核兵器の開発をめぐる国際政治の議論を見ていると、核保有国も、核の傘に依存する国も、核兵器を持ちたがる国も、「広島、長崎の悲劇の実相」はすっかり頭から抜け飛んでいるように思われます。

 

核兵器がこの世に登場して70数年。西太平洋の片隅の島で起きた事件は、被害地の広島・長崎では「これは世界中が共有すべき歴史的事件」と位置づけたものの、一向に世界に広まらなかったことを示しています。日本語で語られる証言には「ことばの壁」がたちはだかり、外国人にはほとんど理解されずに時間が流れたのです。

 

「若者に被爆体験を語り継ぐプロジェクト」に関与している「被爆者証言の世界化ネットワーク(NET-GTAS)」という組織は、原爆地獄を目撃した人々の証言を多言語に翻訳する国際的な翻訳者グループです。京都外国語大学に事務局を置いています。

 

当プロジェクトは高齢の被爆者から若い世代に「被爆の実相」を引き継ぐという、時間軸に沿った継承のイメージです。これに対してNET-GTASの「多言語化」は、丸い地球を分断する「ことばの壁」を乗り越えて世界をつないでいこうというイメージ。

 

両方の努力があってこそ、国際世論が「核兵器のない世界」に向けて動くに違いありません。この機会を大事にしましょう。

 

応援宜しくお願いいたします。

 

(京都外国語大学 長谷邦彦)