原発事故を描いたアニメの上映会を原発の数2位のフランスで開催

昨日（3月20日）はフランス遠征中、唯一の休日。世界的アニメーションの映画祭が開かれるアヌシーに皆さんをお連れしたく、2時間をかけ訪問。

よほど我々一行の行いが良いのだろう、信じられぬほどの快晴。ヨーロッパ一美しいといわれる湖が我々を迎えてくれる。それまでの疲れをひとまとめにして癒してくれる一日だったが、最後の最後にどんでん返し。帰りの汽車の中で「無念」の広げかた、フランスでのアピールについて広島のスタッフが大喧嘩。一転、一番つかれる１日となってしまった。

よって、この日の目覚めは良くなかったが、今日は日本で約束していたリヨン領事館訪問の日だ。約束の午前10時まで1時間ある。そこで近くのリヨン公園に向かう。全貌を知らぬ我々だ。どこまでが公園なのかさえ分からない。中には人形劇の劇場もあるし動物園もあるのだが、まるで裏山に入る調子で入園できる。入場料もいらない。そこにごくごく自然な形で動物を見せてくれる。心憎い演出に孫を連れてきたいと強く思った。きっと3年は飽きずに遊んでいることだろう。
湖畔に一軒の野外カフェがあったので座り込みエスプレッソを飲む。アイガモや白鳥、白鷺といった水鳥たちが踊るように戯れる。その姿をみているだけでささくれた心が癒され、わだかまりも消えていく。来てよかった。

午前10時。領事事務所は公園の目の前にあった。リヨンのまちには似合わぬ近代的な建物の上にたなびく日の丸が我々を導く。中に入ると分厚い扉、空港でしか見たことのない金属探知機が飛び込んでくる。異国の中の日本を感じる。
ほどなく領事所長が笑顔で登場。気のいい関西おじさんといった感じだ。東日本大震災発生の瞬間、外交官としてパリにおられた所長の話は、３１１のフランスの様子から始まった。誰からともなく届く花、いつしか大使館の前は花でいっぱいになったそうだ。
その話を知った岡さん田子島屋さんは号泣する。
被災者に届けなくては話だと知る。世界には伝えなくてはならない３１１が沢山あることうを知ることとなった。

・

バスに乗り込みヴァランスに移動だ。リヨンからヴァランスまで2時間足らずの移動だったが、同行取材をするＮＨＫさんの意向もあって原発によることとした。

日本で原発と言えば上関の予定地と島根原発に福島第一原発ぐらいしかみたことがないが、いずれも人里離れ、山向こうにあり、ちょっとやそっとでは見ることはできない。

しかし、サンタリバンの原発は全く違う。簡単に原発建屋が直ぐ横に見える駐車場まで何のチェックもなくはいれた。全員がすげえすげえと写真を撮っていると、さすがに警備員らしき人がやってきた。写真を取り上げるぞと脅したようだが、言葉だけで何のお咎めもなく後にすることができた。

夕方4時ヴァランスに到着後、ホテルで一服する間もなく、そこから徒歩15分のところにある映画館での上映会に向かう。上映は一般の映画上映終了後にあるためか夜8時からだ。それまで映画館入り口にあるバーで、現地の受け入れ団体が用意してくれた軽食をいただきながら交流を行う。
その後、上映のため映画館に入るが、そこは本格的映画館、200席の客席が我々を圧倒する。これまでも何度となく映画館で上映していただいたが、やはり会議室での上映とはわけが違う。音も映像も文句のつけようがない。

しかし平日の夜8時からの上映だ。埋まるわけないよなと思っていたが、来るは来るは。上映前には見た目はほぼほぼ一杯だった。正確には数えていないが120人～130人くらいといったところだろう。
本格的映画館、このアニメを普通のアニメと捉えられると辛い。なぜ動かないかを言い訳するためにも、上映前に紙芝居から生まれたこと、紙芝居とはいかなるものかを説明。討論会の後、希望者には紙芝居上映を行う旨を告知、希望者は残ってくださいとお伝えた。
そんなこんなでやっと上映、時間は8時半に迫っていたと思う。
大スクリーンで見る「無念」は格別だ。
上映後に小澤是寛さんのメッセージを読み上げてもらって討論会に入る。既に時間は9時半、残る人はいないだろうと思いきや何と変える人がいない。会場からは沢山の質問が出る。昨晩の反省から広島人である小生の発言は極力ひかえ、被災者の皆さんの思いを伝えることに重点をおいた。フランス語でのやり取りの中、分からぬ点も多かったが発言ごとに沸き起こる拍手に伝わっているとの手ごたえを感じる。討論会が終わったのが午後10時半、これで解散、残る人はいまいと思いきや、なっなんと沢山の人たちが紙芝居を見るために残ってくださった。

時間の関係もあって紙芝居「原発はじまり物語」はフランス語で杉田さんに読んでいただいた。その後、門馬さんに締めのコンサートを行っていただいたのだが、時間は既に11時半。

ホテルに帰ってきたときは日付が変わっていたのは言うまでもない。ベットにはいり寝ようと思ったが、まるで夢のような一日、簡単に眠ることはできなかったし夢もみることもなかった。ものすごく密な1日でした。