皆さまのおかげで、ガスコンロを届けることができました!
皆さまこんにちは。IVY事務局の小笠原です。
昨年12月26日から開始しました「キャンプで、シリア難民にガスコンロを配りたい!」プロジェクトは、81人の皆様から103万円ものご寄付をお寄せいただき、2月14日に終了となりました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
プロジェクトのおさらい
今回実施したプロジェクトについて、もう一度ご紹介させてください。
ガスコンロセットを配布したバルダラシュキャンプ・ガウィランキャンプは、イラク共和国ニナワ県アクレ郡にあり、クルド自治区ドホーク県の管理下に置かれています。
2019年10月9日、トルコ軍がシリア北部のクルド人の勢力地域に向けて、空爆や砲撃を開始しました。攻撃は人々が暮らす家も襲い、命を守るために人々は村を離れるしかありませんでした。シリア国内の避難民キャンプや、親戚の元へ避難した人々の数は、最大で20万人にも達したのです。
トルコ軍の攻撃から1週間も経たないうちに、隣国イラクにも人々が逃れ始めました。
180人以上が避難したのを機に、多い日で1日1,000人以上が国境を越えてイラクへ逃れて来ました。
シリアの人々の受け入れ先となったのは。
今回シリアから逃れてきた人々を受け入れたキャンプは、
”バルダラシュキャンプ、ガウィランキャンプ”と言います。
最初にバルダラシュキャンプが開設し、14日からシリア難民の受け入れを開始しましたが、わずか2週間で定員の12,000人に達してしまったため、ガウィランキャンプも開設されることになりました。
10月末、IVYイラク事務所スタッフがバルダラシュキャンプを訪れ、人々に話を聞くと、
お母さんたちから聞こえてきたのは「温かいご飯を作るためのガスコンロが欲しい」という声だったのです。
冷え込みが一層厳しくなるイラク北部の冬、、。
温かい食事を食べさせてあげたい、そんなお母さんたちの気持ちに応えるために、
ガスコンロを配ることにしたのです。
キャンプでの避難生活も、キャンプを離れた後の生活も両方支えて行きたいから。
IVYは、これまで越冬支援で灯油や冬物衣料を配布してきました。
ガスコンロを配るのは今回が初めて。
限られた空間の中に設置するガスコンロはどのくらいの大きさが適切か検討し、
外での調理もできるように、持ち運びできる2口のガスコンロを配ることにしました。
キャンプを去る家族も…。
当初、キャンプには2500世帯が暮らしていました。
しかし、先にキャンプを出て街で暮らしている家族や親戚と合流するために、キャンプを去る家族もおり、1月には約900世帯減っていたことが判明。
そのためバルダラシュキャンプの次に開設したガウィランキャンプにも聞き取り調査をしたところ、同じくガスコンロが欲しい、という声が寄せられたため、2つのキャンプに配布することにしました。
また、調理頻度の多い世帯はボンベを約1ヶ月で使い切ることが分かったため、必要な世帯にはガスの充填も行うことにしました。
待ちに待った配布の日!!
ガスコンロはすっかり台所の主役に!
配布後、ガスコンロがどのように使われているか、
何か不具合はないか聞き取りをするためにキャンプを訪れました。
バルダラシュキャンプの台所では、
調理がしやすいようガスコンロが石のブロックや棚の上に設置され、コンロはすっかり台所の主役になっていました。
ガウィランキャンプには、まだ各テントに台所がないため、テントの入り口付近に設置されていました。
聞き取り調査をしていると、どこからか立ちこめてくる香ばしいクミンの香り。
香りに誘われてあるテントを訪れると、お母さんが昼食の支度の真っ最中でした。
「これまではストーブの上で調理していたから、お肉を傷めるにも時間がかかっていたの。
でも、このガスコンロは火力が強いから調理の時間も短くなったのよ」
この日のメニューはひき肉と玉ねぎの炒め物。パン(フブズ)につけて食べるそうです。
もう1軒にお邪魔すると、こちらの家庭ではナスを揚げているところでした。
「今日は、マクルーバを作るのよ。
コンロが2口あるから、同時に2品作れてとても助かるわ。
ごはんを炊くのも、火加減を調節できるので、おいしくできるようになったわ。」
その他にも、石油ストーブからガスコンロに変わったことで、日中ストーブを使用する必要がなくなり、灯油の消費が減った、などの声も聞かれ、配布したコンロは家計の一助となっているようです。
【収支報告】
(収入)
Readyfor 皆さまからのご寄付 1,030,000円
(支出)
ガスコンロセット購入費(127セット分)866,081円
その他 27,959円 *リターン費等
Readyfor手数料 135,960円 *ご寄付×12%+消費税
合 計 1,030,000円
人々が安心して暮らせる日まで
寒い冬が終わり、暖かい春の日差しが人々を包み込むようになりました。
しかし、世界中で猛威を奮っている新型コロナウィルスは、キャンプがあるイラクでも感染が確認され、都市間の移動が制限されたり、国境が封鎖されたりし、人々はまた帰還が遠のいてしまいました。
短い春が終われば、50度を超えるイラクの夏がやってきます。
人々が安心して暮らせる日まで、IVYは難民支援を続けてまいります。
これからも、応援をよろしくお願いいたします。