本日も研究室紹介をご覧戴きましてありがとうございます。

本日は研究室紹介11回目です。

 

獣医薬理学研究室

担当:博士課程3年 辻竣也 獣医師

 

 獣医薬理学は,薬が動物や人にどうやって効いているのかを学び,副作用がない安全な使い方を理解したり,薬から動物の身体の機能を理解していく学問です。また研究では,動物の薬を作っているわけではなく,人も動物も同じという考えから,その両方にとって重要な病気の治療薬の原石を探しています。

 中でも,私たち獣医薬理学研究室では,がんやアルツハイマー病に対する創薬の基盤となる研究を,脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)に注目して行なっています。

 

◯ ホスファターゼを標的とした創薬への基盤的研究

 細胞内のタンパク質のリン酸化は,細胞の分裂や分化を決定する重要な現象です。リン酸化酵素(キナーゼ)と脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)がバランスよく働くことで調節されています。キナーゼとホスファターゼのバランスが崩壊すると,がんやアルツハイマー病など様々な病気が引き起こされます。

 

 正常な細胞では,タンパク質のリン酸化バランスが取れていますが,がん細胞の内部ではキナーゼの活性化やホスファターゼの機能低下によって,タンパク質が過剰にリン酸化され,細胞分裂の異常やストレスへの耐性を獲得しています。さらに,アルツハイマー病の悪性化にもタウ-タンパク質のリン酸化が関係していることが知られています。現在の分子標的抗がん薬の多くはキナーゼの阻害剤です。確かに,医療現場において不可欠な存在ですが,同じキナーゼを標的とする薬剤も多く,新薬開発は困難な状況になっています。また,アルツハイマー病などの神経変性疾患では,キナーゼ自体が創薬標的になりにくく,症状を改善する薬は開発されていません。

 そこで私たちは,既存の創薬とは逆転の発想である「ホスファターゼを活性化する」ことで,がんやアルツハイマー病の制御を目指した研究を行なっています。

 

◯ 筋線維芽細胞の生理学的・病態生理学的役割の解明

 最近,がんの悪性化には,がん細胞の成長を助ける微小環境(ニッチ)の存在が重要であることが知られてきました。ニッチを構成する細胞として特に注目されているのが「筋線維芽細胞」です。私たちは,がん細胞と筋線維芽細胞のコミュニケーションに注目し,筋線維芽細胞ががんの「悪性化を助ける」分子機構や,がん細胞が筋線維芽細胞をがんニッチとして「教育する」分子機構を,ホスファターゼに注目し解明する研究を行なっています(図2)。

 

 

学部学生よりひとこと

 獣医薬理学研究室はやるべきことはしっかりこなし、それ以外のところではみんなで仲良く遊ぶような、メリハリがはっきりしている研究室です。3年の仮配属の時点から本格的に実験を始めることができ、半期に一回の発表会でプレゼンテーション能力を高めることもできます。

 研究以外でも充実しており、休日にみんなで山登りやスキーに行く計画を立てたりして親睦を深めています。ただみんなで遊ぶ楽しいだけの研究室ではなく、研究も本格的にできて将来役立つスキルを身につけられる素晴らしい研究室です。

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