お世話になりました、ひとまず終了の報告をさせていただきます。
みなさま
あっという間に新年度もスタートしました。
北海道はまだ春はこれからですが、みなさまの所は桜も咲き乱れ、清々しい4月をお迎えでしょう。皆様には、このプロジェクトに多くの暖かいお言葉とご支援をいただきました。まだまだ道半ばですが、ファージセラピーの実用化に向けて、さらに精進していかなくてはと皆様から随分と後押しして頂きました。このプロジェクトですが、クラウドファンディングとしての一区切りの報告をする時期となりましたので、今回は以下ご報告させて頂きます。
このプロジェクトでは、薬剤耐性菌により治療困難な犬や猫の感染症に対して、その病原細菌に特異的に感染し、溶菌（殺菌）するバクテリオファージで治療するファージセラピーの臨床試験を行なっていく、またその試験に用いるファージを収集し、解析して開発を進めることに、皆様より賛同して頂き、ご支援を頂きました。昨年6月からスタートした外耳炎の症例では、大腸菌、緑膿菌といった複数の細菌が混合して感染した症例に対して、短期間に複数の新しいファージを分離し、不純物を取り除いて精製し、治療展開まで行いました。この間、かなりの体力と時間を要するタフな取り組みでしたが、学生も献身的にサポートしてくれたおかげで乗り切りました。治療としては、ファージにより病原細菌を減少させ、最終的に抗生物質も用いて症状は回復しました。今回の症例の結果としては、ファージだけでは完全な治療成功とはなりませんでしたが、試験管内レベルの実験で良いファージを取り揃えても、実際の臨床治療においては、患部の炎症の状態、複数細菌の感染状況、症例犬の免疫の状態など、多くの要素が絡んでくることを改めて再確認できました。
今回は、この１件の臨床試験で期間を終わりましたが、新年度に向けて小動物病院の諸先生達とさらに連携を深めて臨床試験の体制を強化していきます。また、臨床試験にて応用して行くには、対応する多様なファージが必要であり（ファージバンク）、そのファージの取得は現在でも学生や共同研究者と共に着実に増やしております。
またこの取り組みも話題となり、以下、学会において複数の招待公演も行い、普及を行うことができました。
- 細菌感染症におけるバクテリオファージとエンドライシンの可能性と課題
第36回日本バイオフィルム学会学術集会 2022年9月25日
- 臨床試験から考えるファージセラピーの実用化への課題
第2回日本ファージセラピー研究会 2022年11月11日
- ファージセラピーで切り開くAMR対策
第13回スクリーニング学研究会 2022年11月25日
- 敵の敵は味方 !？〜ファージの力を利用して細菌と戦う戦略〜
ラジオNIKKEI 感染症Today https://www.radionikkei.jp/podcast/kansenshotoday/kansenshotoday-220411.html
今後、臨床試験の論文報告も仕上げて行きながら、社会実装を更に目指して行きます！
【現在までの収支報告】
この支援による現在の収支についてご報告いたします。
・支援金額：10,557,000円
・執行額：約850万円
【内訳】消耗品・機器備品：520万円、学会発表などの旅費：84万円、解析費用7万円、ホームページ作成や手数料：239万円
今回の機器の購入により、自然界からのファージの分離が更に効率よくできるようになりました。残額については、引き続き今年度の臨床試験研究費として使用して行きます。
【リターンの発送状況】
本日、ご支援いただきました皆様に、先日よりお伝えしておりましたクリアファイルを発送致しました。とても可愛いので、気に入って頂けますと幸いです。
【今後について】
READYFORでのプロジェクトはこれで一区切りがつきますが、我々の活動はまだまだ続きます。臨床試験を更に積み重ね、犬猫の命を救うための実用化、更には人医療への応用に繋がるように研究開発を続けて行きます。臨床試験の結果など新たな成功が得られましたら、随時ご報告させて頂きます。
今後ともどうぞご理解とご支援をよろしくお願い致します。
