
支援総額
目標金額 1,900,000円
- 支援者
- 201人
- 募集終了日
- 2022年8月21日
紅茶農園とそこで働く労働者の歴史について
ご支援、応援、シェア等、まことにありがとうございます!
8月に入りました。本格的に暑くなってきましたが、どうか熱中症に気を付けてお過ごしください!
最近はチラシ配布や広報にご協力いただけるお店の紹介をしてきましたが、今回はガラッと趣きを変えて、紅茶農園の歴史を書きます。
協力をいただけるところがないか探している中でスリランカの紅茶の歴史について触れられているサイトを見つけたのですが、紅茶農園(プランテーション)が広がった経緯や当時の労働者の移住の経緯について、誤解を招くような表現やこれは違うかなぁという表現が見受けられました。
私自身も植民地時代の移住労働者をルーツに持つ方を研究対象にしており、そこは譲れないわ!と思ったので少しだけ書いておきたいと思います。
(興味のある方に読んでいただければ幸いです。)
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スリランカの紅茶農園(プランテーション)の歴史は、イギリス植民地時代から始まります。
セイロン(スリランカの以前の名前)は16世紀からポルトガル、17世紀からはオランダの植民地支配を受けてきましたが、いずれも沿岸部のみで、島の内陸部、中央高地を中心にあったキャンディ王国は存続していました。
1815年にイギリスがキャンディ王国を降伏させ、全島支配を始め、1824年ごろからキャンディ王国のあった中央高地を中心として、コーヒーのプランテーションが作られました(最初は紅茶ではなくコーヒーでした)。
植民地政府は高地の土地を接収して、安価でプランター達に売却し、関税の優遇措置をとることでコーヒープランテーションを奨励しましたが、この時に接収された土地の多くが、元々そこに住む高地シンハラの農民が移動焼畑農耕や放牧地として使ってきた土地でした。
(プランターは、現在の中部州やウバ州ではヨーロッパ系でしたが、そのほかの地域(サバラガムワ州や南部州)では当時のスリランカの富裕層や南インドから来た商人層が多かったと言われています。これは現在の紅茶農園の運営母体の違いにも繋がっているようです。)
そしてコーヒー農園で働く労働力となったのが、南インドからの労働者移民でした。当初、ヨーロッパ人プランターが労働力としてあてにしていたのは、元々そこに住む人々(高地シンハラ)でしたが、そこに元々の生活基盤(親族関係と、それに結びついた土地や水田)を持っていた高地シンハラの人々の多くは短期契約労働には応じても、恒常的な労働者として働くことは殆どなかったと言われています。プランテーションによる労働力需要の高まりと、それを地元でまかなえないというプル要因に加えて、南インドにも労働者移民を送り出すプッシュ要因がありました。
セイロンと同様イギリス領であったインド、特に南インドでは、当時、人口増加による土地不足や飢饉などから慢性的な貧困状態があり、特に低カースト/アウトカーストで土地を持たない耕作人などが、生活できる方途としてセイロンに渡ったとされています。
1879年にブラジルがコーヒー産業に参入し競争がし烈になったことに加え、1886年にセイロンのコーヒー農園において「葉枯れ病」が蔓延したことによってセイロンのコーヒー産業はほぼ壊滅したと言われます。このためコーヒー農園は、同じように高地で栽培できる紅茶の農園に転換されました。
ちなみに紅茶はコーヒーに比べて栽培可能な標高幅が広いとされています。つまりコーヒーよりも広範な地域で栽培可能になり、元々コーヒー農園だった土地に加えて新たに紅茶農園が開拓され、広範な地域に紅茶農園が広がることになりました。
(コーヒーが一説によると標高900~2000mで栽培されるのに対して、紅茶は600m以下でも気温の条件を満たしていれば栽培が可能なようです。なお紅茶に詳しい方は、ローグロウン、ミドルグロウン、ハイグロウンなど、標高によって茶葉の種類が分けられているのをご存じだと思います。ローグロウンティーは標高600~610m以下で栽培されている茶葉で作られた紅茶のことをさします。)
※上述の記述は、主に以下の文献を参考にしました。
川島耕司「スリランカと民族:シンハラナショナリズムの形成とマイノリティ集団」
鈴木晋介「つながりのジャーティヤ:スリランカの民族とカースト」
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私が気になったサイトでは、「タミルの人々が労働者として移住してきたのは紅茶栽培が始まってから」という認識で書かれていて、さらにそれが「強制的に移住させられた」という言い方がされていました。
コーヒー栽培の時から南インドからの移民労働力、つまりタミルの労働力は使われていました(実は厳密に言うとタミルだけでなく、南インドの他の言語圏の移民も居ました)。ただし、コーヒーの時は季節労働者で、南インドから来て必要な季節だけ作業をして、それが終われば家族のいる南インドに帰っていく、という形態で、紅茶のようにスリランカに定住してすることがなかったと言われています(このコーヒープランテーションでは「季節労働」だったということには異説もあります)。
茶を栽培するようになって、女性は茶葉を摘み、男性は灌漑用水路を整えたり茶木を伐採をするという役割分業ができあがり、世帯で定住することが始まったと言われています。カンガーニと呼ばれる自身も南インドから移住した農園労働者の監督者層が、インドの出身村などに行き複数の世帯ごとリクルートしてくるということが行われました。
上述のように、当時の南インドでは、飢饉や人口増加、低カースト/不可触民への差別の激化などを背景に、セイロンに移住して新天地を求めなければならなかった人々が居たことが指摘されています。
そのことを思えば、ただ「強制的に移住させられた」という単純な話ではないと思います。
***
これに対して「強制的に移住させられた」という表現を使ってしまう背後には、紅茶農園労働者の厳しい状況を訴えるためという意図があるかもしれません。しかし、強制された訳なくても、紅茶農園労働者が厳しい状況に居ることは変わりません。なぜ「強制」という表現が使われているのかを考える時、それを書く人と読む人の中に、「強制されていないならば自分から求めて来たということで、それならば厳しい労働環境であっても仕方がない」と考えてしまう自己責任論のような思考があるのかもしれないと思います。
自らセイロンに来たのだとしても、紅茶農園に移住した労働者の人々のそれは止むに止まれぬ切実な選択だっただろうと思います。
重要なのは、いずれにせよそれぞれの人の選択は様々な要因によって限定されているということです。自ら進んでそれを選んだようにみえる/本人もそう思っている場合でも、その時そこにどんな選択肢があったのかを合わせて考えなければならず、それを考えると「自己責任」で説明できることは本当は非常に狭いことに気付きます。
***
選択という行為はそれぞれの人が自分の意思ですることだとしても、その選択肢は無限ではありません。誰しもその時々でそこにある選択肢を使って生きていくしかないという現実があります。と言うと、厳しい現実は変えられないような悲観的な響きがありますが、そうではなく、それでもその選択肢を少し広げる、想像を少し広げることはできるのだろうと思います。
そして、その選択肢や想像を広げるということが、本来教育の大きな役割なのだろうと思います。
リターン
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