61の温情が降り注いだ猫のお話（その5）

 

口の中から出血していたこてつは、無事にポリープの切除手術を終えることができました。

 

除去したポリープの病理検査も良性判定で、私はようやく肩の荷が下りた気分になったのです。

 

そして、こてつが健康ということが分かったこともあり、私は里親さん探しをはじめることにしました。

 

そこで必要になるチラシ作りやネットへの掲示など、色々な準備を進めようとしていた頃、術後2か月の検査の日がやってきました。

 

 

手術後のこてつは本当に元気すぎるくらいで、私は検査に何ひとつ不安を抱いていませんでした。

 

しかし、こてつの口を開いて術部を診察した先生は、浮かない顔をしていました。

 

話を聞いてみると、除去手術を行った部分にポリープが再発しかけているそうです。

 

ポリープの原因はやはり歯並びが悪いせいで、このままだと何度ポリープを除去したとしても再発を繰り返してしまうおそれが強い、と診断されました。

 

このまま放置しておいてもポリープは悪化する一方ですし、原因である歯並びを治さなくてはポリープの再発を止めることはできません。

 

そこで先生から提案されたのが、ポリープの原因である歯並びが悪い左側部分の抜歯手術です。

 

こてつはまだ若く一気に全抜歯してしまうのは気の毒なので、ポリープの原因となっている左側のみ抜歯手術を行う方が良いそうです。

 

 

私は先生の話を聞き、片側のみの抜歯手術が最善策ということが分かりましたが、ひとつだけ心配なことがありました。

 

それは、抜歯手術に高額な医療費が掛かることです。

 

前回のポリープの切除手術と病理検査で既に4万円ほどの治療費が掛かっているうえに、抜歯手術まで受けるとなるとさらに出費が続いてしまいます。

 

 

私は経済的に限られた中で保護猫活動をしていますので、こてつの治療費だけで短期間に出費が連続すると途端にピンチになってしまうのです。

 

しかし、こてつがポリープを繰り返してしまうのは可哀想ですし、できれば健康な口内環境を整えてあげたいとも思います。

 

私は心の中に迷いを持ちつつも、先生に抜歯手術の医療費を聞いてみたところ、概ね7万円ほどとのことでしたので、何とかお金を工面して抜歯手術を受けることにしました。

 

そして手術当日、術前の血液検査を受けた際に、先生から肝臓の数値が悪化していることを指摘されたのです。

 

 

ひとまず手術に影響の無い範囲だったので手術日程の延期などはありませんでしたが、手術後に再検査が必要になってしまいました。

 

その一方で、抜歯手術に関しては、特にトラブルなく無事に終了しました。

 

1泊の入院を経て戻ってきたこてつは手術後とは思えないほど元気で、その姿を見た私は胸を撫でおろしました。

 

 

家に戻ってからもこてつは今までと変わりなく元気いっぱいで、驚くほど食欲も旺盛でした。

 

抜歯して片側の奥歯はすっかり無くなった状態ではありましたが、きちんとドライフードも食べられていたのでひと安心です。

 

そして手術の2週間後に、術後観察と肝臓の数値の再検査で病院へ向かいました。

そこで私が目にした検査結果は、やはり肝臓の数値が悪化したままでした。

 

 

私は先生に色々と話を聞いてみましたが、特に肝臓に負担が掛かるような生活習慣に思い当たる点はなく、数値が悪化した原因は不明なままでした。

 

しかし、肝臓の数値が悪いまま放置しておくわけにもいかず、ひとまずは肝機能を回復させる投薬治療をはじめることになったのです。

 

（つづく）