元ヤクザとひとのま

たびたび出所者も訪れる「ひとのま」なものですから、元ヤクザでしたっていう人が来たこともあります。

 

偏見で語ることはよくないとはわかりつつも、ちゃんとわかりやすく怖い顔をしていました(笑)

 

出所してからヤクザをやめて、2年ほど。自力で何とかしようともがいてこられたそうです。しかし、このご時世だからかなかなかうまくいきません。履歴書が必要なところでは大体いい返事は返ってきません。

 

ということで履歴書が重視されないようなところに何度か勤めたそうなのですが、元ヤクザだってことと犯した罪がいつの間にか知られることとなりやめざるを得なくなったそうです。

 

そんな感じなので2年間、生活にゆとりもなく困窮していたのですが「自業自得なので」と役所や支援機関に頼ることはなく過ごしてきたそうです。

 

いよいよどうにもいかなくなって、本人曰く「恥をしのんで」市役所に行くと「ひとのまへ」となってやってきたのです。

 

ひとのまで泊っている間にいろいろありました。

 

小学生の女の子。

 

ゲームやっているのを横から覗かれて「顔怖いし近づかないで」

 

「いつも飯食わせてもらってるんで今日は私に作らせてください！」と台所で包丁を持てば、

 

「お！組長！今日は誰をヤるんすか！」と囃し立てる若者たち。

 

そして、たまたま冷蔵庫にあったウインナーを切る様子を見て、

 

「指切ってるようにしか見えん！」と爆笑するみなさん。

 

結構、傍から見ていてヒヤヒヤするのですが、元ヤクザのおじさんは「怖がられずに、こんなにまっすぐ一人の人として接してもらえたのは記憶にないです。」と喜んでいました。

 

何はともあれ嬉しかったのならよかったです(笑)

 

今ではしっかりと働いて新たな人生を歩んでいることを風の便りで聞いています。

 

一度過ちを犯すとなかなかやり直すことが難しいですが、支えあいながらやっていけたらいいなと思います。