
支援総額
目標金額 1,500,000円
- 支援者
- 114人
- 募集終了日
- 2021年12月24日
「原爆、忘れまじ」第一集から 「地獄の中で」
Y・Nさん(当時二十歳)
ピカッと一瞬閃光が走り、次の瞬間には片方に寄せつけられ建物の下敷になっていました。あの日から四十年、幾多の友は逃れる事すら出来ず灰となりました。
昭和二十年八月六日、朝八時十五分の事でした。私は当時広島鉄道局業務部審査課に勤めていました。本局は字品にありましたが、審査課だけ鉄砲町の広島女学院の中に疎開していました。爆心地より1.25キロの所です。通勤の途中で被爆した人達も多く、未だに行方不明の方もおられる由。
下敷きになった私達もそれぞれに助けを求めて叫びつづけましたが、一向に助けはなく今思いますと神仏のお蔭としか信じられません。どうして出る事が出来たのか今もって不思議です。外に出てみてびっくり、助けどころか人っ子一人おらず、煙でかすんでいました。私も中にいる人達を助ける事も出来ず、校門の方に歩いて行くと、やっと怪我をした人達、全身血みどろで、衣服ははぎとられ、うすい皮がめくれ、指先からたれ下っている男の人、そんな中を、人の行く方について行きますと、浅野家の泉邸縮景園に行きました。大部分の人が大怪我をし泣き叫ぶ人、助けを求める人々、まるで生き地獄でした。
真っ黒い雨が降り、たつまきにあい、折角ここまで逃れてきたのに、ここで死ぬのか、死んじゃいけないと思いつつ、川辺まで来ましたが、そこも左右を見ますと、石垣の下には沢山の人達がいますが、そこの石垣が焼けくずれてるのをみて慌てて川に飛び込み溺れていく人、火の熱気であつく、何度か私も川の水を口にしようとした事か、そのたびに兵隊さんが毒を飲むようなものだ。決して飲むんじゃないぞ。死んでしまうぞ、と叱るように言われ、やっと唇をうるほし、頭から水をかぶり辛抱しました。
やがてたつまきもおさまり、舟で向こう岸へ渡しはじめました。もう夕方近くになっていたようです。向こう岸に渡ってはじめて、家の事が心配になり、両親はどうしてるかしら、家はどうなったかしらと案じつつぼんやりしていました。
と、その時、さっきまで同じ部屋で一緒に話していて下敷きになった友とよく似た人、その友人を助ける事も出来なかったので、亡くなったとばかり思ってたその人に、とてもよく似た人が歩いてくるではありませんか。真っ青な顔をして、思わず二人でみつめ合ってましたが、同時にFちゃんNちゃんと名を呼び、確認した時には抱き合って泣きました。
Fさんはきれいに顔を洗って真っ青な顔、私は血と壁土などほっぺたにこびりつき、そのままのすすけた顔をしていましたので判らなかったのです。
Fさんの家は宮島の手前の五日市で、とにかくFさんの家に行く事にして線路の上を歩いて行く途中、ゲーゲーと吐いていました。Fさんは逃れて行った泉邸の池の泥水を飲んだとか。でも今までにあんなに美味しいお水はなかったと言っておられました。
三日後両親が私を迎えに来てくれ、親子三人で五日市から帰る時、まだ川には沢山の死体が浮いていました。心配していた家の方は、大事にはなりませんでしたが、畳一帖たりとも雨の洩らない所のない程こわれていました。母は三方ガラスの部屋で大怪我をしているのではと案じていましたが、傷もなく元気でした。両親で私を方々探し廻ってくれましたとか。その父も二十二年秋亡くなりました(六十六歳)が、母は四十八年(八十三歳)まで生きる事が出来ました。その間私は結婚も致しましたが、事情があり離婚し、現在三十年近く一人でおります。人々の善意により知人や親戚から注射薬を頂いたり、傷の手当や注射をして下さる方など、神仏の御加護に加え生きのびています。五十五年には心臓の手術を致しまして人工弁が二つも入っています。生きてる限りお医者様とは縁が切れず、月二回病院に通っています。この先何年生きられるでしょうか、世界では方々で戦争が続いています。
世界平和、核絶対反対を叫びます。
いまだに多くの人々が原爆症と闘っています。数多くの人々の犠牲を無駄にしてはなりません。
最後にお亡くなりになりました方々の御冥福を心よりお祈り申し上げまして、私のつたない体験記と致します。
リターン
3,000円
3,000|応援コース
・感謝の気持ちを込めてお手紙を送らせていただきます。
・リターン費用がかからない分、いただいたご支援金はクラウドファンディング手数料やリターン費用を除き、「原爆、忘れまじ」の制作費用に充てることができます。
- 申込数
- 18
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年8月
5,000円

5,000|「原爆、忘れまじ」セットコース
・復刻したこの7冊に、あらたに作成する解説冊子を加えた8冊を箱入り書籍として制作します。
・5,000円を一口として、一口につき8冊箱入り書籍1セットをお送りいたします。二口のご支援であれば、箱入り書籍2セットとなります。
・ご支援いただいた全ての方に、解説冊子編集委員会から編集中定期報告(毎月予定)を送ります。亡くなった被爆者の方が残された資料や掲載されなかった証言などを、編集中の議論を紹介しながら報告します。
・編集委員会に寄せられた支援者のお便りもご了解を得て解説冊子に加えさせていただきたいと考えています。
- 申込数
- 45
- 在庫数
- 955
- 発送完了予定月
- 2022年8月
3,000円
3,000|応援コース
・感謝の気持ちを込めてお手紙を送らせていただきます。
・リターン費用がかからない分、いただいたご支援金はクラウドファンディング手数料やリターン費用を除き、「原爆、忘れまじ」の制作費用に充てることができます。
- 申込数
- 18
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年8月
5,000円

5,000|「原爆、忘れまじ」セットコース
・復刻したこの7冊に、あらたに作成する解説冊子を加えた8冊を箱入り書籍として制作します。
・5,000円を一口として、一口につき8冊箱入り書籍1セットをお送りいたします。二口のご支援であれば、箱入り書籍2セットとなります。
・ご支援いただいた全ての方に、解説冊子編集委員会から編集中定期報告(毎月予定)を送ります。亡くなった被爆者の方が残された資料や掲載されなかった証言などを、編集中の議論を紹介しながら報告します。
・編集委員会に寄せられた支援者のお便りもご了解を得て解説冊子に加えさせていただきたいと考えています。
- 申込数
- 45
- 在庫数
- 955
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