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2021年02月21日 07:49

抜粋。その7。『民生委員のオバさん』

    インターフォンが鳴った。
 母が玄関ドアを開けると民生委員のオバさんが立っていた。今日は断りなし
にヅカヅカと上がり込まない。母が居るからだ。
「こんにちわ。今日はお仕事ではないの…」
「今日は会社がお休み」          
「そうですか。お変わりなく過ごされていますか…」
「変わりません」
「近所まで用事があってついでに寄らせてもらいました。変わりなければ大変
結構。お邪魔しました。これで失礼します」
 オバさんはそそくさと帰って行った。やっぱり母が居ないと思って来たんだ。いやらしい。オバさんには何時もいやらしさが付きまとう。花南はこのオバさんの顔を見る度にクレジットカードを思い出した。
 母は生活保護を受ける時に二枚のクレジットカードを取り上げられた。
「現金が無くても買い物できる。カードでお金を借りられる。こんなものは生
活保護世帯に必要なし」と提出を求め二枚をハサミで切断。
 花南は一部始終を見ていた。

    口惜しさよりも憎たらしさが無限大になった。
 オバさんが帰った後に「母さん。クレジットカードは大事だよ。ポイントが
貯まる。一年で一万ポイントくらいは貯まる。一万円の商品券が十二月に送ら
れてくるのを知っている。分割払いも出来る。二回なら手数料はタダ。新しく
急いで作ろう。早くしないと損する」。「生活保護を受けると新しくカードは
作れない。ちょと待って。もう一枚あるはず…」と母。
 母は書類入れの大判の茶色い紙袋から全部を取り出した。
「やっぱりあった。花南。試してみよう」
 近所のコンビニで花南はカップラーメンを一個手に取った。
 カード決済。しかし『このカードは御利用できません』との表示。
「花南。がっかりするのはまだ早い。諦めるでない」
 母は自信ありそう。
「このカードは久しく使っていない。住所変更の手続きも済ませていない。明
日手続きする。それから再チャレンジ」
 三日後。母から「手続きが終わった。今日から使える」と言われた。
 早速スーパーでの買出し。今度は健太と三人。
「今日はガチャガチャは無しだから。我慢して」
「…。分かった。我慢する。何時まで我慢すればいいの…」
「今日だけ。代わりに好きなお菓子を探しておいで」
 何の問題も起こらずに使えた。
「花南。民生委員に警戒を緩めたらダメだからね」
 母が珍しく強い口調で言った。
 花南はこの時に民生委員のオバさんを侵入者と断定した。                                

 

    花南は健太と一緒に養護施設に入れられそうになった。
 その時の記憶が陽大のひと言で蘇ってしまった。
 電気ガス水道が止められてから七日目だった。
 民生委員と名乗るオバさんが一人の男性を連れて突然現れた。母とのやり取
りを聞いていると健太と一緒に養護施設に入れる手続きを進めていると分かっ
た。それが当然の措置とばかりにオバさんは事務的に母に質問して書類を埋め
ていた。最後の署名の段階で母は拒否した。
 花南は健太と母にしがみついた。
「母さんと離れるのはイヤだ。絶対にイヤだ」
 二人で泣き叫んだ。これが決め手になった。
 次の日には電気ガス水道が復活した。生活保護も受けられた。

 花南五歳の真冬だった。
 民生委員のオバさんは善意を踏みにじられたとばかりに忌々しそうだった。
 花南はこの時から民生委員を嫌いになった。

    善意を振りかざし厚かましい。
    オバさんは厚かましさに気づいていない。鈍感。月に一度は訪れてくる。決まって母が働いている不在の時間に。玄関を開けると断りなしに居間に上がり込む。それから電化製品を点検する。冷蔵庫を勝手に開ける。前回の訪問時と変わりないと確かめると母の動向を探ってくる。今のパート以外に働いていないかを尋ねてくる。子どもから聞き出そうとする魂胆。健太には一人の時に民生委員のオバさんが訪ねてきたら決して玄関を開けないように言い聞かせてある。「ピンポ~ンが鳴っても直ぐに玄関を開けたらダメ。覗き窓から覗いてオバさんの時には居留守」と言い聞かせた。緊張して聞いていた健太は守っていた。健太もオバさんを嫌っていた。

 

 思えば民生委員のオバさんも怪しい。嫌っている波動は伝わる。嫌われてい
るのは知られたくないことがあるからと思いそう。それなら後をつけて何をし
ているのかを探りたくなる。もし働いていたならオバさんは鬼の首でも獲った
かのように生活保護に反映させる。減額する。自分の力を見せつけようとする。でも三回とも電停の傍に居なかった。隠れていれば見えない。その方が目的達成に近づくと云うものだ。注意と警戒を怠たっらダメだ。   
 

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抜粋。その6。『サッポロの12月の絶対的貧困』抜粋。その8。『特別な眼への対抗。それは登校拒否』
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