屋外でMRIを撮影するなど、医療関係者であればだれもがとんでもなく突飛な発想、ないし空想に聞こえるかもしれません。中には「本当にそんなことできるの?」といぶかる方もいらっしゃるかもしれません。

そのため今回は実際いまのプロトタイプの画像がどういったものなのかを提示させていただきたいと思います。

 

下の写真1は臨床機3テスラ(磁場の強さ。ごく単純にいえばこれが強ければ強いほど高い信号が得られます)MRIを使った肘の画像です。現在日本(世界)で最高水準の画像です。ちょうど真ん中に隙間がありますが、これが関節腔で、ここを中心に曲げ伸ばしができます。向かって上側が上腕といって肩に近いほう、向かって下側が手に近いほうです。

 

この画質をどう評価するか、ですが、本文中にもあるように、信号/雑音比で評価します。信号が高い画質、とは簡単にいえば実際の構造を視覚的にはっきり認識できるか、認識しやすさ、になります。

 

雑音とは実際には存在しないのに、機械の影響で写真に画像に写りこむ余分な構造です。これがさすが世界最高水準ですと、殆どありません。骨のかたちもわかりますし、軟骨も観察できます。また骨髄といって骨の中の様子もよくわかります。

 

写真1 最新の臨床機による画像

 

次に我々が大学で実際に検診に使用している0.2テスラの四肢専用(手足専用)MRI の肘の画像です。もちろんしかるべき承認をうけて発売されている機械です。

 

写真2 0.2T 四肢専用MRI (販売品)の画像

これは13歳の少年で、骨端線がとじておらず、まだ子供の骨格です。

さきほどと同じ場所を撮影しています。全体に少しさきほどより黒っぽくは見えますが、ほとんど撮影シーケンスという条件の違いによるものです。

 

こちらも骨の形、軟骨、骨髄の様子が大変よくわかります。

現在の検診はこの機械を使ってこの画質で診断をしています。

我々が目ざしているのは同じ0.2テスラを使った機械の写真(写真2)になります。

 

現在の画質はこのとおりです。これは屋内で撮影されています。

写真3 検診車用0.2T小型MRI(開発中)の画像

全体として信号が低いです。写真1,2 と比べて全体に筋肉はあまりよくわかりません。しかし骨の形や軟骨、骨髄の様子はよくわかります。また雑音に関しては全くといってよいほどありません。インターネットの写真ではわかりにくいのですが、雑音対策に関してはすでに写真2の画像を上回っていると思います。

信号の強さはまだ改良の余地がありそうです。

 

しかし野球肘で必要な構造はもう十分に観察することができ、すでに検診で必要な画質には到達しているといってよいと思います。

 

今回いただいた寄付ではこれをさらに外に持ち出してあらゆる気象状況でもコンスタントに画質が保てるのかをためす実験を行います。皆様のご寄付が集まるほど、この実験と検証をおこなう機会を増やすことができます。

そのため何卒引き続きこのプロジェクトへのご支援をいただければ幸いです。

 

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