【第2弾】名古屋大学の使命!重要文化財の絵図を守り継ぐ

寄付総額

2,783,000

目標金額 1,500,000円

寄付者
181人
募集終了日
2020年12月25日

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2022年01月05日 11:30

連載企画「高木家文書」の裏話第7回 -養老酒-

新年を迎え、皆様方にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

おめでたい席のお飲み物と言えば、お酒。皆様は、滝の水が美酒に変わったという孝子伝説で有名な、養老の滝付近で作られている「養老酒」というお酒をご存知でしょうか。

明治期の文献を見ると、養老酒の作り方は次のように説明されています。材料は、人参・大黄・甘草・丁子(クローブ)・サフラン・川芎(せんきゅう)・茴香(ういきょう、フェンネル)・当帰(とうき)といった薬草・香草と水、味醂です。まず、水に香草類を浸し、沸かして約半量になるまで煮詰めたものを、味醂に混ぜて丸1日程置くと完成です。薬草成分がたくさん入って、体に効きそうですよね。こういった薬膳酒は各地で作られていた可能性がありますが、美濃産の養老酒は、地元の山で採取される薬草と、養老の滝の水を使って作られ、こちらの記述とは材料や製法も異なっていたようです。

 

高木家文書には、特に美濃産の養老酒が重宝されていた記録が残っています。3点紹介します。

 

(F5-2-213-あ)天保4(1833)年4月26日

1つ目は、近江国膳所藩1側役の久保郡右衛門からの手紙。当時の藩主、本多康禎の妹雅(まさ)が西高木家第9代目当主経貞に嫁いでおり、高木家と親戚関係にありました。ここでは、膳所藩側から、高木家が本多家へ贈る贈答品として、五合徳利入りの養老酒を希望されています。画像赤線部分には「御品御座候ハヽ御地の養老酒五合入得利壱ツ」と書かれています。今後は他の種類のお酒やお魚、お菓子ではなく、養老酒を贈ってほしいと指定されています。

 

(F5-2-720-あ)天保9(1838)年1月28日

2つ目は、越前勝山藩2小笠原家から江戸に廻す養老酒を用意してほしいという依頼の手紙。西高木家と小笠原家も親戚関係にありました。

この際、養老酒一斗(約18リットル)とともに酒銘札5枚程を希望しているので、江戸で瓶・徳利などに移して贈答に使う予定だったのではないかと推測されます。

このとき、造り酒屋にはそれだけの在庫がなく、養老酒よりもランクの高い養老寿酒で代替しています。用意できなかった理由について、時期が悪くできておらず、6月ごろにできると書かれていることから、美濃産の養老酒は熟成をさせていた可能性があります。

 

(H1-1-64)明治2(1869)年7月20日 『御在京中日記』第四

高木家文書デジタルライブラリー:

https://libdb.nul.nagoya-u.ac.jp/infolib/cont/01/G0000011Takagi/000/948/000948911.jpg

https://libdb.nul.nagoya-u.ac.jp/infolib/cont/01/G0000011Takagi/000/948/000948912.jpg

3つめは、日記中に書き写された鷹司家からの依頼の手紙です。明治元(1868)年末、朝廷は本領安堵4した旧旗本に朝廷の臣として東京か京都に移住するよう求めました。そのため、当時の西高木家10代目当主貞広は京都に居住していました。この手紙では、鷹司家の当主が体調を崩し寝込んでいたところ、少しずつ快方に向かってはいるが、平常時ほど万全ではないため、美濃国産の養老酒を分けてほしいと願い出ています。また、体調を崩して寝込んでいる家臣の分も同様に所望しています。

 

それぞれの手紙で、依頼主たちがわざわざ「御地」、「御国産」の養老酒と書いているので、美濃国産ではない養老酒も出回っていたようです。

江戸後期に書かれた松浦静山著『甲子夜話』三篇巻五八にも次のような記述があります。

 

「美濃国養老の滝が名泉なることは歴史的にも有名で、また能楽でも知られている。彼国のこの滝の近所に霊水があり、其の近くに小家があって名水を汲んで酒を醸造している。これが江戸で売っている養老酒である。しかるに、先年美濃国の代官某が、伝手があって私に養老で醸造している真の養老酒を贈ってくれた。飲んでみたら実に絶品であった。江戸で売っているものとは全く違っていた。聞いた所によれば、江戸で売っている養老酒の類は皆偽物とのことであった。」

 

このように、人々から重宝がられていた本物の養老酒を、ぜひ一度味わってみたいものですね。

 

さて、年度末にかけて、いよいよ絵図の修復が完了を迎える予定です。我々スタッフも皆様にご報告させていただくのを楽しみにしています。引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(注)

1.近江国膳所藩(おうみのくにぜぜはん)…現在の滋賀県大津市に藩庁を置き、その周辺を領有した藩。

2.越前勝山藩(えちぜんかつやまはん)…現在の福井県勝山市に藩庁を置き、その周辺を領有した藩。

3.鷹司家(たかつかさけ)…藤原氏を祖に持つ当時の公家。五摂家の一つ。

4.本領安堵(ほんりょうあんど)…従来の領地の支配権を認め保障すること。

(参考文献)

海老原幸二郎『銘酒製造法』高崎修助 1885年

ボック『実地経験百工自在:一名・経済之近道』日進堂 1888年

松浦静山『甲子夜話』第三篇5』平凡社 1983年

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