プロジェクト概要

2016年3月18日(金)~3月27日(日)

六本木ストライプスペースにて「北海道主要樹木図譜展」を開催します!

 

はじめまして。「北海道主要樹木図譜展」を企画している東京在住の酒井孝雅です。仕事で東京と北海道を往復しているなかで、たまたま『北海道主要樹木図譜』の美しい石版画(リトグラフ)に出会い、その芸術性の高さに魅了されたのがきっかけでした。

 

しかし仕事で付きあいのある札幌の人たちにこの話をすると、意外にも誰も知らないという状況があったため、この図鑑を人知れず北の地に眠らせておくのはいかにも惜しい、その存在をひろく知っていただこう、と活動をスタートさせました。

 

首都圏のかたに『北海道主要樹木図譜』の魅力を感じてもらいたいとの思いから、北海道新幹線新函館駅開業時期にあわせ東京で展示会を企画、ぜひご支援をお願いします!

 

(北海道での展示会の様子です。)

 

 

大正時代の樹木図鑑とはいえ、これはアート作品だ。

 

東京銀座にINAX(現LIXIL)ブックセンターという小さな書店があります。主として建築、工芸、インテリア、芸術などの専門書を扱う個性的な本屋ですが、なぜかここに北海道主要樹木図譜の絵はがきが置かれていたのです。手に取ってみると、小さいながらも非常に細密な描写で、色使いも生き生きとしている。しかも葉・枝・花・実などがまるで上質なグラフィック作品のように配置され、それだけで1枚の絵画作品として完結しているような美しさ。北海道での仕事をしていた関係もあって、すぐに買い求めました。

 

あとで分かったことですが、この絵はがきはお店のロングセラー商品であり、東京の一角で北海道の出版物がコンスタントに売れ続けている事実に、普遍的な価値の高さを再確認した思いでした。それ以降、『北海道主要樹木図譜』についての知見を得ようと、道内外の図書館をまわって蔵書を調べ、東京神田や道内の古書店を渉猟し、希少なオリジナル版(元版)をいくつか入手することもできました。

 

しかし、残念ながら史料といえるものは関東大震災や東京大空襲などでほとんど焼失しており、調べれば調べるほど、不明な点も増えてゆくジレンマに悩まされました。ただ、この稀有な図鑑をひろく紹介するサイトを立ちあげ、現段階で知りえた情報を積み重ねながら、さらに多くのかたからの情報が寄せられるよう環境づくりを急いでいます。

http://kitanoki-museum.jp

 

(北海道主要樹木図譜です。)

 

 

現在ではかんたんに手にすることができないオリジナル版(元版)を
探し歩く日々。

 

2009年11月12日付け日本経済新聞「ART REVIEW」は全ページを使って『北海道主要樹木図譜』を紹介。そのヘッドラインは「名もなき画工の仕事」でした。また、作家池澤夏樹さんの『池澤夏樹の世界文学リミックス』には、名だたる世界文学と肩を並べて「男子一生の仕事」というタイトルのもとに『北海道主要樹木図譜』についてのコラムが掲載され、18年間という長い大事業の末にその完成を待っていたかのように相次いで亡くなった製作チームの二人、助教授工藤祐舜、画工須崎忠助にスポットをあて、生涯をかけた仕事であったことを讃えています。

 

このようにわずかながらメディアでも取りあげられている『北海道主要樹木図譜』ですが、刊行当時は石版画印刷の限界から300部程度しか作られなかったと推測されており、一世紀の歳月を経た現在では散逸や毀損が進んで、残念ながら一般には容易に目にすることのできない状況となっています。ただ、幸運にもたまたま北大近くの古書店にオリジナル版(元版)があるとの情報を得て、すぐに駆けつけ、はじめて手にした日のことは、いまだに忘れることができません。その後、ことあるごとにマーケットを探索し、消えゆくオリジナル版の収集に務めていますが、最近は新しい情報が出てくることも少なくなってきています。

 

(道内外の図書館をまわって蔵書を調べ、ようやく手に入れました。)

 

 

希少なオリジナル版(元版)の美しさを見ていただくために
4年前、北海道で展示会を開催しました。

 

『北海道主要樹木図譜』の素晴らしさをまずは北海道にお住いのかたにして知っていただこうと、2011年9月札幌駅北口の貸ギャラリーで展示会を無料開催、10日間で道内外から870人の来場者を迎えることができました。

会場では「一度本物を見ておきたかった」「やはり石版画は美しさが違う」「よく札幌で開催してくれた」など、うれしい声をたくさんいただきました。小樽から来られた材木業のかたからは「季節ごとに数年間は森へ入っていなければ、この絵は描けない」と林業の現場を良く知るかたならではのコメントをいただきました。まだ充分に解明されていない出版の背景なども何人かの来場者から話を伺うことができ、貴重な意見として記録させていただいたことも開催の副産物でした。

 

(870人もの方が来場していただけたイベントになりました)

 

 

さらにひとりでも多くの方に見て、感動していただきたいとの思いから、東京で開催します!

 

4年前札幌で開催した展示会はすべて個人負担でまかなったものの、会場スペースや予算の都合もあり、全86枚のうち36枚しか展示できませんでした。しかし、次回東京展示会では札幌開催時よりさらに多くの図版をご覧いただこうと広い会場を探した結果、会場費は数倍にふくれあがりました。展示枚数は札幌の2倍の70枚程度、さまざまな形で合本された製本例や関連資料も展示。また偶然に入手できた樹木曼荼羅図とも言える大判の「北海道重要樹木図」や北海道産の木材を使用して製作した木工作家国本貴文氏(札幌在住)の一輪挿し作品30点も広い会場を飾ります。こうしたことから予算見積もりはやや大きくなりましたが、少額でも結構です、どうぞみなさまからのご支援をいただければ幸いに存じます。

 

(大判の「北海道重要樹木図」です)

 

 

18年もの歳月をかけて作られた出版物が、人のこころを打たないわけがない。

 

首都圏のかたが「北海道」と聞けば、ゆたかな自然や新鮮な食品のイメージを思い浮かべるでしょう。その一方で京都のような伝統文化イメージはまったく想起していただけないのではないでしょうか。もちろん長い歴史を有する古都と、明治中期からようやく開拓が本格化した北海道を比較することはフェアとは言えませんが、北海道にもこんな知的で芸術的な素晴らしい文化遺産が存在していたことを知っていただければ、北海道に対するイメージにわずかながらでも深みや厚みが増すのではないかと思っております。ぜひ大正時代に北海道が生んだ素晴らしい「アート」を、男たちが生涯をかけて成し遂げた仕事ぶりをご自身の目でご確認ください。

 

(知的で芸術的な「北海道重要樹木図」をぜひ見に来ませんか?)