おれ、ここに住み始めてからほとんどお金つかってないっす
家賃0円ハウスのクラウドファンディングを応援してくれたみなさんへ。
みなさんがエネルギーを送ってくれたおかげて家賃0円ハウスのプロジェクトがついに始動しました。リターンの書籍『家賃0円ハウス~楽しくデタラメに生きるための哲学~』も好評でありがたいです。海外からの支援もありましたので、海外組の方はリターンの到着もうしばらくお待ちください。みなさん応援本当にありがとうございます。
まだ改装中ですがすでにマイちゃんとトシくんという2人の若者が0円ハウスに住み始めています。鳥取から令和建設という大工さんチームが来て9月30日から改装工事が始まりました。
令和建設はこの家に住みながら家の声を聴き、空間を整えてくれています。入居者と一緒に住みながらという改装スタイルはより家と人間の感触を掴みながら、手を動かせるので空間の生成変化の強度が違う気がします。令和建設が来てから0円ハウスの風通しがより軽やかになってきています。
トシくんが来てから一週間が経ちました。「出会う人が濃すぎてまるでもう何ヶ月も時間がたったみたいな濃厚な経験をしています」と言っています。彼は「おれには何の輪郭がない」と言っていましたが、何もやりたいことがなくても楽しく生きていける実感をこの短期間で掴みつつあるように感じています。令和建設の改装を3日目から手伝うようになりました。
「じつは最初から手伝いたかったんですが、就職したときやバイトでもすぐにやらされてる仕事が嫌になってしまうんで、もし改装を手伝ってそうなってしまったら申し訳ないなと中々、行動できなかったんです」
だけどトシくんは令和建設とそれこそ寝食をともにして改装を手伝った。
「こんなに集中したのはひさしぶりです。ただただ作業に没頭しました」
と嬉しそうに語ってくれました。あとのきのトシくんの目や少しゆるんだ口元の陰影は輪郭のない抽象的なものではなく、何かはわかりませんが、まぎれもなく生をもった有機体でした。わたしはトシくんのあの顔を見ただけで心から家賃0円ハウスをやってよかったと感じました。
「あと、おれ、ここに住み始めてからほとんどお金つかってないっす。やばいっすよね。ちょっとびっくりしています。べつにまだ自給自足してるわけでもないんすよ。令和建設さんの3人がお昼ご飯や夜も遊びに連れてってくれて、ジャンケンで負けた人がおれに奢ってくれるんすよ。あとご近所の狩猟やってる祥子さんが、ご飯や酒のつまみを何品も持ってきてくれて。おれ0円ハウスに来てから太りました。ははは」
令和建設のみんなは、改装をしてくれて、住人の若い子たちの面倒までみてくれています。こんな建築チームないと思う。この場所でいろんな次々と運動が起こっています。祥子さんは料理がつくること食べることが大好きで、それが高じて狩猟や鶏やヤギを育てたりし始めた人です。料理も都会でたべたらそれこそ数万円コースの腕。そのうえ素材はすべて自分で育てたり、島で摘んだクレソンなど野生をそのまま生かしたもの。
0円ハウスには食のセーフティーネットまでできそうです。しかも祥子ちゃんは「大好きな料理つくれて、食べて喜んでもたえて最高に楽しい!猪肉、タンとか食べたら美味しいんやけど食べきれんくて捨ててたの忍びなかったんよ。喜んで食べてくれる場所できてうれしいわ。ありがとう大樹さん」と逆にお礼を言ってくれる器のでかい人です。彼女がいる瀬戸田で家賃0円ハウスをできて本当によかった。こころからありがとう。
マイちゃんも自由に0円ハウスの時間をすごしています。好きなだけのびのび絵を描き、行きたい場所や会いたい人には興味のおもむくままに向かいます。いまは10月末に予定している家賃0円ハウスのプレオープンのための準備をしています。そのときはマイちゃんの絵を展示したり、古本&雑貨屋さんも0円ハウス内にオープンしてくれます。みなさんぜひ遊びにきてください。わたしも新作の絵の展示をします。
ご近所さんたちも親切で活動にも関心をもってくれています。扇風機などや差し入れなど、つぎつぎと持ってきてくれています。住人のみんなも楽しそうに交流してくれています。
家賃0円ハウスのコンセプト(概念)の核は、1年間自由な時間があることです。自由とは意思決定や権力を持つことではなく、喜びを感じていることに素直になることだと感じています。家賃0円ハウスに住むみんながすでにそんな時間をすごしていることにわたしも喜びを感じています。過去に辛いことがあった人たちがいま楽しそうにしている姿をわたしは微笑ましくながめています。みんなで夕暮れ時に散歩した薄いオレンジ色の空の美しさ、空気の匂い、会話という音楽が世界に鳴り響いていました。あの光景をわたしは忘れることがないでしょう。
ほんとうにみなさんの応援のおかげです。ありがとうございます。
みなさんから支援していただいた費用は下記のように使わせていただきました。
支援総額 219万7000円
CF手数料+消費税を差し引いた額
<185万8662円>
改装費用 100万円(大工さんへの日当、材料費)
出版費用 50万円(製本代、編集校正、デザイン用原稿印刷代など)
リターン&発送費用15万円(送料、梱包資材、リターンの材料費、発送のアルバイト(※0円ハウスの住人に時給千円で手伝ってもらいました)の費用)
インフラの修繕費等 30万円(お風呂のボイラー取り替え、水道水漏れなど)
合計195万円
※ちょっと予算オーバーしてしまいました、笑
みなさんからの応援で本当にいろいろなことができて感謝しかありません。ですがお風呂のボイラーが壊れていたこともあり、CF支援では予算オーバーで、わたしが自腹を切りつつ作業を進めています。金欠だぁ~。まだ改装中なので費用がまだ確定ではないのと家の備品など、何もないところからのスタートですので細々としたものを揃えるさらに資金が必要です。あとは発電やカマドなどの設備も整えたえるために、いまさらにクラウドファンディングを立ち上げています。さらに応援していただけると最高にうれしいです。
9月末には完成している予定でしたが、CF中に決まっていた家の契約が破談になってしまったため、開始が遅くなって申し訳ありません。改装中ですがもう住みごごちもかなりよくなって来ています。さらに数日後にはユキちゃんいいう子もメンバーに0円ハウスの仲間入りします。来年頭には改装も完成予定です。いつでもみなさんをお招きできる状態ですので、ぜひ遊びにきてください。
村上大樹