に目撃される可能性も少なくなり、数年人間に確認されていない群れというのもいっぱいいます。


それぞれレジデント仲間、トランジェント仲間内での交流は盛んですが、レジデントとトランジェントは全く交流がありません。交配もなければ戦う事もありません。
人間から見たらとても不思議な関係なんです。

 


9月7日、この2種類のシャチが私たちの海域で同時に確認されたのです!


 


その日まず最初に私たちが確認したのはレジデントのA30sとA42sでした。
ふた組の群れはとても仲がよく、この数日まるでひとつの家族のように入り交じって過ごしていました。

 


午前11時。
A30sとA42sはジョンストン海峡のCPの前〜ブラックニー・パスの入口あたりに広がってそれぞれ魚を捕っていました。
その後まもなくホエールウオッチングボートにより、別の群れが北のブラックフィッシュ・サウンドで確認されました。

 


そのときオルカラボの前の海「ブラックニー・パス」に突然1頭のトランジェントのシャチが現れました。
しかしその動きは変でした。ジョンストン海峡の方向へ進もうとしたり、方向を変えて北へ進もうとしたり。
午前11時〜午後2時前にかけて何度もジグザグな動きをしていたのです。

 

 

普段はあまり鳴かないはずのトランジェントですがこの日はくり返し鳴き続けていました。北も南もレジデントのシャチに阻まれブラックニー・パスに閉じ込められる形になって、行き場をなくしていたのでしょうか?

(めったに鳴かないトランジェントですが、鳴く時は狩りの後お腹がいっぱいになった時や仲間を捜しているときに鳴き声を発する場合が多いです)

 


通常この海域では、ほ乳類を食べるトランジェントのほうが、魚食のレジデントを避けます。
なぜトランジェントのほうが肩身が狭いのかはわかってはいません。

 

 

たった1頭のそのトランジェントはビッグス(トランジェントにも海域によってさまざまな違いがあるため、この海域のシャチ研究の創始者といえるマイケル・ビッグさんの名前をとって私たちの海域のトランジェントのことをビッグスと呼んでいます)のT12Aという個体であると思われました。
母親を亡くした後たった1頭で旅を続けている孤独な個体です。

 

 

おしゃべりなレジデントのシャチはストレスに弱く、家族を亡くして1頭になると自分も死んでしまうケースが多々あるのですが、寡黙なトランジェントは生きる力が強いのでしょうか、家族を亡くした後1頭で旅を続けている個体というのは珍しくはありません。

 

 


午後2時。
最終的にそのトランジェントは南へ進んでジョンストン海峡へ突入し、レジデントのA30s/A42sの間を何とかすり抜けて東のロブソンバイトの方へと進みました。
そして、再び鳴き声をあげました。

 

 

するとそれまで各自魚を捕っていたA30sとA42sは、トランジェントの鳴き声を聞いたとたん魚捕りをストップし、どんどん集まりひとかたまりとなって少しずつトランジェントが進んだのと同じ方向の東へ向かい始めたのです。

 

 

鳴き続けるトランジェントと違ってA30sとA42sはまったく鳴き声を発しておらず、それはまるで無言の圧力のようでした。

 


午後4時すぎ。
トランジェントがすっかり遠い東へ行ってしまうとA30sとA42sはその後を追って東へ進むのをやめ、方向を変えてオルカラボの前を通過し北のブラックフィッシュ・サウンドへと向かいました。

 

 


レジデントとトランジェントの関係性が垣間見えた面白い出来事でした。
たった1頭で旅をしているT12Aくんも、トランジェントの仲間に出会えると良いのですが!

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